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富士ソフト Research Memo(7):積極投資と働き方改革は順調に進展、先行投資下でも生産性は着実に向上へ(2)


■今後の見通し

3. 人材投資の巡航局面入りと人材定着率の改善で生産性向上効果の顕在化に期待
富士ソフト<9749>の人材投資動向をより詳細な開示がある単体ベースで見ると、新卒含有率(新卒採用数/前期末従業員数)が2014年12月期の1.6%から2015年12月期以降7%台へと跳ね上がるなかでも、離職率(年間退職者数/前期末従業員数)は2014年12月期の7.5%に対し、2015年12月期から2017年12月期にかけては6%台でむしろ落ち着いていた。しかしながら、2018年12月期の新卒含有率が12.5%(前期比4.1ポイント上昇)にまで一気に高まり、2019年12月期も11.9%と高止まりしていたことが一因となり、2019年12月期の離職率は10.3%にまで上昇した。

離職率の絶対水準自体は、過度に問題視する必要のないレベルとはいえ、人材投資をとりわけ重視している同社だけに、人材投資の量と質のバランス見直しにすかさず取り組んださまがうかがえる。具体的には、新卒採用数が積み増されるなかで希薄化傾向(2014年12月期上期194万円→2018年12月期上期76万円)にあった新卒1人当たり採用研修費(連結ベースの採用研修費/単体+上場子会社新卒採用数)は、2019年12月期上期には91万円(前年同期比18.6%増)と反転、2020年12月期上期も90万円を維持している。また、単体新卒含有率は2018年12月期12.5%→2019年12月期11.9%→2020年12月期上期8.2%となり、世間一般に照らし合わせれば十分積極的ながら、同社としては抑制気味と言えるだろう。結果、2020年12月期上期の単体離職率は4.1%と前年同期比2.0ポイント低下している。

一般論として、人材投資の巡航局面入りと人材定着率の改善は、生産性向上に結び付く可能性がある。2020年12月期は、2018年2月に示した同社の3ヶ年業績予想の最終年かつ設立50周年を迎える節目の年であり、新型コロナウイルス感染症拡大を梃子にした働き方改革の強化も将来的には生産性向上につながるだけに、次の3ヶ年業績予想ではこれまで以上に目線の高いメッセージが打ち出されることに期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)




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