~細胞遺伝子治療薬やワクチン開発初期研究のコスト効率向上と細胞培養プロセスの効率化に貢献~
東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --PHCホールディングス株式会社 (本社:東京都千代田区)傘下の PHC株式会社 バイオメディカ事業部(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中村 伸朗、以下「PHCbi」)は、このたび、バイオプロセス技術のグローバルリーダーであるUnivercells Technologies by Donaldson(本社:ベルギー ニベル、以下「Univercells Technologies」)が開発製造する、初期研究および細胞培養プロセス開発用 超小型fixed-bedバイオリアクター「scale-XTM nexo システム(*1)」と専用ソフトウェア「SkaiaTMビジョン(*2)」を発売しましたのでお知らせいたします。




「scale-XTM nexo システム」は、細胞遺伝子治療用ウイルスベクターやエクソソームの製造など、幅広い用途に対応する閉鎖系の培養装置です。培養面積および容量を必要最小限に抑えることでランニングコストを低減できるだけでなく、最大600m2の商用製造対応モデルへのシームレスなスケールアップによって、研究規模から大規模製造への迅速な移行を可能とする超小型バイオリアクターです。また、同製品を含む「scale-XTM システム」バイオリアクターに対応する「SkaiaTMビジョン」は、培養中の細胞の増殖数とグルコースや乳酸濃度を自動的に予測することで、手作業による細胞の計数作業を軽減し、細胞培養や細胞医薬品製造プロセスのさらなる効率化と汚染リスクの低減を実現する画期的なソフトウェアです。
PHCbiは、2021年に、研究開発、臨床試験および商用製造用途としてUnivercells Technologiesのfixed-bedバイオリアクター「scale-XTM hydroシステム」(*3)および「scale-XTM carboシステム」(*4)の国内における独占販売権を取得し、販売を行ってまいりました。このたびの「scale-XTM nexo システム」と「Skaia TM ビジョン」の発売によって、初期研究から商用製造まで、コストパフォーマンスにより優れたソリューションを拡充し、さらに安全で高効率な細胞培養プロセスの実現を図ります。
なお、これら製品は、2025年7月9日(水)から7月11日(金)まで東京ビッグサイトで開催される「第7回再生医療EXPO東京2025」(https://www.interphex.jp/tokyo/ja-jp.html?_fsi=THacZByn&_fsi=THacZByn#/)でご覧いただけます。
「scale-XTM nexoシステム」について
近年、細胞遺伝子治療をはじめとする新たな治療法や感染症ワクチンなどの研究開発が進んでいます。これらの研究の初期段階においては、限られたリソースで小規模に、かつ効率的に実験を行う必要があります。特に、幹細胞やiPS細胞など、高額な培地や試薬を使用して培養を行う細胞を扱う場合、消耗品のコスト低減が課題の1つとされています。また、研究レベルから商用製造フェーズにスケールアップする際に、培養条件の変化が製造プロセスの再現性や生産性に影響を及ぼすため、細胞品質や生産効率を一定に保つことが難しいという問題もあります。研究の初期段階から商用製造まで、規模に応じた培養条件の最適化を図り、一貫した高いコストパフォーマンスと生産効率を実現する細胞培養ソリューションが求められています。
<本製品の特長>
1. 独自のロール構造による均一な細胞分布と培地供給で、再現性と生産性を向上
PET不織布とスペーサーネットを交互に巻き付けた独自のロール構造を持つ細胞接着シートの採用により、高密度で均一な細胞分布と培地供給を可能にします。これにより、再現性と生産性の高い細胞培養を実現します。
2. ランニングコストの低減
小型化を追求した本製品は、わずか75mLの培養液で0.5m2の細胞培養を可能とするため、培地や試薬の消費量を大幅に削減します。
3. 研究室レベルから商用製造規模までシームレスなスケールアップで、スピーディかつ効率的なプロセス開発をサポート
同じ技術基盤を利用した臨床試験・GMP対応モデル「scale-XTM carboシステム」(培養面積:10/30m2)へのシームレスなスケールアップを可能とし、その後の商用製造向け「scale-XTM nitroシステム」(培養面積:200/600m2)への移行をスムーズに行うことができます。そのため、細胞培養の生産性や細胞品質を損なうことなく、初期研究から商用製造規模まで、効率的に培養スケールを拡大できます。
「Skaia TM ビジョン」について
再生医療、細胞遺伝子治療の進展やバイオ医薬品の需要増加を背景に、fixed-bedバイオリアクターの需要拡大が期待される一方で、細胞の増殖状況の把握に不可欠な細胞数計測に関わる課題もあります。不織布などの担体に固定された細胞の計数は、不織布の一部を切り出し、細胞の核染色で行なうため、一連の手作業が煩雑で工数がかかるだけでなく、細胞の損傷や汚染リスクを伴います。特に、商用製造用途のバイオリアクターへのスケールアップ時には、汚染リスクの回避が必須とされるため、サンプリングに代わる細胞の計数技術が求められています。
<本製品の特長>
1. 省力化による運用効率の向上と汚染リスクの低減
「SkaiaTM ビジョン」は、サンプリングによって取得した細胞の培養データを入力すると、 Univercells Technologies が独自に開発したアルゴリズムを用いてデータ分析を行い、培養日数に応じた細胞の増殖数を予測するだけでなく、グルコースや乳酸濃度も算出する専用ソフトウェアです。これにより、汚染リスクを伴うサンプリングの頻度を低減するとともに、作業プロセスの効率化と生産性向上に寄与します。
2. 研究室規模から商用製造規模へのスムーズな移行をサポート
初期研究および細胞培養プロセス開発用「scale-XTM nexo」から商用製造用途の「scale-XTM nitroシステム」まで、「scale-XTM システム」バイオリアクターの全ラインアップに対応可能なため、商用スケールへの移行を円滑に行うことができます。
なお、PHCbiは、2026年に最大培養面積600m2の大量培養を可能とする商用製造向け「scale-X nitroシステム」の取り扱いを開始し、研究室レベルから大規模商用製造まで一連のソリューションを提供可能とする予定です。
PHC株式会社で取締役及びバイオメディカ事業部長を務める高魚 力は、次のように述べています。
「PHCbiでは、『モダリティの進化に貢献』というビジョンを掲げ、細胞遺伝子治療領域における治療製造プロセスのQCD(品質、コスト、納期)課題解決に寄与する新たなソリューションの拡充に努めています。今回、『scale-X™ システム』のポートフォリオに『scale-X™ nexo』と『Skaia™ ビジョン』を新たに加えることで、細胞遺伝子治療の初期研究から細胞医薬品製造まで、研究者の皆様の幅広いニーズに応えるとともに、細胞培養プロセスの最適化を通じた生産性と効率性のさらなる向上を目指して、取り組んでまいります。」
【第7回再生医療EXPO東京 2025 開催概要】
会期:2025年7月9日(水)~11日(金)
会場:東京ビッグサイト 西展示棟(PHCbiブース番号:W5-30)
公式サイト:https://www.interphex.jp/tokyo/ja-jp.html?_fsi=THacZByn&_fsi=THacZByn#/
(*1)https://www.phchd.com/jp/biomedical/incubation/bioreactor/nexo
(*2)https://www.phchd.com/jp/biomedical/incubation/bioreactor/skaia
(*3)https://www.phchd.com/jp/biomedical/incubation/bioreactor/hydro
(*4)https://www.phchd.com/jp/biomedical/incubation/bioreactor/carbo
<PHC株式会社・バイオメディカ事業部について>
1969年に設立されたPHC株式会社は、グローバルヘルスケア企業として事業を展開するPHCホールディングス株式会社(コード番号6523 東証プライム)の日本における事業子会社です。ライフサイエンス事業を担うバイオメディカ事業部では、事業ブランド「PHCbi」を掲げ、超低温フリーザーやCO2インキュベーターをはじめとした研究・医療支援機器及びサービスの提供を通じて、約110の国と地域における研究者と医療従事者への支援に取り組んでいます。
www.phchd.com/jp/biomedical/about-phcbi
<PHCホールディングス株式会社について>
PHCホールディングス株式会社(証券コード 6523 東証プライム)は、健康を願うすべての人々に新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献することを経営理念に掲げるグローバルヘルスケア企業です。傘下にPHC株式会社やアセンシア ダイアベティスケアホールディングス、エプレディアホールディングス、株式会社LSIメディエンス、ウィーメックス株式会社、メディフォード株式会社などを置き、糖尿病マネジメント、ヘルスケアソリューション、診断・ライフサイエンスの事業領域において、開発、製造、販売、サービスを行っています。2024年度のグループ連結売上収益は3,616億円、世界125以上の国と地域のお客様に製品・サービスをお使いいただいています。PHCグループはPHCホールディングス株式会社とその事業子会社の総称です。
www.phchd.com/jp
<Univercells Technologies by Donaldsonについて>
Univercells Technologies by Donaldsonは、先進的なバイオリアクターの開発と製造を専門とし、革新的なバイオ製造技術を提供するグローバル企業です。最先端のバイオリアクターは、研究開発から商業生産まで、コスト効率の高いウイルス製造の実現に向けて設計されています。プロセス強化と統合力における強みを生かすことで、ウイルスベクターやウイルスワクチンの需要増大に対応します。同社は、装置の設置面積とコストを最小限に抑えながら性能を向上させることでお客様を支援し、将来のニーズを見据えた取り組みを行っています。
2020年にベルギーで設立されたUnivercells Technologiesは、現在、Donaldson Company(NYSE: DCI)の一員です。
www.univercellstech.com/
Contacts
【お問い合わせ先】
<製品サービスに関する窓口>
PHC株式会社 バイオメディカ事業部マーケティング部
電話:080-4816-3259 E-mail:masayo.okada@phchd.com
<IR報道関係窓口>
PHCホールディングス株式会社 IR・広報部
電話:03-6778-5311 E-mail:phc-pr@gg.phchd.com