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コラム【ポートフォリオのススメ】論理的判断と感覚的判断【2】(マネックス証券 塚本 憲弘)


*09:24JST コラム【ポートフォリオのススメ】論理的判断と感覚的判断【2】(マネックス証券 塚本 憲弘) 閉じられた3つのドアのうち、1つが当たりというゲームに参加することを想像してみてください。あなたが1つのドアを選択すると、出題者が残りのドア2つのうち、はずれのドアを1つ明かします。そしてあなたは選択するドアを、残っているもう1つの開けられていないドアに変更しても良いと言われます。あなたはドアを変更しますか?

確率論では正解は「ドアを変更する」です。当初1/3の当たり確率でドアを選んでいますが、ドアを変更する場合に当たる確率は2/3になります。これは1990年に実際にあった話題で「モンティ・ホール問題」と言われます(ご興味あればWikipediaご参照ください)。興味深いのはドアを変えても確率は変わらないという意見が博士号保持者も含め多くの人からなされ大論争へ発展したことです。

直観と理論がかい離する代表的な事例ですが、100あるドアから1つを選んでその後98のドアが開かれた場合、自分の当初選んだドアと残りのもう1つのドアであればドアを変更する方が良いと思えるのは直観的にも受け入れやすいでしょう。

論理的判断と感覚的判断【1】(https://media.monex.co.jp/articles/-/22767)では論理的判断も良いけど自分が納得のいく現実的な判断も尊重されるべきとしましたが、この事例を見るに直観にも危うさがあり、理論はそれを補完してくれる大切なものだと分かります。よく言われる金融リテラシーとはこのような理論も含むのでしょう。

日本人は金融リテラシーが低いと言われますが、果たしてそうでしょうか?各国比較などデータがあるようですが、他国と異なり長期デフレを経験する中で現預金を選好してきたことは賢い選択肢と言えます。一方で物価の上昇や賃上げ基調など構造変化の兆しを感じる中で、運用手法も変化する必要があるでしょう。環境が変わればそれに対応すべく新たなリテラシーが必要となってきています。

モンティ・ホール問題は1つのドアが開かれたことで確率が変化しており、直感に反する正解があることを示しています。これを資産運用における喩えに置き換えるわけではありませんが、我々の生活環境も変化する中でこれまでの感覚的判断も変わるべきところがあるでしょうし、どのような変化を捉えるべきなのか、まずはそれを論理的に伝えていくことが我々に必要なことだとも感じております。


マネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ 塚本 憲弘
(出所:11/6配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)


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