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トレードワークス Research Memo(6):AI技術を活用した新サービスの提供開始により、新規需要を掘り起こす


■トレードワークス<3997>の今後の見通し

2. 今後の成長戦略
金融業界におけるIT投資動向は、AIやIoT、FinTech、RegTech(レグテック)※といった新たな技術・サービス領域に向けた開発投資だけでなく、働き方改革や人手不足の解消といった生産性向上に向けた投資なども含めて、今後も着実に拡大していくものと予想される。

※RegTech(レグテック)…「Regulation(レギュレーション):規制」と「Technology(テクノロジー):技術」を組み合わせた造語。ITを駆使し、煩雑な規制対応を効率化する取り組みを指す。規制が複雑で、当局への報告義務が多岐にわたる金融業界で有効とされ、FinTechと並んで言及されることが多い。


こうした市場環境下で同社は、収益モデルの転換により安定した経営基盤の構築を図りながら、金融知識を有するエンジニアの増員・育成による製品・サービスの品質向上、AIやIoT技術を活用した新サービスの開発・提供に取り組むことで持続的な成長を目指していく戦略となっている。事業領域に関しては、証券やFXだけでなく年金・保険や暗号通貨といったその他の金融領域に広げていくほか、金融以外の領域にも取り組んでいく。

(1) 収益モデルの転換
同社は収益の安定性を高めるため、クラウドサービスなどのストック型ビジネスの売上拡大に注力している。金融ソリューション事業におけるストック型収入の売上構成比は2019年12月期の4割弱から2020年12月期は5割強に上昇する見通しで、中期的には60%台半ばの水準まで引き上げていく方針を示している。このため、新規顧客に関しては、基本的にストック型モデルでの受注活動を行っている。クラウドサービス案件の増加に伴い、データセンターの運用・維持費用などの先行投資を2020年12月期も継続するため、利益率においてまだその効果は顕在化していないが、こうした投資が一巡すれば収益の安定化と同時に利益率も上昇していくものと予想される。また、インフラ投資を継続するなかで、より効率的な運用体制の見直しにも取り組んでいく。

(2) 人材採用・育成
同社では金融業界で求められるシステムエンジニアのスキルとして、プログラミング能力だけでなく、複雑な金融商品や法規制など関連知識も含めて身に付ける必要があると考えており、「金融×IT」のスキルを兼ね備えることで顧客が求める品質の高い製品・サービスの開発が可能になると考えている。例えば、エンジニアが顧客の悩みを聞いて、翌日には問題解決の方策を提案できるレベルにまでなることを目標としている。エンジニアがこうした金融の知識を身に付け、戦力化するまでには最低2年程度かかるため、継続的な収益成長を目指すには、計画的な人材採用及び育成が重要となる。

人材採用については、前述したようにコンサルティング会社の活用による効果が出始めており、今後も更なる増員が進むものと期待される。また、外国人エンジニアの採用も2018年より継続して進めている。具体的には、カンボジアのキリロム工科大学が進めている「vKiriromプロジェクト」※の奨学金スポンサーとなり、優秀な卒業生を年間2名のペースで採用している。国内での新卒採用も年間2~3名ペースで進めていく計画となっており、今後も事業規模の拡大に合わせてエンジニアの増員を進めていく方針となっている。

※カンボジア政府機関から許可を受け、IT都市建設を目指すためのIT人材を全寮制で育成するプロジェクト。学生は学費及び寮費が無料となる。


人材育成について見ると、新人研修では3ヶ月間の研修期間中に、プログラムの技術研修だけでなく証券取引などの業務研修も重点的に行っており、金融系専門プログラマーとしての育成カリキュラムを確立している。また、外部セミナーにも積極的に参加し、証券取引に関する最新の技術トレンドやテクニカル手法などを習得、社内勉強会などを通じて新製品やサービスの開発に生かしている。

(3) 事業領域の拡大
金融業界に特化した独立系のシステム開発会社として堅実な成長を続けてきた同社だが、今後は高い技術力と金融知識を併せ持つ専門集団として、証券分野以外の領域にも拡大し、更なる成長を目指していく方針となっている。2018年には年金分野でauアセットマネジメント向けに個人型確定拠出年金「auのiDeCo(イデコ)」サービスのシステム提供を開始したほか、auカブコム証券にも同様のシステムが導入されている。今後はシステムの機能拡充とともに顧客の拡大に取り組んでいく。なお、暗号通貨市場に関しては、同市場が沈静化していることやエンジニアのリソースが不足していることもあり、現在は優先順位が下がっており積極的な営業活動は行っていないようだ。

(4) 新技術の開発
同社は音声認識技術やAI技術など最先端の技術を用いたサービスの研究・開発にも注力している。2019年11月にはリーガルテックベンチャーのリーガル・テクノロジーと共同開発したAIチャットボットサービス「スマート法律相談」のサービス提供を開始した。法律相談や弁護士検索をLINEの公式アカウント「スマート法律相談」上でチャット形式により手軽に行えるサービスとなる。

2種類のAI技術を併用することで、文脈に即したスムーズな会話を実現しているほか、案件ごとに対応可能な弁護士を検索するデータベースと連動し、弁護士検索や法律相談、依頼などをリーガルサービスに馴染みのない一般顧客層でもスムーズに行えるようにしたサービスとなっていることが特徴だ。チャットボットサービスは無料で提供しており、利用者が紹介弁護士と契約を結んだ際に発生する契約料の一部を手数料収入として獲得するビジネスモデルとなる。

同社では、「スマート法律相談」から得られる収益に関してあまり多くを期待していないが、開発したAI技術を証券市場向けサービスとして転用することで、収益を拡大していく戦略となっている。現在、新サービスの開発に着手しており、2021年の提供開始を目指している。サービス内容はまだ不明だが、企業の株価情報や財務情報のデータベースと連動することで、投資条件に適う銘柄を従来よりも簡単に探索できるサービスなどが想定される。そのほかにも、企業における「働き方改革」や「人手不足対策」などのニーズが増大するなかで、これら課題を解決する新サービスの開発なども進めていく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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