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nms Research Memo(3):2023年3月期第2四半期は基盤強化策の効果が表れ、足元の収益性が高まる


■業績動向

1. 2023年3月期第2四半期の連結業績概要
nmsホールディングス<2162>の2023年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比17.7%増の35,818百万円、営業損失が236百万円(前年同期は237百万円の損失)、経常利益が同731.7%増の426百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が129百万円(同282百万円の損失)となった。各利益水準は想定を上回って着地した。売上高に関しては、中国におけるロックダウンによる経済活動の低迷などがあったものの、各セグメントともにニーズが好調となったことを受けて前年同期比で増収となった。市場がコロナ禍から回復してくるなかで、メキシコでの量産立ち上げなどを遂行し、ニーズを確実に業績に取り込んだ。利益面は、以前より進めている抜本的基盤強化策を実行し、前年同期比で損失幅を縮めた。基盤強化策とは、案件ごとの収益性の精査、原価率の改善、適正価格の見直しをはじめとする収益性を高める施策のことである。これにより足元では収益性が高まった状況だ。

四半期ごとに連結ベースの営業損益を見ると、第1四半期は249百万円の損失、第2四半期は12百万円の増益となった。第1四半期においては中国のコロナ禍におけるロックダウンの影響を受け、営業損失となったものの、第2四半期においては黒字に転換した。今後も同社は収益性を高める施策を継続する方針である。こうした状況により、期末にかけて売上及び利益が積み上がっていくことが期待される。

2. セグメント別業績概要
(1) HS事業
HS事業の売上高は11,507百万円(前年同期比6.3%増)、セグメント利益は470百万円(同50.2%増)となった。国内事業、海外事業ともに需要が堅調に推移した。国内事業に関しては、依然としてコロナ禍の影響や半導体関連の部品不足などの影響があったものの、人手不足を背景に同事業に対する需要は旺盛となった。コロナ禍によって外国人労働者の流入が減少していることが要因だ。海外事業に関しては、ベトナムとタイが好調であった。特にベトナムでは、車載部品関連で顧客からの需要が旺盛となった。また、新規顧客の開拓や既存取引のシェア拡大なども業績を押し上げた。既存取引のシェア拡大に関しては、同社派遣人財の質の高さが評価された。利益面に関しても、前年同期に比べて急伸した。国内・海外ともにコロナ禍や部品不足などの影響を受けたものの、全社的に進める基盤強化策が寄与した。

(2) EMS事業
EMS事業の売上高は、17,010百万円(前年同期比24.3%増)、セグメント損失は260百万円(前年同期は301百万円の損失)となった。同事業は、中国、ASEAN、北中米において生産活動を展開し、中国における受注の獲得やベトナム工場での新規量産開始などによって前年同期比で増収を達成した。利益面は、中国のロックダウンの影響や部品不足による顧客の生産計画変更などの影響を受けた。加えて、北中米における量産立ち上げコストも影響した。セグメント損益を四半期ごとに見ると、第1四半期は中国ロックダウンの影響を大きく受けたものの、第2四半期には損失幅が縮小した。加えて、各種基盤強化策も着実に推進しており、足元では収益性が高まってきていると言える。

(3) PS事業
PS事業の売上高は、7,300百万円(前年同期比23.3%増)、セグメント損失は194百万円(前年同期は16百万円の損失)となった。同事業においては、2023年3月期の重点施策として「産業機器市場への製品展開」「電池パック技術の横展開」のほか、人手不足やそれに起因する省人化などを背景にしたロボティクス市場への既存製品の横展開があり、これらが進捗した。加えて、需要が高水準で推移したことも売上を押し上げた。利益面に関しては中国のロックダウンが響いた。また、部材価格の高騰、物流コストの上昇なども利益圧迫要因となった。

3. 財務状況
2022年3月期末における資産合計は前期末比6,145百万円増の40,987百万円となった。流動資産は31,381百万円となり、5,032百万円増加した。これは主に現金及び預金が1,047百万円減少した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が1,167百万円、原材料及び貯蔵品が4,332百万円、その他流動資産が579百万円増加したことによる。固定資産は9,573百万円となり、1,119百万円増加した。有形固定資産が1,048百万円、投資その他の資産が96百万円増加した一方で、無形固定資産が25百万円減少したことによる。

負債合計は前期末比6,002百万円増の38,150百万円となった。流動負債は32,501百万円となり、6,168百万円増加した。これは主に支払手形及び買掛金が3,469百万円、短期借入金が2,475百万円増加したことによる。固定負債は5,648百万円となり、165百万円減少した。これは主に長期借入金が221百万円減少したことによる。純資産合計は前期末比142百万円増の2,836百万円となった。利益剰余金が51百万円、為替換算調整勘定が90百万円増加したことによる。

同社は財務基盤の強化に向けても積極的に取り組んでいる。具体的には、部材を戦略的に確保しつつ、過剰在庫を圧縮すること、仕入れから回収までのサイクルを短くすることなどに取り組んでいる。加えて、投資の精査や各種KPIを設定し、キャッシュ・フローの観点から財務健全性を高めるために各種施策を実行している。また、外部環境の変化が早いなか、部材調達ソースの多様化や為替エクスポージャー圧縮への対応なども実行している。事業面においては、ニーズが堅調なことに加えて基盤強化策の着実な実行により、収益性が高まっている。利益が積み上がるにつれ、財務健全性も高まっていくだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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