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コラム【アナリスト夜話】:リゾート振興の夢再び(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)


週末に、初めて宮古島に行ってきました。一部の地価がこの数年で数百倍になり、地元の信金の不動産貸出が昨年比14%も増加したなどと聞き、興味を惹かれたためです。

天気は大荒れでしたが、“東洋一”の謳い文句で大型客船を誘致している海岸には心を奪われました。しかし、それと並んで目を引かれたのは、各所に設置された簡易住居、いわゆる“コンテナハウス”です。工事の人手不足で短期的に居住する人々で増えたためで、家賃は、20m2でなんと東京のアパート並みの月10万円。礼金もしっかり1か月分取ります。

そこまで来たか、と思っていた矢先、国内50か所に高級ホテルを新設するという政府の方針が報じられました。ネットでは賛否両論で、私世代だと、87年にバブルに油を注ぎ、結果宮崎シーガイヤ等の破綻を招いた “リゾート法”を彷彿としてしまいます。

では、これは“バブル”なのでしょうか。しかし、リゾート法当時は、まだ日本への外国人観光客は200万人と、現在の15分の1程度でした。後講釈ですが、“器”よりも、まずはアジア諸国の成長や日本を知ってもらう広報活動が必要だったのに、少し早すぎたのではと思います。一方、いまや沖縄の観光客数はハワイを超えていますが、滞在期間も消費額も2分の1以下です。この局面なら、長期滞在型の器作りはマッチすると思います。

とはいえ、バブル崩壊は、このような理由付けの後にやってくるだけに、今の熱狂には不安もよぎります。たまたま週末に宮古島特集を組んでいたTVの報道番組では、ハワイを例に挙げ「90年代に日本マネーの流入で地価が急騰し、その後日本のバブル崩壊のあおりで暴落したので注意」と締めくくっていました。

しかし、ハワイの地価は、日本の影響とされる90年代後半とリーマン後の一時期に暴落しただけで、過去30年で3~4倍になっています。日本のマイナス金利も終わるどころか深掘りの可能性すらあり、資産価格上昇の“燃料”は注がれ続けるでしょう。片目で注意しつつ、しかし、日本の数少ない成長分野であるインバウンド関連産業界には期待したいと思います。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:12/9配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)




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