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北恵 Research Memo(4):消費増税前の駆け込み需要の反動減あったが施工付販売は増収に


■決算動向

1. 2016年11月期の業績(実績)
(1)収益状況

北恵<9872>の2016年11月期(2015年12月-2016年11月)の業績は、売上高が前期比7.3%増の50,827百万円、営業利益が同8.2%増の632百万円、経常利益が同6.9%増の734百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.2%減の418百万円となった。売上高は初めて500億円を超え、過去最高を記録した。利益面では消費増税の影響が消失したことで期初から微増益を予想していたが、結果はこの期初予想も上回り、おおむね堅調な結果であったと言える。

売上総利益率は前期比0.4ポイント減の9.7%とわずかながら低下したが、円安等の影響により一部商品の仕入コストが上昇したことに加え、売上高が伸びている施工付販売で計画したほど粗利益を取れなかったことも要因の1つ。但し、言い換えれば、施工付販売はさらに作業効率の面で改善の余地があり、これらを改善していくことで、売上総利益率が改善される可能性はあると言える。

一方、販管費は人件費やその他経費の抑制に努めたことから金額では115百万円増となったが、対売上高比率は0.3ポイント低下した。結果、営業利益率は前期と同レベルの1.2%となり、増収によって営業増益につながった。営業利益が増益となったことから経常利益も増益となったが、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に特別利益の計上(主に投資不動産の売却益)があったことから減益となった。

商品別の売上高(2016年11月期)では、木質建材は4,640百万円(前期比3.7%増)となったが、一部商品が施工付販売へシフトしているため実質的にはもっと高い伸びであったと言える。非木質建材は3,061百万円(同1.0%増)となったが、石膏ボードや外壁材が好調であった。合板は2,110百万円(同2.6%増)となったが、プレカットの需要が増加したことにより構造材や針葉樹材が伸びた。木材製品は1,832百万円(同1.6%減)となったが、構造材は堅調ながらフローリング材が伸び悩んだことで減収となった。住宅設備機器は11,291百万円(同0.7%減)となったが、減収の要因はリフォーム関連の需要が施工付販売へ流れているためで内容は決して悪くはなかったようだ。注力している施工付販売は24,537百万円(同15.5%増)と堅調に推移した。その他売上高は3,353百万円(同0.2%増)とほぼ前期並みとなった。また同社が独自に企画・開発したオリジナル商品の売上高は1,737百万円(同1.7%増)となった。

各商品とも比較的に堅調に推移するなかで、木材製品と住宅設備機器が減収となったが、これは一部商品が施工付販売へ移行しているためであり、懸念されるほど悪い内容ではなかった。注力商品の1つである施工付販売は順調に拡大しており、対売上高比率は48.3%(前期は44.9%)となり、ほぼ売上高の半分を占めるまでに達した。また外壁工事の受注棟数は10,441棟(前期比5.4%増)となり、うち首都圏では5,869棟(同5.7%減)となった。首都圏で月平均500棟近くの外壁工事を行っているのは最大級である。

地域別売上高は、近畿17,542百万円(前期比7.3%増)、九州・中四国7,516百万円(同3.4%増)、中部4,754百万円(同0.8%減)、東日本21,014百万円(同10.8%増)であった。このうち首都圏の売上高は17,421百万円(同7.5%増)であり、構成比は34.3%と前年同期並みの水準であった。売上高は中部地区で減収となったが、これはフローリング製品が大幅減となったことが要因で、それ以外の各地域は増収となった。注力中の施工付販売はすべての地域で増収となった。

(2)財務状況
2016年11月期末の資産合計は前期末比1,247百万円増の23,424百万円となった。流動資産は同1,132百万円増の19,464百万円となったが、主に現金・預金が173百万円減少したこと、受取手形・売掛金が1,497百万円増加したことによる。固定資産は同114百万円増の3,960百万円となったが、主に投資その他の資産の増加172百万円による。

負債については、負債合計が前期末比899百万円増の12,932百万円となった。流動負債は同881百万円増の11,642百万円となったが、主に買掛金の増加による。固定負債は同17百万円増の1,290百万円となった。純資産合計は、利益剰余金の増加等により同348百万円増の10,491百万円となった。

(3)キャッシュ・フローの状況
2016年11月期の営業活動によるキャッシュ・フローは185百万円の支出となったが、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上721百万円及び仕入債務の増加861百万円、また主な支出は売上債権の増加1,523百万円による。投資活動によるキャッシュ・フローは有価証券や投資有価証券の償還等により141百万円の収入となった。財務活動によるキャッシュ・フローは主に配当金の支払額等により129百万円の支出となった。この結果、現金及び現金同等物は173百万円の減少となり、期末の同残高は7,206百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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