名古屋議会で臓器移植の環境整備について意見書が可決
このたび可決した名古屋市の意見書は、「臓器移植により多くの患者の命が救われた」一方で、「臓器移植ネットワークが正しく管理されていない外国における移植は、臓器売買等の懸念を生じさせ、人権上ゆゆしき問題」と指摘した。
またイスラエル、スペイン、台湾などでは臓器売買に加え、臓器移植ツーリズムが法律で禁止されており「諸外国等では法整備が進んでいる」とも明記した。要望として、移植コーディネーターの確保支援、移植ネットワークが正しく管理されていない国で移植を受けることのないよう必要な対策をとること等を挙げ、日本の臓器移植法の整備に向けた動きを促す。
地方議会で、違法性が疑われる海外渡航移植の抑制あるいは禁止を求める意見書の可決は、青森県上北郡六戸町議会(2014年)の、鎌倉市議会(2016年)、埼玉県議会(2017年)に次いで4例目となる。
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上記の国で移植渡航を禁止する法律が成立したのは、2006年、人権弁護士デービッド・マタス氏、カナダ政府元官僚デービッド・キルガー氏による独自調査の結果に基づいている。報告は、臓器移植ネットワークやドナー制度のない中国で、大量に移植手術が可能となっているのは、ウイグル人、チベット人、政治犯、法輪功学習者ら「良心の囚人」から臓器を強制摘出しているためだと指摘した。
この問題は「中国の臓器狩り」として、ニューヨークタイムスやウォールストリートジャーナル、CNN、英BBCなど英語圏をはじめとする主要紙は大きく報じた。両氏は2010年、調査の功績と周知活動でノーベル平和賞候補に選ばれている。
2016年6月には、在英米国人ジャーナリストのイーサン・ガットマン氏の調査も含めた更新版「中国臓器狩り/ザ・スローター:2016年最新報告書」が発表された。報告書は、年間移植件数を6万件から10万件とし、中国当局の公表する年間移植件数1万件を遥かに上回る数字と指摘した。
ガットマン氏は調査方法について、中国の数百軒の病院で行われている移植プログラムの精査、メディア報告、当局の宣伝、医療関連誌、病院のウェブサイト、アーカイブされた削除済みの大量のサイトデータを分析し、病院の収益、病床数、利用率、外科手術のスタッフ養成、国家資金から推計したという。
日本の外交評論家「欧米先進国では人道問題として広く認知されている」
報告書を受けて、米下院議会では2016年6月、良心の囚人からの系統的な強制的な臓器摘出を非難する「343号決議案」が全会一致で通過した。同年同月、イギリス保守党の人権委員会が中国の人権に関する報告書を発表し、法輪功学習者は臓器を生きたまま摘出されていると、「臓器狩り」問題に言及した。欧州議会でも2013年12月、臓器ビジネスについて、即刻止めるよう中国政府に求める決議案を可決した。
日本でも法整備に向けた動きは、全国の地方議会からの意見書提出という形で着実に進展している。「欧米先進国では既に国家的、そして世界的な人道問題として、政界、財界、マスコミ、市民レベルでも広く認知されている。先進国である日本では、問題化されていない。知恵を集めて問題の周知と法整備を前進させなければならない」と、11月末に参議院議員会館で開かれた「中国臓器移植を考える会」第4回地方議員勉強会の冒頭あいさつで、外交評論家・加瀬英明氏は述べた。
同会の趣旨は、中国臓器ビジネスについて警鐘を鳴らし、国内の臓器移植法整備を推進するものとしている。会には、埼玉県議会・浅野目義英議員、広島県議会・石橋林太郎議員、神奈川県逗子市議会・丸山治章議員、新潟県柏崎市議会・三井田孝欧議員が出席し、各地方での取り組みや意見交換が行われた。
草の根運動して、オンライン署名サイトChange.orgでは移植法整備を求めるキャンペーンが展開されている。「無実の人が臓器を取り出されて殺されているのだとしたら、その移植は受けるべきではない。殺人を認める事になる。道理を破ってしわ寄せがいくその先は、いつも子供たちだ」と賛同者の一人はコメントした。
(文・甲斐天海)
【ニュース提供・大紀元】
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