タカショー Research Memo(4):ライフスタイルの提案や啓蒙活動により新たな市場を創出
1. ガーデニング&エクステリア分野で幅広いソリューションを提供
タカショー<7590>の特長は、ガーデニング及びエクステリア分野で幅広いソリューションを提供できるという点で、オンリーワンであるということである。同社は、「やすらぎのある空間づくり」や庭での暮らし方を提案する「ガーデンライフスタイルメーカー」という事業コンセプトに基づき、生活者の意識変化や時代の先を見据えながら、ソリューション領域を拡充してきた。また、この業界において海外展開できる体制を構築している企業もほかにはない。同社は、ソリューション領域の拡充や海外展開により、世界規模で広がっている需要の拡大を同社の成長に取り込む方針である。さらに、海外展開はガーデニング分野における業績の季節性(春から夏に偏重)を解消することにもつながると考えられる。
2. 企画から製造、販売、サービスまでの一貫体制により、現場価値を高める仕組み
企画から製造、販売、サービスまでを手掛ける一貫体制にも特徴がある。この体制によって、コスト競争力を高めるとともに、現場視点による商品開発やグループ一体となった価値提供が可能となっている。プロユース向けが伸びているのは、現場価値を高める同社の商品力やソリューション提供力が、ハウスメーカーや工務店を中心に高く支持されていることが理由として挙げられる。特に、他社商品にはない豊富なカラーバリエーション(72色)や国内工場で生産していることによる品質及び対応力の高さ(現場単位での別注が可能など)などが差別化要因となっている。外部環境として、現場での職人不足が深刻な問題となっているが、その点においても、対応力に長けた同社にとっては優位性を発揮しやすい状況と見ることもできる。また、最近は、裾野の広い中小工務店向けにパッケージ化提案※による販売促進にも取り組んでおり、ITの活用を含めた利便性においても差別化を図っている。
※住宅本体に外構(エクステリア)プランをパッケージ化したCGソフトを中小公務店やリフォーム会社などに提供している。施主への対面提案が可能であり、見積書にも連動する。同社は、ソフト会社との連携などにより、各地で中小工務店向けに勉強会を実施している。
3. ライフスタイルの提案や啓発活動により市場を創造
同社の成長の背景には、庭での暮らし方の提案や積極的な啓発活動を行うことによって市場を創造してきたことも挙げられる。2012年に東北支店、2014年に広島支店を移設新築しており、ショールームの整備を積極的に進めている。2015年9月には埼玉県戸田市に首都圏営業所(及びショールーム)を開設すると、同年11月には東京支店を移転して情報発信機能の強化を図った。2017年4月には大阪営業所(及びショールーム)をオープンし、順調に稼働しているようだ。これらは、同社が提唱する「リビングガーデン」のライフスタイル提案を体感してもらう拠点となるもので、こうした全国に開設しているショールームや展示会の開催、日本初の本格的なガーデンセンターの開設などを通じて、積極的な啓発活動を行っている。2016年7月に開催した「タカショーガーデン&エクステリアフェア2016」では2日間で3,716名(前年比5%増)の来場者を記録した※。
※今年も7月に開催予定である(事業者のみ対象)。新商品の展示や新たなコンセプトの発表など、商品力の強化や今後の方向性が示される点で注目されている。
さらには、業界における資格制度であるマイスター制度の設立やリフォームガーデンクラブの組成など、業界全体を活性化させるインフラやネットワークの構築にも尽力しており、業界のリーディングカンパニーとして、市場の創造・育成にも継続的に取り組んでいる。
「タカショーエクステリア&ガーデンライティングマイスター制度」(庭照明のプロを養成することを目的とした研修会)は、2010年2月に設立以来、全国86会場にて研修会を実施し、受講社数1,954社(受講人数4,818名)と順調に実績を積み上げている。同様に、「ウォーターガーデンマイスター制度」(癒しと安らぎのウォーターガーデンの重要性とその効果を知り、ポンプの電気知識を始め、水生植物や空間デザインなどの知識や技術を習得する)についても、受講社数540社(受講人数1,027名)となっている。
また、2014年5月からは「エクステリア& ガーデンマイスター制度」も開始した。本マイスター制度研修会は、基本面全般から、エクステリア外構と家の関係のデザイン、植物の基礎知識、緑の配置の仕方、トータルな庭造り、年間を通した暮らしのデザイン、アフターメンテナンスなど、一連の内容が「基礎編」と位置付けられている。営業・設計・デザイナー・プランナーにとっては知識の更なる深耕が図られることに加え、まだ業界に就いて間もない参加者にとっても即実践できるカリキュラムとなっており、既に受講社数が549社(受講人数1,055名)に上るなど、高い評価を得ているようだ。
2016年4月には、新たに設立された「一般社団法人日本ガーデンセラピー協会」※1に参画するともに、高岡社長が代表理事に就任した。今後、同協会の活動を通じて“ガーデンセラピー”の普及にも貢献していく方針である※2。
※1 同協会は、ガーデンセラピーを構成する6つの療法(園芸療法、芸術療法、森林療法、食事療法、芳香療法、住まい方療法)について、産学官で協同して研究・教育・啓蒙活動を行い、高齢化の時代において日頃から健康を考え、予防医学の観点から自己治癒力を高め、心身ともに豊かな住まい方、ライフスタイルをつくり上げていくことを目的として2016年4月21日に設立された。
※2 同協会のホームページによると、ガーデンセラピーに関する資格認定制度を導入する計画である。五感を刺激することで脳を活性化させ、身体全体の健康を維持する療法であるガーデンセラピーを理解し正しく実践するため、ガーデニングの基礎的なスキルはもちろん、医学的な知識の習得も含まれている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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