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MDNT Research Memo(6):コア事業である「細胞加工業」の早期黒字回復


■事業活動の進捗と今後の取り組み

1. 細胞加工業の進捗と今後の取り組み
細胞加工業は、2019年9月期には初めて黒字化を達成したが、その後コロナ禍により免疫細胞治療を受ける患者(特にインバウンド患者)が激減したため、今期は大幅減収と赤字に逆戻りしてしまった。そのような厳しい状況のなか、メディネット<2370>がここ数年間継続して実施している地道な啓発活動を紹介しておきたい。

● 患者の利益を考えたプロモーション(啓発)活動
がん治療従事者(医療機関や治療薬メーカー)は、がん患者に対して「がん免疫細胞治療」に関する正しい知識・情報を提供しなければならない。一部のがん治療医師は、患者や家族と向き合い、患者の利益(副作用からの解放など)となるよう、正しい情報・知識を理解したうえで、患者のための治療法(選択肢)を助言し、患者は自身で治療法を選べるようになってきている。同社でも患者の利益優先、患者のために、メディアを通して「がん免疫細胞治療」に関する啓発活動を行っている。

現時点ではコロナ禍による医療機関の患者数(インバウンド、国内)回復の時期や規模ともに不透明ななか、細胞加工業における売上拡大・早期黒字回復の施策として「特定細胞加工物の売上拡大」「CDMO事業の加速」「バリューチェーン事業の拡大」「海外企業とのアライアンス活動強化」に取り組んでいく。

(1) 特定細胞加工物の売上拡大
再生・細胞医療に取り組む製薬企業、大学、医療機関、研究機関等から受託製造する特定細胞加工物における細胞種の取り扱いを増やしていくほか、「ネオアンチゲン樹状細胞ワクチン」の受託製造を推進していく。ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンは、がんの治療に用いられる。患者自身のがん組織を用いてがん細胞の遺伝子異常を解析し、患者自身のがん固有の抗原(目印)を特定、ワクチンを作製するため、少ない副作用で高い効果(免疫反応)が得られる。すなわち “オーダーメイドがんワクチン”とも言える。瀬田クリニック東京を中心とする同社の契約医療機関で提供開始されている。同社は以前から患者自身の組織を用いて治療に合わせた細胞加工の製造受託を行っており、今後も最新の「がんの個別化医療」に貢献しつつ、業績拡大に向け推進していく。

(2) CDMO事業の加速
2020年1月、品川CPFでは「再生医療等製品製造業許可」を取得した。CDMO事業において国内外製薬企業やバイオベンチャー企業に対し、同社は、今後アプローチを強化していくとしている。それを支える体制として、ウィズコロナにおいて3密を避けるためリモート環境を整え細胞加工業の効率化を行った。Web会議システムを用いた技術移転や監査など有効性を確認したうえで、Web周辺機器を用いたバーチャルプラントツアーを確立し、業務効率に効果をもたらしている。

(3) バリューチェーン事業の拡大
同社は“フロー型バリューチェーンビジネス”を構築し、再生・細胞医療のコンサルティング、細胞培養加工施設の運営管理、細胞加工技術者の派遣・教育システムの提供といった特定細胞加工物を取り扱ううえで必要な一連の知見やノウハウを提供している。アカデミア(大学、研究機関)を中心とした施設運営管理業務をリピート(継続受託)するとともに、新たに再生・細胞医療分野へ参入を企図しているアカデミアや製薬企業の様々なニーズに合わせた多様なサービスに取り組み、販売強化につなげていく。

(4) 海外企業とのアライアンス活動強化
同社は、2019年10月に台湾Medigen Biotechnology Corp.(MBC)とガンマ・デルタT細胞培養加工技術のライセンス契約を締結し、技術移転を完了した。この技術を用いたがん免疫細胞治療は台湾当局の承認後、MBCが提携する医療機関である新光醫院が台湾当局へ申請している。申請が許可されれば、台湾のがん患者が現地医療機関で同社の細胞培養加工技術を用いたがん免疫細胞治療が受けられるようになる。また、世界各国の医療法制度に応じて現地の医療機関に再生・細胞医療が健全に提供されるよう、同社が培った技術と経験を積極的にライセンス供与していく。さらにコロナ禍の影響でインバウンド患者が入国できず減少傾向にあるが日本での治療を待ち望んでいる多数の患者もおり、同社は日本で円滑に受診・治療できる仕組みを構築していくとしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)


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