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GMOペパボ Research Memo(9):主力2事業で新サービス投入、2018年12月期以降の収益貢献が見込まれる


■GMOペパボ<3633>の今後の見通し

2. 事業セグメント別戦略
(1) ホスティング事業
ホスティング事業では、「ロリポップ!」の契約件数拡大に向けた取り組みを推進している。2017年7月11日より独自SSL(無料版)の提供を開始したほか、2017年7月12日より新サービスとなる「ロリポップ!マネージドクラウド」のα版をリリースした。

独自SSLについては従来、有料版(月額1,584円)を提供していたが、経済面から無料版を要望するニーズが強く、また、退会理由の1つとして挙げられていたことから、こうしたニーズに対応することとした。昨今、インターネット市場ではセキュリティ対策が重要となってきており、Google検索などでもSSL認証に対応していないWebサイトは弾かれるようになってきたことから、個人のホームページ等でもSSL認証に対応する必要性が出てきたことが背景にある。無料版は米国の公益法人であるInternet Security Research Groupが無料で提供する「SSL/TLSサーバー証明書」となる。有料版と比較すると機能面(認証度等)でやや劣るため、有料版を契約している顧客が無料版に切り替える可能性はないと見られ、退会抑制による契約件数増加の効果が期待できる。

また、「ロリポップ!マネージドクラウド」は従来の「ロリポップ!」の強み(簡単操作、安定、高速、安心、低価格)はそのままに、独自開発したHakoniwa技術※1とFastContainerアーキテクチャ※2により、サーバー処理能力を柔軟に増減し、一時的なアクセス集中時でも高速かつ安定的な稼働を実現したサービスとなる。自社開発技術をベースとしたサービスとなるため、サービス料金も従来とほぼ変わらない水準で提供可能になる。顧客ターゲットはホームページ等へのアクセス数が一時的に集中し、Webサイトが閲覧不能となるリスクがあるユーザー(個人のクリエイターや中小企業等)となり、新規顧客の開拓だけでなく、既存ユーザーの乗り換え等も見込んでいる。同社では2017年内にも正式版をリリースし、サービスを開始したい考えだ。

※1 共用サーバー内で専有サーバーと同等の環境構築を実現できるコンテナ型仮想化技術。ニーズに対して最適なサーバー環境を高速に提供できる。
※2 Webアプリケーションの実行基盤となるアーキテクチャ(設計図)。システム自体が恒常性を持ち、コンテナの停止・起動・複製等を自動で実行する。


国内のクラウド型ホスティング市場は2015年以降2020年までに年率20%を超える成長が見込まれている。大企業における需要が大半を占めるが、同社が顧客ターゲットとする個人や中小企業なども同様の成長が見込まれている。ホスティング市場では仮想化サーバーによるクラウドホスティングサービスが伸びているが、サーバーの設定や運用はすべて契約者が行う必要があるため、専任の運用担当者を配置できる大企業向けが中心のサービスであった。今回、同社は独自技術により運用担当者を必要としない低価格のクラウドサービスを業界に先駆けて提供することで、先行者利益を獲得していきたい考えだ。

(2) EC支援事業
EC支援事業では「カラーミーショップ」で新たな機能を2017年内に発表する予定となっている。具体的には、定期購入に特化したサービスの提供を開始する。健康食品や化粧品など定期購入者が多くを占めるEC事業者向けに、定期的なメール配信等、効果的なマーケティング施策を打てる機能を付加することで、顧客の売上拡大に貢献するサービスとなる。定期購入に特化したEC支援サービスではテモナの「たまごリピート」が先行しているが、同社は機能・価格面で優位性を持たせたサービスを提供することで、既存顧客における退会抑制やアップセル、新規顧客の開拓につなげていく考えだ。

(3) ハンドメイド事業
ハンドメイド事業では「minne」の流通額拡大に向けて、年末にかけて積極的なプロモーション施策を実施する予定だ。ハンドメイド業界での認知度が高まったことから、今後は新規顧客層の開拓を目的にプロモーション活動を展開していく。具体的には、ハンドメイドというキーワードを前面に押し出すのではなく、主要購入者層である女性が欲しくなる「良質な商品があるマーケットプレイス」としてリブランディングするためのプロモーションをWeb動画などで展開していく予定だ。

また、新たな取り組みとして2017年7月19日に「minne」内に「生地・服飾手芸材料専門店の「オカダヤ」」をオープンした。ハンドメイドに必要となる素材カテゴリーの企業を誘致することで、材料をより手軽に調達できる環境を提供し、「ものづくりを応援するプラットフォーム」の場として、今後はBtoCの強化も図っていく。さらには、取扱カテゴリーも新たに生鮮食品や伝統工芸品なども追加していく予定で、流通額の更なる拡大を目指していく。

なお、同事業の損失の大半は「minne」の広告宣伝費が主因であり、2015年12月期以降の全体業績にも影響を及ぼしている。先行きの業績見通しにおいても同事業の広告宣伝費が変動要因となるため、不透明感が払拭できず株価が伸び悩む要因になっていると考えられる。ホスティング事業、EC支援事業は新サービスの投入効果で2018年12月期以降も収益拡大が見込まれるため、「minne」事業の収益が改善してくれば業績も拡大局面に転じるものと弊社では予想している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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