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野村総合研究所、都内の会社員を対象に「働き方と移住」のテーマで3回目の調査ーアフターコロナは週3日以上の出社が定着し、郊外・地方への転居意向は減少傾向ー


株式会社野村総合研究所(NRI)は、2024年7月に東京都内の大企業勤務者を対象に実施した調査において、働き方や郊外移住意向に関する最新のトレンドを明らかにしました。2024年には週3日以上出社する割合が73.8%で、以前よりわずかに減少。テレワークの頻度が再び増えている一方、「毎日出社」の割合は著しく減少。また、郊外や地方への転居意向も減少し、「都心との距離」が再び重要視されています。地域への愛着を持つ人は半数以上で、訪問率や継続率は「ふるさと納税」などの要素が影響。地域活性化には、愛着を基にした訪問・関係構築が鍵とされ、訪問や定着に向けた施策が求められています。

株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長:柳澤 花芽、以下「NRI」)は、2022年および2023年の調査に引き続き、2024年7月26日から7月30日にかけて、東京都内の大企業に勤務する20代~60代の男女合計3,091人を対象に、働き方と郊外・地方移住に関するインターネットアンケート調査(以下「今回調査」)を実施しました(アンケート対象者には、パート・アルバイトは含みません。また、テレワーク実施者と未実施者の両方を含みます)。
今回調査から得られた主要な結果は、以下の通りです。

■週3日以上出社の割合は73.8%。毎日出社の割合は減少。
2024年7月時点の出社頻度を尋ねたところ、「週3日以上」が73.8%で、2023年7月の前回調査時(75.1%)から微減しました。これは、2023年5月の新型コロナウイルス「5類感染症」移行を境に出社頻度が大幅に上昇した前回調査時から「揺り戻し」の動きとして、一部の就業者がテレワークや在宅勤務の頻度を再度増やした影響等が推察されます。
一方、就業者に「勤務先において、どの程度の出社頻度がルール化されているか」を尋ねたところ、「週3日以上」が72.6%となり、2024年7月時点の週3日以上の出社割合とおおむね一致しています。この傾向が続けば、今後はテレワークや在宅勤務への「揺り戻し」が大きなムーブメントになるというよりも、「週3日以上の出社」がアフターコロナのスタンダードとして定着していくことが見込まれます。
ただし、前回調査時と比較して「毎日出社」の割合は53.1%から47.4%に減少し、「週3日出社」「週4日出社」の割合が増加しました。週3日以上の出社頻度は定着したものの、コロナ前と比較して柔軟な働き方も一定程度許容されつつあると考えられます。

■直近5年以内の郊外・地方への転居意向は昨年度から減少
郊外・地方への転居意向を尋ねたところ、「直近1年以内」に転居意向がある人は全体の13.7%(前回調査時15.3%)、「直近5年以内」に転居意向がある人は全体の27.4%(前回調査時28.4%)と、前々回調査(2022年2月)から前回調査(2023年7月)にかけて上昇した郊外・地方への転居意向は減少しました。
直近5年以内に転居意向がある人に対して「転居する際の住まい選びで重視する項目(上位3つ)」を尋ねたところ、コロナ禍の最中は低下していた「都心・職場との距離」や「駅との距離」の重要度がコロナ前と同水準にまで回復しました。一方で、「住居費」や「間取り・広さ」の重要度はコロナ禍と比較して低下しました。コロナ前と比較して、柔軟な働き方は一定程度定着したものの、アフターコロナとなり出社や外出の機会が増えたことから、住居費や間取りを多少妥協してでも立地の良い場所に住みたいという価値観に変化したと推察されます。

■調査対象者の約半数が特定の地域に対する「愛着」を持っている
アフターコロナにおいて、郊外・地方への転居意向が落ち着きを見せる中、地域活性化のためには、移住(定住人口)に限らず、まずは交流人口や関係人口を増やし、継続的な訪問を促していくことが重要と考えられます。NRIでは、そのきっかけのひとつに「地域への愛着」があると考え、今回は「地域への愛着」に関する調査も行いました。
今回調査の対象者に、日本国内の東京都区部以外の地域の中で、過去~現在における血縁・地縁(実家や過去の通勤・通学地等)のある地域を除き、私的に愛着を持っている地域について尋ねたところ、回答者全体の51.3%が「愛着を持つ地域」があると回答しました。また、愛着を持ったきっかけは、「たまたま、なんとなく」を除くと「過去の受動的な訪問」や「ふるさと納税」が上位に入る結果となりました。

■地域に愛着を持った「きっかけ」によって、訪問率や訪問継続率に差がある
地域に愛着を持ったきっかけによって「訪問率」と「訪問継続率」に差が見られました。比較的愛着を持ちやすいきっかけは「訪問率」や「訪問継続率」が比較的低く、愛着を持ちづらいきっかけは「訪問率」と「訪問継続率」が比較的高いことが分かります。また、「訪問率」と「訪問継続率」ともに低いグループ(1)、「訪問率」は高いが「訪問継続率」は低いグループ(2)、「訪問率」と「訪問継続率」ともに高いグループ(3)について、各グループの訪問目的を分析したところ、「訪問継続率」が低いグループ(1)(2)は観光目的が多い一方で、「訪問継続率」が高いグループ(3)は趣味や地域とのコミュニケーション等、地域のさまざまなリソースに対して継続的な接点を持っていることが分かります。

■地域活性化に向けては、愛着をきっかけとした訪問や継続的な関係構築を促す施策が重要
地域への「愛着」を地域活性化につなげるためには、グループ(1)の人に訪問してもらうことや、グループ(2)の人に継続的な訪問を促すことが重要です。
例えば、グループ(1)の「きっかけ」を持った人には、愛着を持つきっかけになりやすい「ふるさと納税」について、体験型商品にすることや、地域に関する観光の情報と合わせて提供すること等が、最初の訪問を促す施策として考えられます。また、グループ(2)の人には、地域への観光や訪問を促すサービスや、旅行中にワ―ケーションや地域のイベントに関する情報等を提供することが、一過性の観光だけで終わらせず、継続した訪問を促すための施策として考えられます。
前述の通り、今後は出社頻度が大きく減少することは見込みづらく、かつ住まい選びの際に重視するポイントもコロナ前に戻りつつあります。このことから、アフターコロナとなった現在、コロナ禍で発生した郊外・地方移住のブームは、一時的なものとして終焉する可能性が高いと考えられます。交流・関係人口の増加による地域活性化、ひいては将来的な移住に向けては、生活者に地域への愛着を持ってもらい、訪問や継続的な関係構築を促すことが重要と言えます。



配信元企業:株式会社野村総合研究所
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