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クイック Research Memo(6):2030年に1,000億円企業になるための事業基盤を構築中


■業績動向

3. 中期経営計画
クイック<4318>は2030年に1,000億円企業になることを目標にしている。そのためまず、既存事業の成長と新規事業の育成に向けて積極的投資を継続するとともに、M&Aの実施やAI技術による新たなビジネスモデルの開発を進める。次に、国内の少子高齢化と労働人口の減少により国境を越えた人材サービスが増加する見通しのため、グローバルな人材流動化に向けた「クロスボーダーリクルートメント」市場の開拓など、グローバルなHRビジネスを先駆的に進める方針である。社内的には、組織強化や働き方改革に向けた人事制度改革を進め、事業横断的視点でのキャリアアップ支援と育成制度を構築、人材を増強する。これらにより当面の目標として、2022年3月期に売上高26,170百万円、営業利益3,930百万円を目指す。主力の人材紹介での競争激化が中期的に気になるが、東京オリンピック・パラリンピック後にはむしろ淘汰が進むと考えられる。一方で同社は、事業基盤が出来上がりつつある上に資金が潤沢になってきたことから、豊富な実績を背景に長期目標へ向けてM&Aや新規事業を積極化するなど拡大志向をさらに強めるところである。競合より中期的な投資や事業戦略こそが同社の長期成長へのカギとなると思われる。

もちろんその他の課題や懸念の解消も、事業基盤の構築と並行して進めている。人材派遣については、雇用環境が改善する中、パートから社員への流れもあって新たな人材手当てが難しくなっており、今後、人材派遣の戦略自体を見直す可能性もあると考えられる。リクルーティング事業については、引き続きリクルートの代理店トップクラスのポジションを維持する考えで、なかでも「indeed」の取扱いを伸ばす方針である。外国人労働者の受け入れについては、制度が始まって2~3年は混乱すると思われるため、業界が落ち着いてから強化するなど拙速を避ける。海外事業は、主要エリアについては自社で展開してきたが、今後はパートナーシップにより領域を広げるほか、現地日系企業向けを中心としたサービスから「クロスボーダーリクルートメント」サービスへと舵を切る計画である。同社はこれまでも着実に歩を進めていることから、2020年3月期の業績目標も、2030年の売上高1,000億円も着実に手にするものと思われる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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