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Jトラスト Research Memo(5):新たな3か年計画を発表。2024年12月期からは増益基調を目指す


*15:05JST Jトラスト Research Memo(5):新たな3か年計画を発表。2024年12月期からは増益基調を目指す ■Jトラスト<8508>の成長戦略

同社グループは2021年12月期に黒字化を実現し、成長フェーズに転換したことを踏まえ、2022年12月期~2024年12月期までの3か年の中期業績予想を発表し、大幅な増収増益を計画した。ただ、コロナ禍、ウクライナ戦争に起因する原油・天然ガスの価格高騰などによる市中金利の高騰など、当初想定していなかった事業環境の悪化によって、2023年12月期以降の営業利益は計画を下回る見通しとなった。このため、新たに2023年12月期~2025年12月期までの3か年計画を発表した。営業収益は順調に拡大し、最終年度となる2025年12月期に1,587億円(2022年12月期比1.9倍)と、過去最高の更新継続を目指す。一方、営業利益は2023年12月期には減益となるものの、2024年12月期から増益基調に転じ、2025年12月期は191億円(同1.3倍)と過去最高の更新を計画している。この3か年計画は正式な中期経営計画ではないが、同社が達成可能と考える保守的な業績予想としている。事実、2023年12月期には、第1四半期段階で通期予想を上回る営業利益を計上している。このように、会社として投資家に中期的な利益目標を示すことは、会社の将来業績に基づいて投資を検討する投資家にとって非常に重要であると弊社では考えている。

今後の成長戦略は以下のとおりである。

(1) 日本金融事業
信用保証業務の拡充と債権回収業務の強化によってさらなる収益の拡大を図り、同社グループ全体の業績を下支えする計画である。

子会社の日本保証は、保証期間の長いアパートローンの占める割合が大きいこともあり、保証残高は安定推移している。なかでも中古アパートローンは競合先が少ないこともあって計画を上回るペースで順調に推移している。信用保証業務では、既存の保証残高からの安定的な保証料収入をベースとして、アパートローン保証を中心とした収益構造に変わりはないが、富裕層向けRCマンションなど投資用不動産担保ローンやリバースモーゲージ型商品に対する保証業務、不動産買取保証など、保証商品の多角化を推進する計画だ。

事実、Jトラストグローバル証券、提携銀行、日本保証の協業により富裕層向けに提供する新たな金融商品「有価証券担保ローン」は好評である。Jトラストグローバル証券の顧客の株式や外債を担保として、提携銀行がローンを提供し、日本保証が保証することで保証残高の拡大を目指す。Jトラストグローバル証券は3年後を目標に、預り資産残高1兆円(2022年12月期末比約3倍)を目指している。Jトラストグローバル証券と同社グループ各社及び提携銀行の協業による新商品の開発など、新たな富裕層向けビジネスの拡大を目指す。

不動産事業を行うJグランドも富裕層向けビジネスを展開することで、2023年12月期売上を前期比約3.7倍の108億円に拡大する計画だ。このJグランドの売上のほぼ全額が日本保証の保証残高に直結する。また、同社は事業規模拡大に伴いIPOを計画している。2023年5月の不動産賃貸管理業の(株)ライブレントの完全子会社化により、Jグランドが販売する収益不動産の管理料、更新料、新規募集手数料等の基礎収益の増加が期待できることに加えて、収益不動産の用地仕入れ~設計・施工・販売・ローン付け~賃貸管理までワンストップで提供できる体制を確立した。今後も、収益一棟マンション・J-ARCシリーズは東京の城南、城西地区を中心に続々と販売予定であり、不動産事業のさらなる拡大によって、日本保証の保証残高の積み上げを目指す。

男性脱毛業界最大手の「メンズクリア」((株)クリアが展開)をはじめとした提携先とのエステ脱毛、ジム、ゴルフレッスン、クリニックを通じたNexus Cardの割賦事業は好調で、2023年12月期には100億円超の割賦取扱いを計画している。取扱高は第1四半期で既に3,198百万円に増加しているが、繁忙期である夏場を迎えて今後も増加が望めそうだ。提携先の割賦をNexus Cardが担い、割賦売掛金残高の増大が日本保証の保証残高に直結することから、同社グループの業績への貢献が期待される。

(2) 韓国及びモンゴル金融事業
市中金利の高騰による預金利率の上昇、韓国全体での延滞増加、個人回生(個人再生)・信用回復の増加傾向などにより引当金の積み増しが懸念されるなか、引き続き緩やかな成長を目標に掲げる。「量の成長」から「質の成長」を目指し、バランスの取れたRisk-Returnを目標に一定の資産規模を維持し、資産内容の質的な向上を追求する。また、調達金利削減のために、他社動向及び満期構造など様々な状況を考慮して受信利率を検討する。貸出金利は最大限引き上げを図るものの、延滞債権比率を踏まえた収益性で判断して貸出金利を算定する。徹底した延滞管理を実行し、貸倒償却費の抑制に向けて最大限努力する計画だ。

(3) 東南アジア金融事業
同社グループ成長のけん引役になると期待されるBJIでは、貸出金残高の増加に伴う利息収益の増加、調達コストの低下による持続的な収益計上を目指す。ビジネス部門と審査部門の連携を強化し、不良債権リスクの低減を図りつつ積極的に貸出残高増強を図る。現状は貸出の大半は信用力のある大企業や国営企業向けであるが、貸出先の多様化により貸出増加の余地は大きいと言える。また、安定的な経営基盤を構築するために調達コストの低減に努め、小口預金獲得に向けた新規口座開設を積極的に推進する。

BJIは2021年11月以降、飯田グループホールディングス<3291>、(株)ダックス、阪急阪神不動産(株)、GREED GROUP、三菱商事<8058>グループなどの日系企業傘下にある現地法人と住宅ローンの業務提携を行っている。2023年12月期第1四半期も7社(7プロジェクト)と住宅ローンにおける業務提携契約を締結し、合計17社(20プロジェクト)と提携しており、今後は住宅ローン残高の伸長が期待される。加えて、重機ローンに係る業務提携契約締結も推進しており、2022年7月以降、神戸製鋼所<5406>、日立建機<6305>傘下のインドネシア法人及びPT United Tractors Tbk(コマツの独占販売代理店)と契約を締結しており、重機ローン残高は前四半期比4倍に急拡大している。インドネシアは資源国であり、ニッケル掘削などのための重機の需要が高く、重機ローンの拡大が見込まれる。現状では住宅ローンや重機ローンの残高は小さいが、新たな成長分野と言えよう。

インドネシアの債権回収業務では、PT JTRUST INVESTMENTS INDONESIA及び韓国のサービサーであるTA資産管理(株)子会社のPT TURNAROUND ASSET INDONESIA(TAID)で買取債権増加による収益機会の拡大及び回収金の最大化を計画している。また、マルチファイナンス会社PT JTRUST OLYMPINDO MULTI FINANCEでは、ダウンサイジング及び人件費及び販管費等の圧縮を図る方針だ。

カンボジアについては、当面は預金獲得競争の激しさが継続する見込みである。2019年12月期より同社グループに加わったJTRBは資産内容の良い優良銀行であるものの、市中預金金利が上昇しているうえ、競合銀行も増加していることが背景にある。今後は、新たな収益機会を獲得するための新規顧客の開拓、融資成長を支えるためのボンド発行やマイクロSME(中小・中堅企業)層との取引など、新たな資金(預金)調達や個人向け流動性預金の獲得を図る。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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