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ネクステージ Research Memo(6):総合店の出店による顧客生涯価値の獲得を目指す


■事業戦略

2. 総合店の出店
中古車のビジネスサイクルは、車両販売→用品販売(クロスセル)→保険→整備→点検→車検→買取で完結する。ネクステージ<3186>は車両販売や用品販売、保険までを重点的に行い、整備・車検から買取までのビジネスが手薄であった。今後は、車両販売・整備車検・買取までの顧客生涯価値(ライフタイム・バリュー:LTV)を獲得するための機能をワンストップで提供する総合店に傾斜する。

2015年11月期の販売実績(中古車:23,438台、新車:5,055台、車検:3,660台)をベースに第三者機関に試算してもらった結果、整備・車検で約12億円、保険で約3.6億円、合計約15.6億円の機会損失が生じていると診断された。今後、積極展開する総合店は、これらの機会損失を回収するだけでなく、中古車買取も加える。総合店は販売、整備、アフターケア、買取といった網羅的サービスの提供を1拠点で行うため、1拠点(平方メートル当たり)の収益性を高め、ROA(総資産経常利益率)を向上させる。販売取引の回転だけを上げるのではなく、多様なサービスの提供により来店頻度を増やし、顧客満足度を高める。

総合店は、2016年11月期末に本拠地とする愛知県で4店舗を運営しており、2017年に入って熊本県に5店舗目を出店した。2017年11月期は、総合店を四半期ごとに1店舗、年間4店舗の新規出店を計画している。

2016年11月に、愛知県知多郡東浦町に「ネクステージ東浦店」を新設した。地域最大級の在庫200台以上をそろえ、展示場は雨の日でも見て回るのに支障がない立体展示場だ。車の販売から整備・車検、そして買取までトータルで顧客のカーライフをサポートする。

2017年1月に、「ネクステージ熊本店」がオープンした。店舗は、地域最大級の在庫台数約200台と雨天や夜間でもしっかりと商品が見られる立体駐車場を活用した展示場、充実した整備設備と待合スペースで構成されている。同店舗も買取を含めたトータル機能を持つ。

将来は、整備収益を底上げすることで損益分岐点をカバーし、それに車両販売で利益を上乗せする収益構造を考えている。販売車両の車検防衛率80%を目指している。同社の小売販売台数は、2015年11月期が28,493台、2016年11月期が35,296台であり、2017年11月期は42,000台を見込んでいる。車検台数は、2015年11月期に3,660台であったが、2018年11月期には28,230台を目標とする。

2016年11月期の整備収益強化策は、1)整備機器の整った大型店の出店、2)整備スタッフの採用強化、3)整備部門の組織強化であった。陸運支局に代わって車検(検査)ができる指定工場を、期中に4店舗増加して9店舗とした。整備士の雇用は、販売が伸び悩む新車ディーラーからの中途採用が多い。転職に前向きな整備士は、同社の成長が著しいため昇進・昇給のチャンスがあり、また複数メーカーの車種を扱えることから技術や知識の習得機会が増えることを評価している。整備部門の人員は、前期末比73%増加させた。同部門では、保険会社とのタイアップによる事故受付の強化や車検入庫率の改善のためコールセンターの強化を行っている。同社の車検サービスの認知度を高め、来店を誘発するため、通常なら工賃込みで5,000円前後のオイル交換サービスを500円で提供している。ネット予約をすれば、待ち時間が不要になる。

同部門は、費用の発生が先行しているが、車検防衛率などが上がれば、人的及び設備の稼働率が上昇し、全体の収益性改善に寄与することになるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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