プラネット・トラッカーは、2153隻の漁船が世界大手のマグロ漁業会社のものであることを突き止め、企業からの適切な報告がない中で初めてマグロ資源別の漁獲量を示しました。
絶滅の危機に瀕しているマグロの種を漁獲している主な企業は、アルバコラ、マルハニチロ、東遠(ドンウォン)、ボルトン・グループ、サジョテリムなどです。
大手マグロ会社30社の漁獲量のうち推定56%は追跡不可能であり、多くの会社では追跡システムを有効にした状態より停止した状態で漁をしている時間の方が長くなっています。
しかしプラネット・トラッカーは、漁獲情報の透明性の向上は、投資家のリスクを軽減するために必要であるだけでなく、正味の財務パフォーマンスも改善することを明らかにしました。
ロンドン、--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --国連海洋会議が閉幕しますが、プラネット・トラッカーの新たな調査により、対象企業の情報開示が極めて曖昧であるにもかかわらず、世界の大手マグロ漁業会社30社の実際の漁獲量が初めて明らかになりました。



調査報告書『マグロ漁業を改善する:投資家はマグロ産業の透明性を高めるべき(原題:Tuna Turner: Investors Must Turn Up Transparency in the Tuna Industry)』は、グローバル・フィッシング・ウォッチ(Global Fishing Watch)のデータを収集し、世界中で操業する産業用マグロ漁船2153隻すべての漁獲量を魚種別と海域別に再編したものです。この調査は、企業による情報開示の不足を埋める目的で、それらの詳細データを初めて企業およびその本社所在国に結び付けました。
本報告書は、世界のマグロ漁獲量の46%(240万トン)を占める世界の大手マグロ漁業会社30社(「マグロ30*」)に焦点を当てています。マグロの漁獲量について報告しているのは30社のうちわずか4社で、魚種、操業場所、漁法、認証レベルに関する透明性はさらに低く、こうしたデータを開示しているのは30社のうち1社のみ、ボルトン・グループ(Bolton Group)だけです。
各企業が何を、どこで、どれだけ、どのように漁獲しているかがわからなければ、投資家は持続可能性リスクに最もさらされているのはどの企業なのかを知ることはできません。ほとんどのマグロ資源は乱獲されていないものの、マグロの資源量(バイオマス)は40~80%減少しています。さらに、数多くのマグロ漁場で深刻な生態系の破壊が続いており、何百万匹ものサメの死骸や何百万個ものプラスチック製ブイが海表面の37%を漂流していることがそれを物語っています。
「マグロ30」全体で漁獲量の12%を、健全なレベルの資源量を保っていないマグロ資源や、乱獲が行われている、あるいは行われる可能性のあるマグロ資源から得ています。プラネット・トラッカーは、サプメール(SAPMER)、中国農業発展集団、マルハニチロの漁獲量の40%以上がこうした資源から得たものと推定しています。
食物連鎖の最上位捕食者であるマグロ類は、海洋の深層と表層の間で栄養物を移動させることで、健全な海に貢献し、気候変動対策での重要な役割を果たしています。そのため、責任あるマグロ漁業が極めて重要です。
しかし、いくつかのマグロの種は絶滅の危機に瀕しています。調査の結果、こうした絶滅危惧種を漁獲している主な企業は、アルバコラ、マルハニチロ、東遠、ボルトン・グループ、サジョテリムである可能性が高いことが判明しました。
プラネット・トラッカーはまた、「マグロ30」の漁獲量の56%が「ダーク」なマグロであることも示しました。これは、所有者情報や衛星データが欠落しているため、漁業会社に関連付けることができなかったことを意味します。さらに、「マグロ30」のほとんどの会社は、船舶自動識別システム(AIS)を有効にした状態より停止した状態で漁を行っている時間の方が長い可能性があります。
本調査では、所有者情報に関するデータを改善しAISデータの欠如を解消することにより、マグロ産業の利益とバリュエーション(企業価値評価)が5年以内にそれぞれ平均で0.6%と1%上昇する可能性があると推定しています。
プラネット・トラッカーの自然部門長(Head of Nature)、フランソワ・モニエは次のように話します:「世界の大手マグロ漁業会社30社のうち、26社がマグロの漁獲量を開示していないというのは衝撃的です。本報告書は、企業の情報開示不足や衛星追跡における空白の時間によるデータ不足を埋めた、初めての報告書です。しかし、欠落している情報の量に鑑み、推定と高度なモデリングに頼っています。
漁獲およびAIS運用に関する情報を企業が開示する形で透明性を高めることは、ポートフォリオがさらされているリスクを投資家が正確に把握できるようにする上で極めて重要です。各企業が実際に何を、どこで、どのように漁獲しているかをまず知らないことには、良い行為と悪い行為を見分けることはできません」
プラネット・トラッカーは投資家に対し、責任ある投資の基礎情報として、漁獲データとAIS運用の遵守に関する完全な情報開示をマグロ漁業会社に要求するように呼びかけています。
以上 参考:
* プラネット・トラッカーはグローバル・フィッシング・ウォッチのデータを使用して、2022年の「マグロ漁である可能性が高い」73万6000件の漁獲活動データベースを作成し、2153隻のマグロ漁船を分析しました。
** 「マグロ30」:世界のマグロ漁業会社の上位30社(出典:プラネット・トラッカー、グローバル・フィッシング・ウォッチ、企業開示情報)
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報告書全文はこちら:https://planet-tracker.org/wp-content/uploads/2025/06/Tuna-Turner.pdf
双方向のインフォグラフィックスはこちら
プラネット・トラッカーについて
プラネット・トラッカーは資本市場をプラネタリー・バウンダリに対応させる、非営利の金融シンクタンクで、数多くの賞を受賞しています。当組織は、「2050年より前にネットゼロでレジリエンスがあり、ネイチャーポジティブで公正な経済に完全に合致した金融システムにする」というビジョンを掲げて創設されました。生態系の劣化に資本市場が果たしている役割を明らかにし、ゼロカーボンでネイチャーポジティブな経済に移行する機会を示すような、画期的な分析を行っています。
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