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NYの視点:欧州政局不安が当面ユーロの上値抑制か、オーストリアのEU離脱懸念も


本年に入り、欧州の経済やインフレの改善が目立ち、欧州中央銀行(ECB)が異例な緩和策を縮小するとの見方が強まり始めユーロを押し上げた。しかし、ここにきて、英国、スペイン、オーストリア、ドイツなど政局不安が浮上。ユーロの上値を当面抑制する可能性が出てきた。

オーストリアでは15日に投開票された総選挙で中道右派、極右派が勝利。英国に続き、欧州連合(EU)を離脱するとの懸念も浮上した。移民問題の深刻化で、欧州にニューノーマル、反移民、ポピュリズム、国粋主義の動きが台頭しつつあり、欧州連合(EU)の公約である、国境の開放、移民促進の方針の課題となっている。

ドイツの総選挙ではメルケル首相が勝利、4期続投を決定。与党は第1党を確保したものの、大きく議席を失った。一方、難民の受け入れ反対を訴えた新興の右派政党が、第3党に躍進。今後の議会運営政策決定にも影響を及ぼすと見られている。

●スペイン、カタルーニャの独立問題

スペインではカタルーニャの独立問題が引き続き懸念材料。プチデモン州首相はスペインのラホイ首相に宛てた書簡で対話を呼び掛け、できる限り早期の会談を求めた。独立を宣言する負託を州住民から得ているとの立場を再表明。これに対し、スペイン政府はプチデモン・カタルーニャ州首相に19日までに、独立の主張を取り下げなければ自治停止の措置を進めると警告した。

●オーストリア

15日に投開票されたオーストリア国民議会(下院)の総選挙で、セバスティアン・クルツ氏率いる中道右派・国民党が第1党になる見通しとなった。国民党の得票率は31%以上になるとみられる。欧州統合懐疑派の自由党は25%を確保。

選挙では移民問題が主な争点だった。2015年の欧州の難民危機を受け、クルツ氏はより右寄りの政策を国民党内で推し進めた。欧州への移民の流入経路の閉鎖や難民への社会保障支払いの上限設定、社会保障の受給に国内での居住5年以上を条件にすることなどを選挙公約にして、保守派や右派有権者に訴えた。

自由党の躍進を受けて、国民党が右傾化したとみられている。中東や北アフリカからの大量の不法移民や難民が流入するなか、オーストリアの有権者の間で自由党の政策への支持が高まっていた。

●英国のEU離脱

離脱に関して、英国と欧州連合(EU)の協議に進展が見られない。メイ首相はユンケル欧州委委員長と16日非公式夕食会合を開いた。欧州連合(EU)が発表した声明では「会合が建設的だった」としたが、問題となっている清算金に関して合意は見られず、何の進展もなかった。一部の英国政府高官は11月に危機に陥る可能性にも言及したと、英フィナンシャルタイムズ紙が報じた。

英国はすでに200億ユーロの清算金で合意済み。メイ首相はこれ以上、支払う意向を見せなかったようだ。一方、ドイツのメルケル首相は、メイ首相に資金を払わなければ、協議を開始しないと警告。EU側は600憶ユーロ必要だと主張している。

●ドイツ

総選挙で、与党は第1党を確保したものの、大きく議席を失った。一方、難民の受け入れ反対を歌えた新興の右派政党が、第3党に躍進。今後の議会運営政策決定にも影響を及ぼすと見られている。



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