
タイムズカーで何が漏えいした? 約160万件は免許証の画像も
タイムズカーを運営するタイムズモビリティ(パーク24グループ)によると、2026年9月25日に不正アクセスを検知し、退会済みの人も含む約660万件のアカウント情報が第三者に取得されました。
漏えいしたのは氏名、住所、生年月日、運転免許情報などで、約160万件では運転免許証や公共料金の請求書などの画像も含まれます。クレジットカード情報は漏えいの対象外とされています。
同社は、本人確認書類の画像を退会後7年間保有していましたが、10月16日に見直しを発表し、保有する画像を10月末までに削除するとしています。
再交付費用2600円は「自己負担」…SNSでは批判が相次ぐ
10月8日の投稿によると、投稿者は運転免許試験場で再交付の手続きをする際、パーク24に確認したところ費用は自己負担と案内されたといいます。投稿には「タイムズに全額負担させるべき」「再発行しても免許番号の下一桁が増えるだけ」「運転免許センターまでの交通費も払ってほしい」といった声が寄せられました。
静岡県警察の案内では、再交付手数料は従来の免許証で2600円、マイナ免許証は1500円で、受付は平日のみです。交通費や、仕事を休んで出向く手間が加わります。
仮に約160万件すべてで再交付すると、手数料だけで単純計算約41億6000万円です(アカウント数と人数は一致しないため目安です)。
同社は補償について、調査結果を踏まえて全体方針を決める予定としていましたが、10月23日付けで、「運転免許証等の本人確認書類画像データへのアクセスおよび外部送信を示す痕跡が確認されたお客様に対し、多大なご心配とご負担をお掛けしていることを重く受け止め、お見舞いとして3000円相当の現金または金券をお渡しすることといたしました」と発表しました。
「お見舞いの内容およびお渡し方法については現在検討中であり、決定次第、対象となるお客様へご案内いたします」としていますが、SNSでは「1人3000円で済むわけない」「悪用されるかもしれないのに」といった声も多く見られます。
実際に「勝手にローンを組まれた」「不正にクレジットカードを作成された」といった相談もあり、10月26日には東京都内で被害者の代理人弁護士による記者会見が開かれました。東京地方裁判所に集団訴訟を起こす方針が明らかにされています。
再交付しても「番号の末尾が1増えるだけ」は本当?
「末尾の0が1になるだけ」という声もありますが、仕組みは少し異なります。警察庁の通達によると、免許証の12桁の番号のうち最後の1桁は「再交付記号」で、繰り上がるのは紛失(亡失)や滅失を理由に再交付した場合とされています。
つまり、手元に免許証がある状態での再交付では、通常、番号は変わらず、新しくなるのは顔写真や交付年月日などです。
一方で、京都府公安委員会は、特例として、漏えいの対象者が再交付を申請すると、免許証番号や顔写真を変更できる対応をとっていると報じられています。取り扱いは都道府県で異なるため、住所地の運転免許センターや警察署に事前に確認しましょう。
免許証の再交付で防げること・防げないこと
再交付をしても、流出した画像が消えるわけではありません。ほとんどの人は氏名や住所も変わらないため、なりすましや漏えいを口実にした詐欺の連絡を完全に防ぐことはできません。
ただし、投稿者は、再交付日以降に古い免許証で本人確認が行われていれば、本物の免許証ではないことを立証する材料になると説明しています。
また、2027年4月1日からは法令改正により、本人確認書類の画像送信を受ける方法が廃止され、ICチップ情報の読み取りに原則一本化されます。金融庁は10月9日、金融機関などにこの日を待たずに対応するよう要請しました。画像だけを使ったなりすましは、今後通りにくくなると考えられます。
あわせて検討したい「信用情報機関への本人申告」
勝手に借金やクレジットカードの契約をされるのを防ぎたい場合は、信用情報機関への「本人申告」も選択肢です。漏えいの事実を登録しておくと、加盟する金融機関などが審査の際に参考にします。
申告先には、CIC(シー・アイ・シー)、JICC(日本信用情報機構)、全国銀行個人信用情報センターがあり、加盟する会社は機関ごとに異なります。悪用を確実に防げるわけではありませんが、複数の機関に申告しておくと安心です。
まとめ
免許証を再交付しても流出した画像は消えず、通常のルールでは番号も変わりません。タイムズカーは3000円相当のお見舞いを検討していますが、取りあえず2600円の手数料が必要なことに加えて交通費や時間もかかるため、「意味があるのか」と感じるのも無理はないでしょう。
一方で、再交付は古い免許証による本人確認を見分ける材料になり、本人申告と組み合わせれば備えを厚くできます。補償の方針は今後示される予定のため、再交付の領収書などは保管しておくと安心です。
執筆者 : 上野梓
FP2級、日商簿記3級、アロマテラピー検定2級、夫婦カウンセラー、上級心理カウンセラー、整理収納アドバイザー
