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日経平均は続落、パウエルFRB議長の講演控え見送りムード強まる


 日経平均は続落。104.25円安の23186.61円(出来高概算4億6129万株)で前場の取引を終えている。

 前日26日の米国株式相場は上昇。ダウ平均は83.48ドル高の28331.92ドル、ナスダックは198.59ポイント高の11665.06ポイントで取引を終了した。利益確定の売りでダウは下落して寄り付いたものの、全米で新型コロナウイルス感染件数が安定していることやワクチン開発でさらに前進した報道が好感され上昇に転じた。引き続きハイテクセクターに幅広く買いが広がったほか、27日予定されているパウエル議長の講演で、追加緩和が示唆されるとの期待から、引けにかけて上昇幅を拡大した。

 米国株高を受けた今日の東京株式市場はやや買いが先行したが、寄り後、マイナスに転じた。日本の新型コロナウイルス感染拡大がピークを越えたとの見方もあり、警戒感がやや後退していることに加え、ワクチン開発進展の報道も好感され、寄り付き段階では買い手掛かり材料となった。ただ、今晩ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長の講演が予定されており、期待する一方で内容を見極めたいとする向きも多く、次第に見送りムードが強くなり、下げ幅は一時100円を超えた。

 個別では、上半期大幅増益見通しや株式分割実施を発表したハイマックス<4299>、パンクしても一定距離走れるタイヤ素材を開発したと発表したオーミケンシ<3111>がストップ高買い気配となり、また第1四半期大幅減益決算もあく抜け感が先行したリクルートHD<6098>、紫外線照射装置の製品化に向け東芝ライテックと業務提携すると発表したウシオ電機<6925>、カナダ子会社が新型コロナワクチン製造に関して業務提携したと発表した生化学<4548>、西濃運輸などとの業務提携を発表したトレファク<3093>が堅調。また、アナリストの高評価などで昨日の米国市場で大幅高となったセールスフォースの関連銘柄としてテラスカイ<3915>、チームスピリット<4397>、Orchestra Holdings<6533>、ヴィンクス<3784>が上げた。

 一方、総務省が携帯電話の番号持ち運び制度(MNP)の利用手数料を原則無料とする方向で調整に入ったと報じられたことを受けたKDDI<9433>、公募による自己株式の処分と株式売出しを発表し需給悪化が懸念されたフルヤ金属<7826>、第1四半期連結営業損益が1.22億円の赤字となったアイフリークモバイル<3845>、海外募集による新株式発行を発表し1株価値の希薄化が嫌気されたメドレー<4480>が安くなった。

 セクターでは、サービス業、ゴム製品、倉庫運輸関連、水産・農林業、精密機器などが上昇率上位。一方、鉱業、保険業、不動産業、海運業、銀行業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の30%、対して値下がり銘柄は63%となっている。

 市場では二人の要人の発言に対する関心が高まっている。一つはジャクソンホール会議で今晩10時過ぎ(日本時間)に予定されているパウエルFRB議長の講演。もう一つは明日28日の開催予定が伝えられている安倍首相の記者会見だ。簡単に見てみよう。

 まず、パウエルFRB議長の講演だが、読みづらい。19日に公表された7月のFOMC議事録で追加金融緩和策に踏み込んだ議論をしなかったことが明らかになったことで、追加的な金融緩和策への言及は期待できないとする向きもあれば、フォワードガイダンス(将来の政策指針)導入を示唆するとの期待もある。また、追加的な金融緩和策は示さない形で「ハト派」を演出するとの見方もある。もしフォワードガイダンス導入への言及があれば米国株式市場は好感するだろう。しかしドル相場の下落圧力が高まり、円高による東京株式市場の上値抑制要因となる可能性もある。また、昨日の当欄にあるように、講演後に材料出尽くし的な動きが広がる可能性も頭に置いておきたい。現段階では市場が想定するシナリオはまとまっておらず、講演内容を受けて株価は上にも下にも変動する可能性がありそうだ。

 次に明日の安倍首相の記者会見。実施されれば、注目されそうなのが首相の体調だろう。体調は悪くなく従来通りの政権運営が続く、または治療に専念するために麻生財務大臣を首相臨時代理とする、あるいは体調悪化で退陣する、など、様々なシナリオが取り沙汰されている。退陣となれば、次期自民党総裁を急ぎ選出しなければならない。石破氏、菅官房長官、岸田政調会長などが「ポスト安倍」として名が挙がっているが、ポスト安倍に向けた政局でのキーマンは二階幹事長となりそうだ。石破氏の強みである地方票が反映されやすい総裁選挙を行うのか、緊急の場合に行われる両院議員総会で選出するのか。そこにも幹事長である二階氏の意向が働きやすい。

 いずれにしてもポスト安倍政権は、二階氏の影響力が大きくなる可能性が高そうだ。その二階氏。かつて「媚中派」と称されたほど親中国の姿勢が強い。安倍氏退陣となれば次期政権は中国寄りとなる可能性もあり、米中対立で下げる場面があった電子部品や半導体関連株、中国関連株が注目されるかもしれないが、話は簡単ではない。11月の米大統領選挙で対中強硬策を掲げるトランプ氏が当選すれば、米国は対中強硬政権、日本は二階氏が影響力を持つ親中政権、ということにもなりかねない。明日、報道どおりに安倍首相の記者会見が行われた場合、そうした視点も必要かもしれない。

 さて、後場の東京株式市場で日経平均はもみ合いとなりそうだ。引き続きパウエルFRB議長の講演内容などを確認したいとのムードが強く、積極的な買いは手控えられそうだ。前場のTOPIXの下落率はちょうど0.5%と、日銀によるETF買いが期待できるか微妙な水準。ただ、ここから下を売り急ぐ理由も見当たらず、パウエルFRB議長講演というイベント前に引き続き方向感の定まらない相場展開となりそうだ。


<AK>

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