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ギフト Research Memo(6):2019年10月期も見通しを上回る可能性が高まる


■業績動向

2. 2019年10月期の業績見通し
ギフト<9279>は2019年10月期業績見通しを、売上高8,630百万円(前期比23.8%増)、営業利益865百万円(同11.5%増)、経常利益870百万円(同11.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益500百万円(同9.7%増)と見込んでいる。第2四半期に利益が大きく上振れたにもかかわらず、通期業績見通しを上方修正しなかった。通期業績見通しの前提は、直営店事業部門は既存店売上高が前期比1.1%減、出店が17店、プロデュース事業部門は出店が24店となっている。既に足元、既存店売上は11月−6月累計値で2.5%増と好調に推移、5月−6月の売上も4月の値上げをクリアした動きになっている上、上場により資金力と信頼が増したことで出店数も計画を上回るピッチで進展している。このため、第2四半期に引き続き通期業績も、同社業績見通しを上回って着地する可能性が高まったと言えるだろう。

2019年10月期の同社の重要施策は、第2四半期を経過したことから既に進捗しているものもあるが、1)積極的な出店戦略の継続、2)製麺工場の製造能力拡張(出店スピードに合った生産体制の構築)、3)開発センター(Noodles Factory)の設立、4)完まくアプリの導入、5)新業態の本格的展開、6)米国ニューヨーク2号店の出店——である。積極的な出店戦略の継続では、商圏や店舗数の拡大を目指す。首都圏や関西圏など人口集中エリアに直営店を展開する一方、地方エリアはプロデュース店での出店を加速している。既に地方のメガフランチャイズ※企業2社と契約を締結、うち1社は早くも出店を開始しているが、高収益のため好評である。今後も地方エリアでは、飲食業を運営しているメガフランチャイズ企業と積極的に組んでいく方針である。

※メガフランチャイズ:自らがフランチャイジーだが、複数の本部とフランチャイズ契約をしていたり、サブフランチャイザーとなって傘下にフランチャイジー店舗を多く抱えていたりする企業。地方に多い。


出店スピードに合った生産体制を構築するため、製麺工場の製造能力を拡張する方針である。出店が順調で現在の1工場体制(平塚市)ではボトルネックを起こす可能性が生じたため、同社は4月に関東第2工場を横浜に建設、6月には本格稼働させている。これで麺の製造能力が1.5倍に増強され、品質の高い麺を、現在の出店計画であれば2年間安定供給することが可能となった。ただし、少なくとも2年後にはボトルネックを起こす可能性があるため、既に第3工場の建設も考えているもようである。同社は創立当初、理想的な麺を作るのにかなり苦心したようだが、現在では様々な種類の麺やタレ、スープを開発している。これは社長を中心とする研究開発努力のたまものだが、これを組織化するため新設したのが、社長直轄の「開発センター(Noodles Factory)」である。市場調査で評判のよかった新商品の導入や新業態の開発、既存商品の品質向上のための研究開発を行う予定で、新商品の試売も開始した。現在、「横浜家系ラーメン」や「豚山」と被らない新業態も準備中のようだ。

「完まくアプリ」が定着してきた。「完まくアプリ」とは「横浜家系ラーメン」公式アプリで、完まくスタンプ(ポイント)を集めること以外にも店舗情報や最新ニュースなど様々なコンテンツを楽しむことができる。「完まく」とはラーメンをスープまで飲み干すことをいい、完まくごとにスタッフ一同の威勢の良い「完まく一丁」という掛け声とともにスタンプ1個がつき、10個貯まるとラーメンが1杯無料になるクーポンが贈呈され、1年間トッピングが無料になるゴールドカードが発行される。2019年10月期は毎月2日間「完まくスタンプ3DAY」を開催し好評を博している。このため、2019年4月末にはダウンロード数は16.6万件に達した。同社も販促ツールとして非常に有効と考えており、今後も積極的に利用する方針である。

2019年4月で既に5店目になるが、新業態「豚山」の出店が加速している。駅近で「横浜家系ラーメン」と顧客が被らないことから、居抜きの低投資物件を中心に都心部へ集中的に出店、さらにプロデュース店の募集も始める計画である。一方米国では、ロサンゼルスとニューヨーク1号店が順調に推移していることから、ニューヨーク2号店を2019年7月17日にオープンした。好成績ならば出店加速のアクセルを踏むことにしており、この点でニューヨーク2号店は同社海外展開の試金石となる。

以上の6つの重要施策のほか、同社はESG経営にも積極的に関わろうとしている。成長初期段階の同社のため、成長するに伴いESGとして為すべきことは多くなるが、従業員満足に関しては既に実践していることが多い。従業員満足度の向上のため、給与の受取方法を多様化する給与前払制度や、大切な人と充実した休暇を過ごすために連続5日の有休休暇と休暇支援金を取得できるシアワセ休暇制度を創設した。また、エリア限定社員制度や時間限定社員制度に加え短時間限定社員制度を導入し、非正規雇用から正規雇用への処遇改善も進めている。このため、同社の離職率は10%後半と、流動性の高い外食産業の中では低くなっている。また、若手の最初の目標となる店長の年収が外食業界の中で比較的高い部類に属していることもあり、少子高齢化のなか、従業員の定着率の更なる向上につながることが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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