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ワコム Research Memo(7):下半期の新製品攻勢も、投入の遅れなどで期待を下回る販売実績


■ワコム<6727>の業績の動向

2. ブランド製品事業セグメントの動向
ブランド製品事業は、売上高43,873百万円(前期比10.3%減)、営業利益5,684百万円(同29.3%減)と減収減益で着地した。営業利益率は13.0%と前期の16.4%から3.4%ポイント低下した。上半期はモデル末期の製品が多く苦戦を強いられた。それに対して下半期は新製品の投入で巻き返しが期待されたが、投入時期の遅れなどもあり、当初期待されたような挽回を示すことができなかった。

ブランド製品事業の内訳として、クリエイティブビジネスの売上高は38,737百万円(前期比7.4%減)でセグメント売上高の約88%を占めている。クリエイティブビジネスの製品タイプ別詳細は以下のとおりだ。

ペンタブレットの売上高は22,267百万円(前期比7.8%減)であった。ペンタブレットはペンとタブレット板で構成される最も基本的な入力デバイスであり、プロ用から入門用まで幅広いラインナップとなっている。売上高においても、クリエイティブビジネスの売上高の約半分を占めている。プロ向けのIntuos Proは台数ベースでは前期を上回ったが、円高やモデル移行期の機会ロスなどで減収となった。次世代ペン技術搭載の新モデルを1月に投入したが、ユーザーへの訴求力は期待を下回った。コンシューマー向けでは3Dモデリング対応製品が好調だった。しかし熊本地震により部品供給が滞り、機会ロスを生じて減収となった。新興国向けモデルは、中国、インド南米で新規ユーザーを獲得し、台数ベースで前期比40%の成長を示した。

モバイルはペンタブレットとタブレットPCが一体化した構成のものだ。他社のタブレットPCでペン入力するのと使い方としては同じであるため、他社のペン入力式タブレットPCと競合関係にある。同社のモバイルはペン入力の専用機であるため性能は圧倒的に高いが、その性能差を必要とする層が限定的な点が同社には不利に働いた。上半期は競争激化の影響で前年同期比52.4%減となったが下半期は新製品の投入で巻き返し、通期ベースでは前期比4.6%減収の4,247百万円まで盛り返した。より高性能・大画面のモデルは他社タブレットPCとの差が明確でプロクリエイター向けに順調に販売が伸びたが、下位モデルは他社のタブレットPCとの競争から抜け出しきれず、伸び悩んだ。

ディスプレイはペンタブレットのタブレット板が液晶パネルとなったもので、液晶画面に描くという意味ではモバイルに近いが、OSや記憶装置を持たない入力デバイスという意味ではペンタブレットと同じ性格の製品だ。接続するPC等との組み合わせの自由度が高く、長く使えるという点が評価されている。2016年11月に13インチと16インチのモデルを発表し、13インチは下半期の売上高に貢献した。しかし16インチは市場投入が期末の3月末に遅延し、収益貢献がなかった。この結果、ディスプレイの売上高は前期比7.6%減の12,223百万円にとどまった。

コンシューマービジネスの売上高は前期比38.6%減の1,321百万円と大幅減収となった。具体的な製品としては他社(サードパーティ)のタブレット等で使用可能なスタイラスペンと、手書きをデジタル化できるデジタル文具で構成されている(Bambooシリーズ)。今期はiPad向けスタイラスペンが競争激化や品質問題発生などで大幅減収となったほか、デジタル文具も上半期が第1世代から第2世代の切り替え期に当たり減収となった。9月に投入した第2世代機のBamboo Slate/Bamboo Folioは好調に推移しているが全体の落ち込みを埋めるには至らなかった。

ビジネスソリューションの売上高は前期比23.0%減の3,816百万円となった。一般的なモバイル端末でサインの電子入力を可能にするシステムの登場や円高の影響で、中心の欧州市場で大幅減収となった。国内やインドでクレジットカード決済向け等に一部製品の販売が伸びたが、欧州の落ち込みの影響が大きかった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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