ムサシ Research Memo(4):2024年3月期第2四半期は大型選挙がなく減益となったが想定以上の着地
1. 2024年3月期第2四半期の業績概要
ムサシ<7521>の2024年3月期第2四半期の業績は、売上高16,779百万円(前年同期比8.8%減)、営業利益730百万円(同53.0%減)、経常利益751百万円(同52.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益498百万円(同53.0%減)となった。
売上総利益率は25.1%となり前年同期比で1.6ポイント低下した。これは、後述するように収益性の高い選挙機材システムの売上比率が低下したことによる。このため、減収と合わせて売上総利益は前年同期比14.3%減の4,212百万円となった。一方で販管費は、コロナ禍からの回復もあり営業活動等が通常のレベルに戻ったことなどから、同3.7%増となった。この結果、営業利益は大幅減益となったが、選挙システム機材が予想以上に健闘し、想定以上の着地となった。設備投資額は100百万円(前年同期134百万円)、減価償却費は202百万円(同201百万円)であった。
2. 2024年3月期第2四半期のセグメント別状況
セグメント別(連結ベース)及びサブセグメント別(単体ベース)の状況は以下のとおりであった。
(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメント
セグメント売上高は9,267百万円(前年同期比3.0%減)、セグメント利益123百万円(同60.2%減)となった。情報・産業システム機材は、文書のデジタル化事業や工業検査機材は比較的堅調に推移したが、業務用ろ過フィルターは半導体等の需要減の影響を受けた。また前期に大きく伸びた電子化機器の販売も反動減となった。一方で、印刷システム機材は印刷材料の販売は低調であったが、機器類の販売は比較的堅調であった。
a) 情報・産業システム機材
注力している文書のデジタル化事業では、官公庁・自治体及び民間企業からの受注がおおむね堅調に推移し、売上高は2,405百万円(前年同期比109百万円減、同4.3%減)となった。前年同期比では微減であったが、これは案件の受注タイミングの影響によるもので、全体としては高水準の売上高を維持した。業務用ろ過フィルターの販売は、半導体業界からの需要減の影響もあり売上高は300百万円(同19.4%減)と低調であった。また前期に大幅増となったスキャナーなどの電子化機器も反動により、前年同期実績を下回った。これらの結果、サブセグメントの売上高(単体ベース)は、3,538百万円(同8.3%減)となった。
b) 印刷システム機材
印刷システム機材の売上高(単体ベース)は、4,321百万円(同0.5%増)となった。印刷材料の販売は需要減の影響で低調に推移したが、印刷機器の販売では、レーザー加工機は落ち込んだものの、POD機器や多目的プリンターなどの販売が伸長した。
(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメント
セグメント売上高は、2,805百万円(同35.0%減)、セグメント営業利益は426百万円(同61.7%減)となった。金融汎用システム機材は増収となったが、主力の選挙システム機材は、大型の国政選挙がなかったことから前年同期比では大幅な減収となった。
a) 選挙システム機材
大型の国政選挙がなかったことから、売上高(単体ベース)は1,916百万円(同48.7%減)となった。大幅減収ではあるが、当初から予想されていたことであり、期初計画に対しては10%ほど上回った。これは、大型選挙が全くない年度のボトムラインが底上げされつつあることを物語っている。今後は、後述するようなシステム製品の導入によりボトムラインの底上げと売上高の平準化が進むと予想される。
b) 金融汎用システム機材
貨幣処理機器の販売は、金融機関を中心に新紙幣発行の更新需要を取り込み順調に推移した。しかしセキュリティ機器の販売が商談遅延の影響を受けて低調に推移した。この結果、金融汎用システム機材の売上高(単体ベース)は763百万円(同45.6%増)となった。
(3) 紙・紙加工品セグメント
医薬品や化粧品向け紙器用板紙などの販売は順調に推移した。また、印刷用紙や情報用紙の販売もおおむね順調に推移し、前年同期比で増収となり、セグメント売上高は4,578百万円(同4.4%増)となった。利益面でも、価格修正により販売価格が上昇して収益性が改善され、セグメント利益は88百万円(同319.0%増)となった。
(4) 不動産賃貸・リース事業等セグメント
おおむね順調に推移し、セグメント売上高は128百万円(前年同期比7.2%減)、セグメント利益は91百万円(同18.8%減)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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