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アイル Research Memo(1):2023年7月期は営業利益率目標20%台を2期前倒しで達成


*13:01JST アイル Research Memo(1):2023年7月期は営業利益率目標20%台を2期前倒しで達成 ■要約

アイル<3854>は、中堅・中小企業の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業である。ITによる「リアル」と「Web」の融合でDX※1を支援する「CROSS-OVERシナジー」戦略をベースとして、DXによる効率化支援にとどまらず、日々複雑化するバックヤード※2業務を変革する「BX※3」という新しい概念による価値創造支援の実現を目指している。

※1 デジタルトランスフォーメーションの略。「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念であり、従来のビジネスモデルやビジネス手段といったものをデジタル技術によって変革し、新たな価値を創造すること。
※2 企業やネットショップ、実店舗のバックサイドで、受発注処理、問い合わせ対応、入出庫作業、商品登録、在庫管理などを行っている人やチーム、場所のこと。
※3 バックサイドトランスフォーメーションの略。同社独自の「CROSS-OVERシナジー」戦略によって、バックサイドから変革を起こすことで価値創造支援を実現するという概念。


1. 生産性向上が売上総利益率上昇につながる好循環スパイラルを形成
同社は、基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズを主力とするシステムソリューション事業、クラウド型でサービス提供する複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」及び実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」を主力とするWebソリューション事業を展開している。なお、「CROSS MALL」の次世代サービスとして2022年12月にリリースしたバックヤードプラットフォーム「BACKYARD(TM)(バックヤード)」については、2023年11月より提供開始となる。同社は収益性向上に向けて、製販一体体制による生産性向上及びストック売上拡大を推進している。受注段階での営業と開発の連携強化によるカスタマイズ工数削減やトラブル未然防止に取り組むなど、総合的な品質・生産性向上によって売上総利益率上昇につなげるという好循環スパイラルを形成する戦略だ。その成果として売上高は拡大基調、売上総利益率は上昇基調となっている。

2. 2023年7月期は上方修正値を上回る増収増益で着地
2023年7月期の連結業績は、売上高が前期比23.0%増の15,924百万円、営業利益が同68.9%増の3,547百万円、経常利益が同68.4%増の3,571百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同79.4%増の2,472百万円となった。2023年2月24日付の上方修正値を上回る増収増益で着地し、売上高・各利益とも過去最高を更新した。売上面は、前期の半導体不足によるサーバー機器の納品遅延の影響が解消したこと、期初に想定していたサーバーリプレイス需要に付随してソフト改修・更新需要を想定以上に掘り起こすことができたこと、インボイス制度対応のソフト改修需要に伴う工数増加や他案件の受注機会損失が想定を下回ったこと、製品品質の向上によってプロジェクト回転率が向上したことなどが寄与した。利益面では想定以上の増収効果に加えて、営業・開発の製販一体体制の効果やストック売上拡大なども寄与した。売上総利益は同28.8%増加し、売上総利益率は同2.4ポイント上昇して54.5%となった。販管費は継続的な人員強化などで同10.7%増加したが、販管費率は同3.6ポイント低下して32.2%となった。この結果、営業利益率は同6.1ポイント上昇して22.3%となり、中期経営計画の目標値である20%台を2期前倒しで達成した。

3. 2024年7月期も2ケタ営業・経常増益予想、さらに上振れの可能性も
2024年7月期の連結業績予想は売上高が前期比6.1%増の16,900百万円、営業利益が同12.8%増の4,000百万円、経常利益が同12.8%増の4,026百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.5%増の2,683百万円としている。システムソリューション事業、Webソリューション事業とも伸長して2ケタ営業・経常増益予想としている。重点施策として、システムソリューション事業では営業エリアの拡大や大手層向け大型プロジェクトのノウハウを蓄積し、Webソリューション事業では「CROSS MALL」既存顧客の「BACKYARD(TM)」への移行を推進し、既存顧客の移行完了後に新規顧客開拓を推進する。利益面では、積極的な人材投資や開発・販促投資を継続するため販管費が増加するが、生産性向上の推進やストック売上総利益拡大などで吸収する見込みだ。なお、2024年7月期の増益率は前期に比べて鈍化する予想としているが、これは前期の大幅伸長の反動や不透明感、さらに「CROSS MALL」と「BACKYARD(TM)」の両基盤の並行稼働による一時的なコスト増加などを考慮したためであり、保守的な印象が強い。企業のDXニーズが一段と高まるなど事業環境は良好であり、ストック売上高が拡大基調であることなども勘案すれば、会社予想は上振れの可能性が高いと弊社では考えている。

4. 長期的に営業利益率30%を目指す
同社は中期経営計画について、急激な事業環境の変化等に応じて随時計画を見直すローリングプランを採用している。この方針に基づいて2023年9月に2026年7月期を最終年度とする3ヶ年計画を策定し、2026年7月期の計画を売上高20,400百万円、売上総利益11,728百万円、売上総利益率57.5%、営業利益5,400百万円、営業利益率26.5%、親会社株主に帰属する当期純利益3,616百万円とした。前回の3ヶ年計画に対して売上高、利益とも上方修正した。さらに、長期的な目標として営業利益率30%を掲げ、本計画は営業利益率20%超を盤石にするための足固めの3ヶ年と位置付けた。基本方針としては、国策としてのDX推進を追い風に、システムソリューション事業、Webソリューション事業とも2ケタ成長を社内目標に設定している。コスト面では積極的な人材採用を継続するが、ストック売上高の拡大効果や製版一体体制によるプロジェクトの管理強化効果などで吸収し利益率上昇を目指す方針だ。なお、CROSS事業の「CROSS MALL」から「BACKYARD(TM)」への移行については、おおむね2~3年の期間を要する見込みとしている。

5. 「BX」による成長加速に注目
同社は収益性向上に向けて、製販一体体制による総合的な品質・生産性向上によって売上総利益率上昇につなげるという、好循環スパイラルを形成する戦略を推進してきた。この結果、積極的な人材投資を継続しながらも、営業利益率は2019年7月期の9.0%から2023年7月期には22.3%まで大幅に上昇した。この収益性向上の成果を弊社では高く評価している。今後はさらに営業利益率30%を目指し、製販一体体制による生産性向上やストック売上拡大を推進するとともに、営業エリア拡大や大手層向け案件拡大、さらに「BX」による価値創造の実現など新たな領域への挑戦も推進する方針としている。市場環境は良好であり、3ヶ年計画の進捗状況や「BX」による成長加速の動向に注目したいと弊社では考えている。

■Key Points
・「CROSS-OVERシナジー」戦略で顧客の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業
・2023年7月期は上方修正値を上回る増収増益で着地、営業利益率20%台を2期前倒しで達成
・2024年7月期も2ケタ営業・経常増益予想、さらに再上振れの可能性も
・長期的に営業利益率30%を目指す
・収益性向上戦略の成果を高く評価、さらに「BX」による成長加速に注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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