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TOKAI Research Memo(2):顧客獲得コストの積極投下により増収減益となるも、収益基盤となる順調に拡大


■業績動向

1. 2018年3月期第3四半期累計の業績概要
TOKAIホールディングス<3167>の2018年3月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比4.6%増の133,336百万円、営業利益が同19.7%減の6,579百万円、経常利益が同19.2%減の6,662百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同29.2%減の3,435百万円となった。同社では中期経営計画(IP20)の達成に向け、収益基盤である顧客件数の拡大を目的に先行コストを投じ、積極的に顧客獲得に取り組んできた結果、第3四半期末における顧客件数は前年同期比275千件増加の2,839千件と拡大し、売上高の増収要因となった。なお、当期は第2四半期にCATV会社の東京ベイネットワークを子会社化したことにより250千件の顧客件数が上積みされており、既存事業ベースでは25千件の増加となるが、これは2017年3月期の純増分に対して約4倍増の増加ペースとなっている。

一方、営業利益は顧客獲得コストや解約防止コスト、情報・通信サービス事業における新サービス「LIBMO(格安SIMサービス)」の立ち上げに伴う販促コスト等の先行投資費用を約30億円投下したことが減益要因となった。ただ、会社計画比では5%程度上回って推移したものと見られる。LPガス事業や「LIBMO」事業については計画をやや下回っているものの、CATV事業や情報・通信サービス事業のうち、法人向けサービス(システム開発及び通信サービス)が想定以上に好調に推移していることが要因だ。

第3四半期末の顧客件数の増減を前年同期との比較で見ると、LPガス事業が17千件増、CATV事業が同274千件増、アクア事業が8千件増とそれぞれ順調に増加したのに対して、情報・通信サービス事業が13千件減と唯一、減少した。内訳を見ると、光コラボ(ISP+光通信回線サービス)が31千件増加したのに対して、従来型のISPサービスが39千件減、モバイルが5千件減となった。従来型ISPから光コラボへの切り替えは進んでいるものの、大手携帯キャリアとの顧客獲得競争が続くなかで、顧客の一部が流出していることが要因と見られる。同社では顧客流出の防衛策として、2017年2月より新たにMVNO※事業に参入。「LIBMO」のサービスを開始し、光コラボとのセット販売によって大手携帯キャリアよりも割安感を打ち出すことで、顧客流出を抑止しているが、まだ下げ止まったとは言えない状況にある。なお、「LIBMO」の契約件数は第3四半期末で21千件とほぼ計画どおりの進捗となっている。

※MVNO(Mobile Virtual Network Operator):携帯電話等の無線通信インフラを他社から借り受けてサービスを提供する事業者。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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