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都市部では大手都市ガス会社が好調、地方はKDDIに軍配 家庭部門の地域別新電力切替状況調査2018




 2016年4月に始まった電力小売全面自由化により、新しい電力会社(新電力)が参入し、家庭でも契約する電力会社を自由に選択できるようになりました。これにより、消費者は様々な料金メニューやサービスを選べるようになっただけでなく、電力会社によって排出係数(電気使用量当たりのCO2排出量)が異なるため、電気の使用によるCO2排出量も異なることになりました。電気の排出係数は、国や自治体、企業、家庭など様々な主体の温室効果ガス排出量の算定の基礎になる情報であり、また、排出係数が小さい電気を選択することが地球温暖化対策の一つと位置づけられるようになりました。
 自治体別の新電力への切替状況や、地域別の新電力のシェアの情報は今後の電力小売事業の見通しに有益なだけでなく、地方自治体が進める地域における地球温暖化対策にとっても重要です。まもなく電力小売全面自由化から3年が経過しますが、電力自由化前は電力会社から自治体に提供されていた自治体別の電力販売量や排出係数の情報が、自由化後は競争に係る情報の秘匿や集計コスト等を理由に一部提供されない状況が続いており、自治体毎の電力使用量の把握や温室効果ガス排出量の算定に支障をきたしています。
 エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ株式会社(代表取締役社長 小川 俊幸)は、生活者市場予測システム(mif)の全国30,000人の調査結果をもとに、2018年の地域別の家庭の新電力のシェア及び切替状況、切り替えた消費者の特徴を調査しました。
 その結果、大手都市ガス会社の供給がある3エリアでは都市ガス会社が新電力のシェア首位となる一方で、それ以外の地域ではいずれもKDDIが新電力の首位であることが分かりました。また、都道府県別の新電力への切替率は、神奈川県が24%と最も高く、次いで京都府(23%)、東京都(21%)となっています。指定都市別では千葉市が28%と最も高く、次いで相模原市が27%、横浜市と京都市が26%となっています。指定都市の切替率は、その都市がある都道府県の切替率よりも高くなる傾向が確認されました。

【調査概要】
調査時期1:2018年6月
調査人数1:20~69歳の男女インターネット利用者30,000名
調査内容1:価値観・生活行動に関する2,000問の定点調査
調査時期2:2018年7月
調査人数2:大手電力会社以外と契約していると回答した4,020名
調査内容2:契約している新電力会社名
調査結果ページURL:https://www.mri-ra.co.jp/blog/2019/01/mifreport2019-1.pdf
調査報告公表日:2019年1月9日

調査結果の抜粋
【地域別の新電力のシェア】
 2018年6月時点の地域別の新電力への切替率と新電力のシェア首位を図1に示します。例えば、北海道エリアでは切替率は17%で、そのうち37%が北海道ガスでシェア首位となっています。

【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000187614&id=bodyimage1


 大手都市ガス会社が営業している北海道エリア、東京エリア、関西エリアでは、それぞれ北海道ガス、東京ガス、大阪ガスがシェア首位となっています。都市ガス会社は、自社の都市ガスの販売エリアとその近隣地域のみで電気を販売しているのが特徴です。東京エリア、関西エリアは特に参入している新電力が多く競争が激化している地域で、新電力への切替率が高くなっています。
 一方で、それ以外の地域では、通信会社であるKDDIがいずれも首位になっています。通信会社は、その販売網を活かした広い地域で電気を販売しているのが特徴です。その中でKDDIは、自社もしくは大手電力会社と連携して全国(沖縄、一部離島を除く。)で電気を販売しており、電気料金に応じたポイント還元サービスと電気料金を管理するアプリを提供しています。全国をカバーした販売網とシンプルなサービスがシェア増加に貢献したと考えられます。通信会社間の電力競争の第一ラウンドはKDDIが制したといえるでしょう。
 大手電力会社(旧一般電気事業者)を含めた地域別の電力会社のシェアを表 1に示します。

【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000187614&id=bodyimage2


 全国規模での家庭の新電力への切替率は、2018年6月時点で14%まで増加しています。切替先の内訳をみると、首位は22.1%の東京ガスで、次いでKDDI、大阪ガス、JXTGエネルギー、J:COMグループと、大手の都市ガス会社、通信会社、石油元売が上位を占めています。独立系ではLooopが6位に入っています(図2)。

【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000187614&id=bodyimage3

【地域別の新電力への切替率】
 次に、家庭の新電力への切替率を図3に示します。地方別では、北海道地方、関東地方、関西地方が高い傾向にあります(図3)。都道府県別では神奈川県が24%と最も高く、次いで京都府(23%)、東京都(21%)となっています。
 同様に、指定都市別の家庭の新電力への切替率では、千葉市が28%と最も高く、次いで相模原市が27%、横浜市と京都市が26%となっています。指定都市の切替率は、その都市がある都道府県の切替率よりも高い傾向があることが分かります。



【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000187614&id=bodyimage4

【まとめ】
 地域別の切替率の差異は、電力小売全面自由化前の電気料金水準の高さや、その地域で電力を販売している新電力会社の数と販売力によると考えられます。今後、地域差がさらに拡大していくのかが注目されます。
 消費者の多くは電気料金の安さやポイントサービスで電力会社を選択し、経済的な恩恵を受けています。一方の電力会社は価格競争にさらされつつも、ガスや通信などの本業の顧客へのサービスの提供拡大や、再生可能エネルギーを活用した電力といった独自メニューの提供など、独自の価値で競争力を高めようとしています。今回の調査で、地元で盤石なシェアを築く大手都市ガス会社と全国でシェア拡大するKDDIという情勢が明らかになりました。これらの情報は、自治体毎の電力使用量の把握や温室効果ガス排出量の算定にも活用することができます。例えば自治体が地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき策定する地方公共団体実行計画(区域施策編)において、該当自治体の新電力のシェアの情報を用いて家庭部門の温室効果ガス排出量を推計することが可能です。また、再生可能エネルギーを活用した電気を販売する新電力のシェアから地域の家庭がどの程度環境に配慮した電気を購入しているかを把握することも可能です。

 切り替えた消費者の特徴を含めた詳細な調査結果は以下のレポートを参照ください。

詳細な調査結果のレポートダウンロードはこちら
https://www.mri-ra.co.jp/blog/2019/01/mifreport2019-1.pdf

会社概要
会社名:エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ株式会社
所在地:東京都千代田区永田町二丁目11番1号山王パークタワー5階
設立 :1984年(昭和59年)5月31日
代表者:代表取締役社長 小川 俊幸
URL: https://www.mrira.co.jp/

本調査結果に関する問い合わせ先
エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ株式会社
サステナビリティ事業部 環境・エネルギーチーム 担当:池田
TEL 03-6858-3527 / メール ikeda@mri-ra.co.jp

「生活者市場予測システム(mif)」に関する問い合わせ先
エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ株式会社
データサイエンス事業部 mif事業チーム 担当:橋本
TEL 03-6858-3477 / メール mif@mri.co.jp
URL: https://mif.mri.co.jp/


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