BBT Research Memo(7):2022年3月期業績は利益ベースで計画を上回る公算大
1. 2022年3月期業績の見通し
ビジネス・ブレークスルー<2464>の2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比16.0%増の6,833百万円、営業利益が同59.3%増の319百万円、経常利益が同49.9%増の300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同23.1%増の123百万円と期初計画を据え置いた。第3四半期までの通期計画に対する進捗率は、売上高が72.5%と順調な進捗となっているのに対して、各利益は通期計画をすでに超過している。にもかかわらず計画を据え置いたのは、第4四半期に入って再びコロナ禍により集合研修の実施の延期や見直し、インターナショナルスクール事業において再度縮小運営等を余儀なくされる懸念があるなど、不透明な状況にあったためだ。ただし、第4四半期において懸念されたマイナスの影響は出なかったことから、利益ベースでは会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。
(1) リカレント教育事業
リカレント教育事業の売上高は前期比7%増、金額で2~3億円の増収を見込んでいる。法人向け教育サービスに関しては、第4四半期も新規顧客の開拓が順調に進んでおり、通期で前期並みの売上水準まで回復し、2023年3月期以降の成長が見込める状況となっている。University事業系については、新規受講生の獲得に向けたプロモーションを実施していくほか、休学・退学率の低減に向けたサポート体制の強化も継続して取り組んでいく。英語教育事業系についてはブレンディングジャパンにより2億円程度の売上寄与、またITマネジメント事業系についても堅調な推移が見込まれることから、2023年3月期以降は日本クイントの吸収合併によりさらなるシナジーと成長が期待される。
(2) プラットフォームサービス事業
プラットフォームサービス事業については、売上高で前期比20%以上の大幅増収を見込んでいる。2022年1月にはAJISで高等部を対象とした「AJIS 文京キャンパス」を開校し、「光が丘キャンパス」に通学していた約70名は「文京キャンパス」に転校した。今回の新校舎開設により、AJISの生徒定員数は従来比約2割増となり、2022年8月の新スクールイヤーに向けて生徒数のさらなる増加が見込める状況となっている。ここ数年入学申込み件数が増加傾向にあった一方で、収容能力の面ですべてを受け入れることが難しかったが、こうした足かせ要因が外れることになる。
一方、AJBについては2022年4月の新入生数が、各キャンパスともに計画を上回る水準でスタートできる見通しだ。同社が取り組んできた国際バカロレア教育に対する認知度が向上してきたことや、コロナ禍を理由に入園を見送る保護者が減ってきたことが背景にある。また、日本政府の入国制限によってマーケティングに大きな制約が続いていたサマーヒルインターナショナルスクールについても外国人の入国規制緩和の動きが出始めたことで、2022年以降の回復が期待される。
同社はプラットフォームサービス事業の成長戦略としてHub&Spoke戦略※を推進してきたが、コロナ禍の収束後に再開する予定にしている。AJB等のプリスクールは現在8拠点あるがこれを10拠点程度まで拡大し、AJBからAJISへの生徒の流れをさらに増やしていくことにしている。「AJIS文京キャンパス」開校によって、プラットフォームサービス事業における生徒の収容能力は2,000名前後まで拡大することになる。2022年3月時点の生徒数が1,400名弱程度と見られることから、能力的には既存キャンパスだけで1.4倍程度まで増やすことが可能だ。EBITDAマージンは17%程度の水準が見込まれ、中長期的に同社の収益をけん引していくものと期待される。
※AJISのキャンパスの周辺にAJB等のプリスクールのキャンパスを年間1~2拠点のペースで開設し、幼児から高等部まで一気通貫で教育サービスを提供する戦略
なお、2018年10月に子会社のアオバが文部科学省より「国際バカロレアに関する国内推進体制の整備」事業を受託し(最大5年度)、IB認定校や大学、企業等で構成する「文部科学省IB教育推進コンソーシアム」を創設、IBの普及に向けた様々な取り組みを行っている。2021年3月期は、IB教育の未導入地域の自治体並びに関心のある学校や候補校に対して、各IB教育プログラムの積極的な推進や助言等の活動を目的とした「文部科学省IB教育導入サポーター」制度の創設に取り組んだ。文部科学省では国内における国際バカロレア認定校200校を目標として掲げており(2021年12月末時点で175校)、同コンソーシアムがその普及推進役を果たしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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