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【金先物・ドバイ原油先物の魅力】~2023年上期相場の振り返り~vol.2


*17:01JST 【金先物・ドバイ原油先物の魅力】~2023年上期相場の振り返り~vol.2 以下は、2023年10月19日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された「2023年上期相場の振り返り(前編)」です。前編は株式、金、原油相場について、後編は金先物・ドバイ原油先物の投資活用をフィスコ・マーケットレポーター高井ひろえが紹介、4回に分けて配信します。


それでは、金先物価格の推移を確認したところで、このような価格推移となった要因について、ここからは解説していきたいと思います。

まず、2020年に入ってから価格が大きく上昇し始めた要因として、「新型コロナウイルスの流行」が挙げられ、その後は「世界情勢の緊迫化」などが関連しているでしょう。世界的なパンデミックを前に人々は怯えたほか、ロシアによるウクライナ侵攻による地政学リスクの高まりにより、株式などのリスク資産を避ける動きが広がりました。一方で、安全資産の代表格である金は有事の投資先として需要が高まりました。しかし、2021年以降、株式市場が徐々に回復し始めてからも、金価格は強い上昇基調を続けました。これは一体何故なのでしょうか。

まず一つ目の要因として、歴史的な為替相場の円安進行が挙げられます。今年は1月1日にドル円が1ドル=133円でスタートした後、9月現在で年初来高値148円を超えるなど、歴史的な円安が進んでいます。これは、各国中央銀行がインフレに対応するために積極的に利上げを進める一方で、日本の中央銀行である日本銀行は大規模な金融緩和を続けたことが大きいと言えます。大阪取引所が扱う金先物は円建て取引であるため、歴史的な円安が金価格の上昇に寄与したと考えられます。

また、円安進行のほかに、ドル建ての金価格も高止まりを続けています。米金利上昇でドル建ての金価格が下がっていたら円安でも円建ての金価格は上昇しない可能性が高いです。ただ、ドル建ての金が金利上昇に反応せず下落しない一方、米金利上昇が円安進行の追い風となっているため、金価格が堅調に推移しやすい傾向が続いています。

二つ目に、世界情勢の混乱と世界的なインフレが挙げられます。新型コロナウイルスショックにより資金の退避先として金が選ばれたほか、2022年にはロシアのウクライナ侵攻により地政学リスクが高まり安全資産としての金が注目されました。下記のチャートは、世界的の商品市況の動きを表す代表的な指数、CRB指数と日本の国内消費者物価指数の推移を表したチャートです。新型コロナパンデミックによりサプライチェーン(供給網)が混乱し、企業の生産活動が停止し、需給の逼迫から記録的なインフレが起きました。直近ではCRB指数は落ち着きを見せ始めていますが依然として高水準であり、原油市況の上昇によるインフレ再燃も懸念されています。

また、将来の台湾有事に対する懸念点から金が注目されています。そのほか、最近では中国やサウジアラビアが米国債への投資を減らしており、その代替投資先として金の需要が増加しています。直近では、中国が金の買いを続けて9カ月連続で中国の金準備が増加しました。
以上が、金価格の上昇につながった可能性として考えられるでしょう。

続いて、ドバイ原油先物の価格推移について解説していきます。

左のチャートはニューヨーク・マーカンタイル取引所で取引されている世界の原油価格で最もポピュラーなWTI原油先物価格のチャート、右は東京商品取引所のドバイ原油先物価格のチャートです。2つは似たような動きを示していますが、動き方にはやや違いもあります。例えば、東京商品取引所のドバイ原油先物価格の直近2023年9月22日の価格は2022年6月の高値まで約10%に迫っていますが、ニューヨーク・マーカンタイル取引所のWTI原油先物価格の直近価格と22年6月高値には35%以上乖離があります。これの最大の要因は取引通貨の相違であり、国際商品である原油はドル建てで取引されるのが一般的ですが、東京商品取引所のドバイ原油先物は日本の市場参加者を考慮して円建てで取引されていることがあげられます東京商品取引所のドバイ原油先物は、ドルベースでの価格変動に加え、為替変動(ドル円)の影響を受けることになります。この2つの原油先物取引は1取引単位当たりの原油のボリュームも異なり、WTI原油先物は1バレル当たりの価格で、1バレルは0.159キロリットルです。一方、東京商品取引所のドバイ原油先物は1キロリットル当たりの価格です。

次にWTI原油とドバイ原油の違いについてご説明いたします。WTI原油はウエスト・テキサス・インターミディエートの略でアメリカ合衆国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称です。一方、ドバイ原油はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで産出される原油のことです。日本は輸入する原油の90%超が中東産原油であり、東京商品取引所では中東産原油の基準価格となるドバイ原油の先物取引を扱っています。東京商品取引所で売買されているドバイ原油先物は円建てにて取引されていますが、海外では米ドルで取引が最も多く、ドル建てではWTI原油先物価格とドバイ原油先物価格はほぼ同じです。

チャートは、東京商品取引所に上場しているドバイ原油先物の価格推移となります。2020年のコロナショック直後には1キロリットル当たり20000円を割っていましたが、様々な要因が重なり現在では80,000円程度まで価格は上昇しています。2021年以降の原油価格の推移を要因とともに詳細に振り返ってみましょう。

まず、2020年に新型コロナウイルスの影響を大きく受けた後、2021年から価格が大きく上昇し始めました。大きな要因としては、2021年後半には各国で経済活動再開が進むも産油国の供給回復が追い付かず需給がひっ迫しました

続いて、2022年上半期は、ロシアによるウクライナ侵攻が価格の上昇につながりました。まず米国及び英国がロシア産原油禁輸措置の決定し、その動きが西側先進国に広がりました。こうした状況を受けて、IEA加盟国による協調石油備蓄放出及び米国による戦略石油備蓄(SPR)放出により、需給は一時緩和する方向に向かったものの、物理的な供給途絶懸念などが拭えず、上半期は原油価格が高騰した状況が続きました。

下半期においては、中国ゼロコロナ政策などによる都市封鎖で同国石油需要の伸びが鈍化するとの懸念が台頭、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ等により、米国経済への影響が懸念されて価格は下落基調となりました。こうしたなか、中国やインドがロシア産原油の引き受け、欧州が中東や米国産の原油を確保したことから市場での供給不安は大きく後退しました。一方、OPECプラスは減産体制強化に動き、また我が国においては円安の効果もありドバイ原油先物価格の下落は60,000程度までとなり、コロナ前の水準まで価格が戻ることはありませんでした。

2023年に入ると、価格は60,000台で比較的安定した推移が続いていました。しかし、6月にOPECプラスが協調減産の枠組みを2024年末まで延長することで合意したことに加えて、さらに、直近ではサウジアラビアとロシアが原油の自主減産を背景に上昇圧力がかかっています。

以上、2023年9月までの株式、金、原油相場についてお話させて頂きました。
後半では、簡単に金・ドバイ原油先物について紹介した後、今後の投資活用を解説していきます。

※原稿作成:フィスコアナリスト山本 泰三
—【金先物・ドバイ原油先物の魅力】~金先物・ドバイ原油先物の投資活用~vol.3に続く—


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