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C&R Research Memo(9):台湾のAI・ロボットベンチャー企業と提携し、RPA市場へ進出


■クリーク・アンド・リバー社<4763>の今後の見通し

2. RPA市場に参入
2017年10月に同社は、台湾のAI・ロボットベンチャーであるインツミットと提携し、インツミットが開発した、AIプラットフォーム「スマートロボット」の日本での独占販売を開始した。インツミットはMIT(マサチューセッツ工科大学)や台湾大学出身のエンジニアが集結した技術開発企業で、MIT内にラボを設けAI技術に関する多数の特許を取得している。

「スマートロボット」は音声合成、音声認識、音声対話、知識検索、画像認識、翻訳領域を統合したAIプラットフォームで、RPA(仮想ロボットによる業務自動化)サービスを提供するためのエンジンとなる。主な利用サービスとして、国内でも普及が進み始めているチャットボットがある。「スマートロボット」は10万件を超える質問と回答のパターンに対応しており、正答率も90%以上と高い実績があることから、台湾の大手銀行の接客ロボットとして導入されているほか、様々な企業のカスタマーサポート部門で導入が進んでおり、顧客数は台湾、米国合わせて500社程度となっている。また、AIプラットフォームとしてはIBMの「Watson」が先進的な技術として注目されているが、「スマートロボット」は「Watson」に引けを取らない性能を持つ技術として業界でも高い評価を受けている。

こうした技術力の高さに注目し、日本の大手IT企業もインツミットとの提携交渉を進めていたが、同社が一足早く交渉に動いたこともあり、国内での独占販売契約を締結することに成功した。まずはチャットボットを日本仕様にローカライズし、サービス提供をしていく計画となっている。対象顧客としては、同社グループが抱える2万社超の既存顧客のほか、金融機関や旅行代理店、不動産仲介、ゲーム会社、テレビ局など、24時間年中無休のカスタマーサポートが必要な企業がターゲットとなる。10月から営業を開始しているが、同社が今まで提供してきたサービスの中で最も引き合いが多く、企業の関心度の高さがうかがえる。企業がチャットボットを導入する際にはWebサイトのデザインから見直すことが多いため、Web制作と合わせて受注を獲得するケースも増えると考えられ、シナジーが期待できる。今後の予定としては2017年11月頃に日本語対応のデモ機が完成する予定で、本格的な営業を開始する。当初は3名の営業人員だが、2018年には子会社を新設し、8名体制に増員することを計画。2019年2月期からの収益貢献を見込んでいる。

また、今後はチャットボットだけでなく、「スマートロボット」を活用した仮想ロボットサービスとして、仮想エージェントや画像合成に関するサービスについても積極的に事業展開していく方針となっている。音声認識分野では同社が東芝デジタルソリューションズ(株)と協業して進めている「RECAIUS(リカイアス)」※1の音声合成技術を活用した「コエステーション」※2と組み合わせることで、より付加価値の高いサービスを提供していくことも可能となる。例えば、仮想エージェントの音声を好みの芸能人等の音声にするといったことも可能となる。

※1 RECAIUS…音声や映像から人の意図を理解しビジネスと生活の安心・快適な活動をサポートするコミュニケーションAI技術。東芝<6502>が研究開発してきた音声認識、音声合成、翻訳、対話、意図理解、画像認識(顔・人物画像認識)などのメディア知識処理技術を融合し体系化した技術となる。
※2 コエステーション…東芝が提供するコミュニケーションAI「RECAIUS」の音声合成技術を活用した、ネットワーク上の「声」の流通プラットフォーム。2017年中に、スマートフォン等での日本語版の提供を開始予定。


なお、チャットボットの世界市場規模は、2016年の7億ドル超から2021年に31.7億ドルまで年率30%以上のペースで急成長すると予測されている(米ReportsnReports調べ)。日本においても徐々に導入が進んでいるものの、使い勝手や認識率の低さなどが課題となっており、「スマートロボット」がシェアを拡大していく余地は十分あると弊社では見ている。

(執筆:フィスコアナリスト 佐藤 譲)



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