プラザクリエ Research Memo(4):店舗数増加による成長戦略が着実に進捗
4. モバイル事業の成長戦略と進捗状況
モバイル事業では、店舗数増加を成長戦略の柱とする構図は従来から変更はない。スマートフォン市場の成熟化で1店舗当たりの販売台数の拡大は難しくなっている現状を店舗数の拡大で補う戦略だ。店舗数拡大のペースについては、従来から、年5~10店舗のペースを基本スタンスとしている。
第2四半期は10店舗の新規開店を行う一方、店舗譲渡(3店舗)や合同化(3店舗)、退店(1店舗)があった、その結果2018年9月末の店舗数は、2018年3月末から3店舗純増し101店となった。
第2四半期の大きな特徴は、店舗の大型化だ。同社はキャリアショップについては資本提携のあるソフトバンクのワイモバイルのショップを中心に展開してきた(過去の経緯でauのキャリアショップも1店舗運営している)。その中で第2四半期はワイモバイル店舗を縮小する一方でソフトバンクの店舗が増加した。2018年3月末との比較では2018年9月末時点でソフトバンクショップが8店舗増加し、ワイモバイルショップが5店舗減少した。平均的に見て、ソフトバンクショップはワイモバイルショップと比べて、店舗面積、スタッフ数、在庫投資などあらゆる面でおよそ3倍の規模となっており、新規出店の費用も増加することになる。その意味では第2四半期の新規出店投資は例年になく重い負担となったが、それを吸収してモバイル事業セグメントとして営業利益を確保したのは前述のとおりだ。
同社はパレットプラザの店舗をワイモバイル店舗にリニューアルする形でモバイル事業の店舗数を拡大してきた経緯があり、これまではワイモバイルショップの店舗数がソフトバンクショップの数を上回っていた。しかし第2四半期の移行の結果、ソフトバンクショップが業態別で最大数となった。
第2四半期の店舗数拡大及び店舗の大型化(ワイモバイルからソフトバンクへの移行)の背景にはキャリア側の意向があるとみられる。大手キャリア各社は数年前から代理店政策を変更し、経営体力はもちろんコンプライアンス経営といった視点からも代理店の選別を行うようになってきている。同社は上場企業の強みを生かしてキャリアからの高い信頼を獲得しており、それが今回の大型出店につながったとみられる。
今後については、下期にもソフトバンクショップの新規開店が続く可能性がある。前述した年間5~10店舗という基本ペースは既に第2四半期に達成した形だが、キャリア側の代理店戦略の展開次第では下期も上期同様のペースでの新規出店が行われることもあり得るだろう。
通信業界においては、トラフィックの飛躍的増大を受けて通信インフラが現在主流の4Gから、2020年には5Gへと移行する計画が進んでいる。4Gと比較して、高速・大容量、低遅延、多接続などの特徴があるとされている。5Gならではの新たなサービスや既存サービスの高度化がいろいろ想定されているが、スマートフォンなど携帯端末もまた、5G時代が本格化すれば買い替え需要が大きく刺激されると期待される。
証明写真BOXなどの従来からの商材が着実に拡大。第2四半期は新規事業として『思い出整理』や通信の法人向け営業をスタート
5. 法人事業の成長戦略と進捗状況
法人事業についてはこれまで、ダビングサービスの法人連携や証明写真ボックスの全国展開、IDカードプリンターの販売事業などについて紹介してきた。これらの事業は目立たないながらも着実に成長が続いているほか、新たな事業の芽も出てきている状況だ。こうした状況に合わせて同社は組織改編を行い、現状は商材別に法人第1部~第4部の体制で営業を強化している状況だ。
既存の商材のうち証明写真ボックスの全国展開は順調に進捗している。これはいわゆる自販機ビジネスと同じ事業モデルで、駅構内やショッピングモールなど人通りの多い一角に証明写真撮影用の箱型装置を設置するものだ。同社はこれまで約1,500台以上の証明写真ボックスを設置し、台数ベースのシェアで業界4位のポジションにあるとみられる。今後は最低ラインと位置付ける2,000台の早期実現を目指す方針だ。
また、パレットプラザ店頭で取り扱っている「なんでもダビングサービス」の法人展開も順調だ。これまで大手家電量販店のヤマダ電機<9831>などと提携を重ねた結果、現状ではなんでもダビングの約60%が提携法人経由となっている状況だ(パレットプラザの店頭経由が残りの約40%を占める)。
新規事業としては第2四半期から「思い出整理」事業を開始した。いわゆる終活や遺品整理の一環として、撮り貯めた写真・ビデオや、家庭内に多数存在するアルバムの整理などを手掛けるサービスだ。現状は葬儀社と連携して販売拡大を目指している。葬儀社経由という点では遺品整理の色彩が強くなると考えられ、終活需要の取り込みという点では新たな販路拡大策を取る可能性もあるだろう。
また通信(回線、機器)の法人販売もスタートさせた。モバイル事業においてソフトバンクのキャリアショップを主体に店舗数が拡大基調にあることは前述のとおりだ。そのモバイル事業と連携して法人向けスマートフォン契約の拡販を目指している。
法人事業の業容は売上高ベースで5億円前後と弊社では推測しており、中核の商材は証明写真ボックスで、現状の売上高のほとんどを稼いでいるとみられる。新規事業の思い出整理や法人向け通信の販売は2019年3月期から開始した新規事業であるため、収益貢献は2020年3月期からになるとみられる。組織改編と商材の拡大で、同社自身、中期的には法人事業が大きく飛躍するものと期待している状況だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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