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窪田製薬HD Research Memo(8):宇宙飛行士向けモニタリングデバイスは第1フェーズが終了、高い評価を受ける


■主要開発パイプラインの概要と進捗状況

5. NASAとの超小型SS-OCT開発受託契約
窪田製薬ホールディングス<4596>は2019年3月に、NASAの関連機関であるTRISHと超小型SS-OCTプロジェクトに関する開発受託契約を締結したこと、及びCEOの窪田氏がNASAより有人火星探査を含むディープスペースミッションのPrincipal Investigator(研究代表者)に任命されたことを発表した。これにより、同社は有人火星探査において宇宙飛行中にリアルタイムで網膜の状態を計測できる携行可能な超小型SS-OCTの開発を開始している。同社が「PBOS」の開発を行っていたことから、NASAより開発の打診があったようだ。

今回の共同開発契約は、長期的な宇宙飛行を経験した宇宙飛行士の約69%が、視力障害や失明の恐れがある神経眼症候群を患っているという研究報告※をもとに、宇宙飛行が眼領域に与える影響を研究することが目的となっている。現在、国際宇宙ステーション(International Space Station、以下、ISS)で使用されている市販のOCTは据え置き型で操作が複雑であり、数カ月間の宇宙ステーション滞在中に宇宙飛行士は3回しか検査できていなかった。今回、開発する超小型SS-OCTは携帯可能なため、1人で手軽に測定することができ、毎日測定して保存しておくことが可能となる。

※かすみ目や視神経乳頭浮腫、眼球後部平坦化、綿花状白斑等の眼疾患症状が報告されている。


開発フェーズは3ステップに分かれており、第1フェーズのミッションは、耐久性があり、安価な光源であるレーザーを使用した概念実証(POC)の確認で、複数のレーザーを用いて視神経乳頭の形状を高解像度で測定する装置を開発することであった。2020年1月にNASAでデモンストレーションを行ったが、NASAのプロジェクト担当者からの評価は高かったようである※。第2フェーズでは、同装置を用いて、どのような画像解析を行い宇宙飛行に起因する眼疾患の検証を行うか、運用上で必要となる要件定義を固める工程となる。最終の第3フェーズでは、実際に宇宙飛行環境において使用可能な装置の開発を行う工程となる。宇宙放射線被ばくに対する耐久性を持ち、かつ無重力環境下で宇宙飛行士自身が操作できるハードウェアの開発に取り組み、2022年-2023年の完成を目指している。

※NASA担当者からは、「小型でありながら操作が簡単で、データ処理が早い。宇宙飛行中の眼球への影響を研究するために、ISSで大いに役立つと信じている」「フェーズ1の使用条件を満たしているだけでなく、期待以上の完成度であった。外見も洗練され、軽くて持ちやすい。フェーズ2での仕上がりが楽しみである」といったコメントを寄せられている。


同契約が業績に与える影響については軽微と考えられるが、NASAとの共同開発契約を発表したことで同社の認知度が向上し、「PBOS」への注目度も上がっている。同社では、今回のプロジェクトで蓄積したノウハウをベースに「PBOS」の機能拡張を進めていくことも視野に入れている。具体的には、緑内障等の視神経乳頭に影響のある疾患のモニタリングデバイス用としての応用展開が可能と考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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