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東芝:車載トラクションインバーター向け、低オン抵抗と高信頼性を実現した1200V耐圧SiC MOSFETのベアダイのテストサンプル出荷について


東芝デバイス&ストレージ株式会社は、車載トラクションインバーター向けに低オン抵抗と高信頼性を備えた1200V耐圧シリコンカーバイド(SiC)MOSFET「X5M007E120」を開発し、テストサンプルの出荷を開始しました。この新しいMOSFETは、従来よりもチャネル密度を向上させ、約20%〜30%オン抵抗を低減しています。さらに、逆導通動作時における信頼性を保ちつつ、オン抵抗の削減に成功しています。これにより、モーター制御用インバーターの省エネルギー化に寄与します。また、深いバリア構造を採用して短絡動作時の耐久性も改善され、ベアダイ技術によりユーザーニーズに合わせたカスタマイズが可能です。量産は2026年から開始予定で、脱炭素社会の実現へと貢献目指します。

川崎--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --東芝デバイス&ストレージ株式会社は、車載トラクションインバーター[注1]向けに、新構造で低オン抵抗と高信頼性を両立した1200V耐圧シリコンカーバイド(SiC) MOSFETのベアダイ[注2]製品「X5M007E120」を開発し、テストサンプル出荷を開始しました。






一般的なSiC MOSFETは、逆導通動作[注3]時にボディーダイオードがバイポーラー通電するとオン抵抗が増大していく信頼性の課題がありました。東芝のSiC MOSFETは、MOSFETチップにショットキーバリアダイオード(SBD)を内蔵することで、ボディーダイオードが動作しないように対策したデバイス構造を採用しています。しかしながら、内蔵SBDがチップ面積の一部を占有することは、MOSFETのオン動作の抵抗を決めるチャネル領域の面積を減少させ、チップのオン抵抗の上昇に直結します。


X5M007E120は、内蔵SBDの配置を従来のストライプ配置から市松模様に変更することで、ボディーダイオードのバイポーラー通電[注4]を効果的に抑制し、同じSBD搭載面積でも約2倍の電流範囲までユニポーラー動作の上限が向上しました[注5]。また、チャネル密度が向上し、単位面積当たりのオン抵抗が、ストライプ配置の従来プロセスと比較して20%~30%程度低減しました[注5]。これにより、逆導通動作時の信頼性を保ちながら、オン抵抗の低減を実現し、車載トラクションインバーターなど、モーター制御用インバーターの用途で省エネルギー化に貢献します。


SiC MOSFETのオン抵抗を低減すると、短絡動作[注6]時にMOSFET部に過剰に流れる電流が増加するため、短絡動作の耐久性が低下します。また、逆導通動作の信頼性向上のために内蔵SBDを動作しやすくすると、短絡動作時にSBD部の漏れ電流が増加し、短絡動作の耐久性の低下につながります。開発製品は、深いバリア構造[注7]を採用することで、短絡動作中のMOSFET部の過剰な電流とSBD部の漏れ電流を抑制します。これにより、逆導通動作に対する優れた信頼性を保ちながら、短絡動作時の耐久性を向上することが可能です。


また、ベアダイを採用することで、ユーザーのニーズに応じたカスタマイズが可能となり、用途に合わせたソリューションを提供できます。


当社は、X5M007E120のエンジニアリングサンプルの出荷を2025年に、量産出荷を2026年に予定しており、さらなる特性改善に向けた検討を進めていきます。モーター制御用インバーターや電動車両の電力制御システムなど、エネルギー効率が求められる分野での活用に向け、より使いやすく、高性能なパワー半導体をユーザーに提供することで、脱炭素社会の実現に貢献します。


[注1] 電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)で、バッテリーから供給される直流電力を交流電力に変換し、モーターを制御する装置。

[注2] パッケージ化されていないチップ状態の製品。

[注3] 回路中の電流の還流によってMOSFETのソースからドレイン方向に電流が流れる動作。

[注4] ドレインとソースの間に存在するpnダイオードに順方向電圧が印加されてバイポーラー動作が起こること。

[注5] 当社従来ストライプ配置製品との比較。

[注6] 正常スイッチング動作時の短時間の導通に対して、制御回路の故障などの異常時に長時間の導通が起こる現象。一定時間の短絡動作で故障しない耐久性が求められます。

[注7] 高電圧による高電界をコントロールするために設けられる、デバイス構造の要素。素子の性能に大きく影響します。


応用機器



  • 車載トラクションインバーター


開発製品の主な特長



  • 低オン抵抗と高信頼性を同時に実現


  • 車載向けベアダイ


  • AEC-Q101適合


  • ドレイン・ソース間電圧定格 : VDSS=1200V


  • ドレイン電流 (DC) 定格 : ID=(229)A[注8]


  • オン抵抗が低い :

    RDS(ON)=7.2mΩ (typ.) (VGS=+18V、Ta=25°C)

    RDS(ON)=12.1mΩ (typ.) (VGS=+18V、Ta=175°C)


[注8] 暫定値
















































































開発製品の主な仕様



(特に指定のない限り、Ta=25°C)



品番



X5M007E120



パッケージ



東芝パッケージ名称



2-7Q1A



サイズ (mm)



Typ.



6.0×7.0



絶対最大定格



ドレイン・ソース間電圧 VDSS (V)



1200



ゲート・ソース間電圧 VGSS (V)



+25/-10



ドレイン電流 (DC) ID (A)



(229)[注8]



ドレイン電流 (パルス) ID Pulse (A)



(458)[注8]



チャネル温度 Tch (°C)



175



電気的特性



ゲートしきい値電圧



Vth (V)



VDS =10V、



ID=16.8mA



Typ.



4.0



ドレイン・ソース間



オン抵抗



RDS(on) (mΩ)



ID=50A、



VGS =+18V



Typ.



7.2



ID=50A、



VGS =+18V、



Ta=175°C



Typ.



12.1



ソース・ドレイン間



オフ電圧



VSD (V)



ISD=50A



VGS =-5V



Typ.



-1.21



ソース・ドレイン間



オフ電圧



VSD (V)



ISD=50A、



VGS=-5V、



Ta=175°C



Typ.



-1.40



内部ゲート抵抗



rg (Ω)



Open drain、



f=1MHz



Typ.



3.0



開発製品の詳細については、当社のニュースリリースも併せてご覧ください。

車載トラクションインバーター向け、低オン抵抗と高信頼性を実現した1200V耐圧SiC MOSFETのベアダイのテストサンプル出荷について


当社のSiCパワーデバイスの詳細については下記ページをご覧ください。

SiCパワーデバイス


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パワー&小信号営業推進第一部

Tel: 044-548-2216

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東芝デバイス&ストレージ株式会社

デジタルマーケティング部

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e-mail: semicon-NR-mailbox@ml.toshiba.co.jp

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