
住宅購入で親から贈与・相続を受ける人はどれくらい?
親からの贈与や相続によって住宅購入資金を確保できる人は、一定数います。ただし、住宅購入時の贈与と、これまでに親から相続を受けた経験とでは、調査対象や数字の意味が異なります。
住宅購入者の約1割強の人が親から贈与を受けている
一般社団法人不動産流通経営協会の「不動産流通業に関する消費者動向調査(2026年度)」によると、住宅購入時に親から贈与を受けた人の割合は13.2%、年代別では30~34歳が26.1%と最も多く、次いで29歳以下の層が16.7%となっています。
また、親からの贈与額は、500万円超~700万円以下が全体の39.0%と最も多く、次いで500万円以下が26.0%となっています。
この調査では住宅購入者の約1割強が親から贈与を受けていることになりますが、裏を返せば、約9割弱は親から贈与を受けていません。「親からの援助のない人のほうが一般的」といえるでしょう。
なお、この調査は首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で住宅を購入した世帯を対象としています。全国の住宅購入者全体に同じ割合が当てはまるとは限りません。
親から相続を受けた経験がある世帯は約4世帯に1世帯
一般財団法人ゆうちょ財団の「第6回家計と貯蓄に関する調査(2024)」によると、世帯主の親から遺産相続を受けたことがある世帯は26.9%で、およそ4世帯に1世帯となります。
ただし、相続した財産には、現金や預貯金といった金融資産だけでなく、自宅などの不動産も含まれます。また、この調査は住宅購入者に限定したものではありません。そのため、相続経験がある世帯の割合を、そのまま「住宅購入に使える現金を持つ人の割合」と考えることはできません。
親からの贈与・相続を住宅購入に活用する方法
親から資金援助を受けられれば、住宅ローンの借入額を抑えたり、自己資金を増やしたりできる可能性があります。
住宅購入資金の贈与には非課税制度がある
父母や祖父母から住宅購入資金の贈与を受ける場合、一定の要件を満たせば「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」を利用できます。2026年10月現在、適用期限は2026年12月31日までです。非課税限度額は、省エネ等住宅で1000万円、それ以外の住宅で500万円となっています。
ただし、贈与を受ける人の所得や住宅の床面積、住宅性能などに条件があります。また、非課税の特例を利用する場合は、原則として贈与を受けた翌年に贈与税の申告が必要です。
高額な援助なら「相続時精算課税制度」の選択も
1000万円を超えるような大規模な援助を受ける場合、あるいは将来の相続を先取りする形で資金をもらう場合は「相続時精算課税制度」も選択肢に入ります。
これは、毎年110万円の基礎控除と通算2500万円の特別控除を利用でき、特別控除を適用した贈与額については、将来親が亡くなった際に相続税の計算に含めて精算する仕組みです。大型の資金援助を受けつつ早期にマイホームを建てたいファミリー層に活用されています。
親からの援助がなくても無理のない住宅購入を
親からの資金援助があるかどうかは、住宅購入時に準備できる自己資金に影響します。しかし、援助を受けられることが住宅購入の前提ではありません。大切なのは、自分たちの収入や貯蓄に合った資金計画を立てることです。
援助の有無よりも購入後の家計を重視する
親からの援助があれば住宅ローンの借入額を減らせる可能性がありますが、援助を受けられない場合でも、自己資金と住宅ローンを組み合わせて購入する方法があります。
住宅購入では、頭金だけでなく、登記費用や仲介手数料、引っ越し費用などの諸費用も必要です。購入後の教育費や老後資金、住宅の修繕費なども考慮しなければなりません。親からの援助を前提に予算を決めるのではなく、自分たちの収入と貯蓄で無理なく返済を続けられるかを確認することが、安心できる住まい選びにつながるでしょう。
まとめ
住宅購入時に親から贈与を受けた人は約1割強といった調査結果から、援助がなくても多くの人がマイホームを手に入れていることが分かり、「親からの援助のない人のほうが一般的」といえるでしょう。
親からの援助や相続がないからといって、住宅購入を諦める必要はありません。大切なのは、他の家庭と比較することではなく、自分たちの収入や貯蓄、将来の支出を踏まえて資金計画を立てることです。
親から資金援助を受けられる場合は、贈与税の非課税制度や相続時精算課税制度などの仕組みを確認し、住宅購入後も安心して暮らせる計画を考えていきましょう。
出典
一般社団法人不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査 第31回2026年度」
一般財団法人ゆうちょ財団「第6回家計と貯蓄に関する調査(2024)」
国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」
執筆者 : 小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)
