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日経平均は反落、米中懸念での追随売りは限られたが


 日経平均は反落。93.81円安の22833.23円(出来高概算6億株)で前場の取引を終えている。

 10月31日の米株式市場でNYダウは反落し、140ドル安となった。中国が米国との通商協議で包括的かつ長期的な合意に達することは困難であると考えていることが一部メディアの報道で伝わり、米中摩擦への懸念が再燃。10月のシカゴ購買部協会景気指数が2カ月連続で節目の50を割り込み、製造業の不振が示されたことも嫌気された。為替相場はリスク回避的な円買いで一時1ドル=107円台まで円高に振れ、本日の日経平均はこうした流れを引き継いで196円安からスタート。寄り付き直後には22705.60円(221.44円安)まで下落する場面があったが、先物の買い戻しなどから下げ渋り、この日の高値圏で前場を折り返した。東証1部の値下がり銘柄は全体の6割強、対して値上がり銘柄は3割弱となっている。

 個別では、資生堂<4911>や太陽誘電<6976>が軟調で、ソニー<6758>、トヨタ自<7203>、TDK<6762>は小安い。TDKの決算に対する市場評価は高いが、材料出尽くし感と米中摩擦への警戒感から売りも出たようだ。また、短期的な過熱感から売りが続く三桜工<6584>、上期が減収減益となったJVCKW<6632>などが東証1部下落率上位に顔を出した。一方、任天堂<7974>が売買代金トップで6%近い上昇。家庭用ゲーム機
「ニンテンドースイッチ」の好調などで上期決算が市場予想を上回った。キーエンス<
6861>や村田製<6981>も決算発表を受けて大きく買われた。その他売買代金上位では武田薬<4502>や東エレク<8035>が堅調で、前日に値を崩したアドバンテス<6857>は急反発。また、イマジカG<6879>や沖縄電力<9511>が東証1部上昇率上位に顔を出した。セクターでは、鉱業、非鉄金属、精密機器などが下落率上位。反面、その他製品、電気機器、陸運業などが上昇率上位だった。

 海外メディアの報道を受けて米中摩擦への警戒感が高まり、米株安につれて本日の日経平均は200円近い下落からスタートした。ただ追随する売りは限られ、寄り付き直後を安値に買い戻し主導で下げ渋る展開となっている。前述の報道については、中国の対米姿勢として特段サプライズのある内容ではなく、部分的な合意に対する期待は変わらないと冷静に受け止める市場関係者の声もある。アジア市場では中国・上海総合指数などが小じっかり。日銀による上場投資信託(ETF)買い入れ、企業の自社株買いといった需給要因も引き続き株価の下支えとして期待されているとみられる。

 だが、日本では3連休が控え、この間に米国では10月の雇用統計やサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数の発表が予定されている。31日発表の米シカゴ購買部協会景気指数が3年10カ月ぶりの低水準まで下げ、米長期金利の低下とともに為替が1ドル=108円近辺まで円高方向に振れただけに、米景況感悪化への警戒感が出てくる可能性はある。またセクターごとの動向を見ると、決算による個別物色の影響を除けば景気敏感株が売られ、内需・ディフェンシブ株に資金が向かっている印象。米中摩擦への警戒感は拭いづらいようだ。後場の日経平均は戻り一服となることも想定しておきたい。前日は7-9月期決算発表の第1のピークだったが、来週も主要企業の決算発表が続く。このため引き続き個別株物色中心の相場展開となりそうだ。
(小林大純)

<NH>

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