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アドバネクス Research Memo(11):円高と新工場立ち上げ費用により大幅減益


■業績動向

(1) 2017年3月期第2四半期業績

a)連結損益計算書—大幅減益
アドバネクス<5998>の2017年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比11.6%減の8,772百万円、営業利益が同76.9%減の84百万円となった。埼玉工場及びメキシコの第2工場と新工場の立ち上げに関わる固定費・経費が増加するため、期初予想から減収減益を見込んでいた。しかし、8月になると予想以上の円高進行とOA機器向け売上高の想定以上の落ち込みなどにより、第2四半期業績予想を下方修正した。実績は予想修正値を上回ったものの、前年同期の水準と比べると大幅な減益となった。

b)地域別売上高と営業利益
地域別売上高構成比は、日本が42.7%、海外が57.3%となった。海外売上高の内訳は、米州が全体の10.5%、欧州が10.0%、アジアが36.7%であった。当第2四半期は、円が対米ドルだけでなく、ユーロ並びに人民元に対しても円高となったことで、すべての地域でマイナス要因となった。為替感応度は、1米ドル当たり1円の変動で、売上高で約1億円、営業利益で13百万円の影響を受ける。当第2四半期の平均レートは、1米ドル当たり106.7円となり、前年同期比14.8円の円高となった。仮に、前年同期並みのレート(1米ドル当たり121.5円)であれば、減収幅は計算上2.2%にとどまった。

日本における売上高は、自動車向けが好調に推移したものの、OA機器向けが大幅に落ち込んだことから、前年同期比4.8%減少した。減収の上、埼玉工場の立ち上げ費用がかさんだことにより、セグメント損失は前年同期の△145百万円から△296百万円へと拡大した。米州は、円高の影響で15.6%の減収となった。メキシコ第2工場のスタートアップコストにより、セグメント利益は前年同期の52百万円から△53百万円へと赤字に転落した。欧州は、円高の影響に加えて、航空機器向けが好調に推移したものの、主力の医療向けに一時的な落ち込みがあり、売上高が前年同期比29.9%減、セグメント利益が同52.6%減となった。一方、アジアは円高の影響により売上高が11.5%減少したものの、タイの収益が大幅に拡大したほか、中国の収益性改善の取り組みが奏功したため、セグメント利益が同10.4%増の356百万円となった。

市場別売上高構成比と前年同期比増減率は、自動車が40.5%、4.6%増、OA機器が19.7%、27.1%減、医療機器が7.7%、23.2%減、精密機器が6.1%、22.3%減、住設機器が4.1%、19.6%減、AV・家電が3.9%、21.1%増、航空機器が3.4%、8.1%増、PC・周辺機器が3.3%、16.8%減、携帯情報端末が1.4%、55.8%減、その他が10.0%、9.1%減となった。円高の影響度が大きかったのは、自動車、OA機器、医療機器、航空機器など。仮に前年同期と同水準の為替レート(1米ドル当たり121.5円)であれば、自動車の伸長がOA機器の落ち込みをカバーできた。

c)連結貸借対照表
当第2四半期末における総資産は、前期末比739百万円減少して16,285百万円となった。資産の部では、現金及び預金、棚卸資産などの減少により、流動資産が378百万円減の9,579百万円となった。有形・無形固定資産及び投資その他資産も減少し、固定資産は前期末比361百万円減の6,705百万円となった。負債の部では、借入金の増加などにより、流動負債並びに固定負債が増加し、負債合計は前期末比345百万円増の10,791百万円となった。純資産は、1,084百万円減の5,494百万円であった。当第2四半期純損失(△4百万円)、配当金支払(△141百万円)により利益剰余金が減少した上、円高による為替換算調整勘定が954百万円減少した。この結果、当第2四半期の流動比率は159.6%、自己資本比率が33.4%へ低下した。

d)キャッシュ・フローの状況
2017年3月期第2四半期の現金及び現金同等物の残高は2,361百万円と前期末比308百万円、前年同期比で849百万円減少した。営業活動によるキャッシュ・フローは、利益と減価償却費(378百万円)などのプラスがあったものの、売上債権及び棚卸資産の増加により、入超額は225百万円にとどまった。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資(549百万円)などにより703百万円のマイナスとなった。財務活動によるキャッシュ・フローは、設備投資資金を借入金で賄ったこともあり498百万円の収入となった。

(2) 2017年3月期予想

2017年3月期は、売上高17,700百万円(前期比7.2%減)、営業利益450百万円(同32.7%減)、経常利益が400百万円(同40.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益220百万円(同62.5%減)を予想している。為替の前提は、前期の1米ドル120円に対し、上期の実績が106.7円となり、下期の想定レートは期初予想の110円から100円に変更した。

前下半期に落ち込んだOA機器市場からの需要は、当初から今上半期中の回復を見込んでいなかったが、実際は予算を大幅に下回った。今下期は、同市場の過半を占める消耗品のラインナップ更新に伴う減少が収束し、売上減少傾向は一服するとみている。また、一時的に減少した医療市場の需要も回復が見込まれている。


業績の本格回復は、新製品の量産開始時期の来期後半に

業績の本格的な回復は、深絞り製品の本格量産や設備の搬入、他工場からの生産移管、監査が終了し、埼玉工場が新製品の本格量産を開始する来期後半となる見込みだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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