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原油価格と米中貿易戦争の関係~もっと知りたい商品先物取引


みなさんこんにちは!フィスコマーケットレポーターの高井ひろえです。今回は足元の原油価格の動向について考えてみます。原油市況の代表的指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)価格は、4月22日の直近高値1バレル=66.6ドルを天井として上値の重い展開になっています。この背景にはどういった要因があるのでしょうか?!

■米中貿易戦争は激化の方向
一番大きなポイントは、米中貿易戦争の激化です。最近の動きとしては、5月10日にトランプ政権が対中制裁の第3弾として5,700品目、約2,000億ドル相当の中国製品に対する関税率を従来の10%から25%に大きく引き上げました。さらにトランプ政権は13日、中国の対米輸出のうち関税対象外になっている残りの品目、約3,000億ドル相当についても25%の関税を課すことを検討していると明らかにしました。この米国の措置に対して、中国政府も報復関税を検討していることを発表しています。

■米中貿易戦争が世界経済に与える影響
この米中貿易戦争は原油消費にどう影響するのでしょうか?昨年10月時点の国際通貨基金(IMF)の試算によると、米中のすべての貿易品目に25%の関税が課された場合、中国経済の成長率は1.2%、米国経済は0.2%下押しするとのことです。さらに企業マインド悪化による設備投資の下振れ、金融資本市場の混乱など間接的影響を含めると、影響は中国で最大1.6%、米国で0.9%まで下押し効果が拡大する見通しです。

■米中貿易戦争が原油消費に与える影響
あくまでも単純な机上の計算になりますが、前述のIMFの景気への影響が現実となった場合、その度合いに比例してエネルギー消費が落ち込んでしまうと予想されます。OPECの最新の月報で示された米国の2019年第2四半期の消費予想量は1日当たり2,085万バレルであるため、0.9%の景気落ち込みに相当して原油消費量が減るとするのであれば約19万バレルの減少となり、同様に中国は1,318万バレルに対して1.6%の マイナス影響となるため約21万バレルの減少が試算されます。もちろん米中貿易戦争に伴う経済の下振れリスクは世界の国々に波及します。加えて米国のシェールオイルの増産や、もう少し長期的な視点からは電気自動車(EV車)の普及と技術改良に伴うガソリン需要の減退なども指摘されています。このような背景から、足元の原油相場は軟調な動きとなっていると推定されるのです。

フィスコマーケットレポーター 高井ひろえ




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