横浜--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 東芝マテリアル株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:青木克明)は、本社工場敷地内に窒化ケイ素ボールの新規製造棟建設を決定しました。50 億円を超える規模の投資を行い、2023年11月に生産を開始する予定です。本投資により、生産能力をフル稼働時には2021年度比150%に増強します。
自動車の電動化において、市場では充電時間の短縮やコスト低減などが求められています。その対応策としてバッテリーの高電圧化やモーターとインバーターの一体化などを導入するケースが増加していますが、その中で使用されるモーター用ベアリング(注1)の電食(注2)が課題となっており、電動車の高信頼性化、および普及の妨げになりかねません。このため、近年、スチール製の内外輪に、現在主流の金属製のボールに代えて強度や耐摩耗性に優れたセラミックス製のボールを組み合わせたハイブリッドベアリングの採用が有力な方策のひとつとなっています。
当社は、(株)東芝時代の1974年に窒化ケイ素の特許を取得し、それ以降、ファインセラミックス製品の開発・生産に一貫して注力しております。ファインセラミックスの中でも特に高い機械的特性と信頼性を有する窒化ケイ素ボールについては、工作機械、風力発電機、鉄道車両など、高速回転や耐電食が求められる各分野のベアリングボールとして多数の実績があり、当社は世界で約50%(注3)のシェアを有しています。当社では、電動車用ベアリングボールとしても、窒化ケイ素ボールの大幅な需要増加が見込まれると判断し、本投資を決定しました。
当社は、本社工場敷地内の既存建屋を解体し、窒化ケイ素ボールの新規製造棟を建設します。また、需要増加に対応するため、さらなる製造能力増強についても検討を開始しています。
当社は、今後も高品位な製品を安定して供給し、環境に優しい電動車の普及に貢献していきます。
窒化ケイ素ボールの特長
- 軽量(同じサイズなら金属製のボールの半分以下の重量)
- 耐熱性が高い
- 絶縁体なので電食に強い
- 酸やアルカリなどによる腐食や錆に強い
- 非磁性体なので強磁場内でも影響を受けにくい
窒化ケイ素ボール応用製品の例
- 風力発電機の軸受
- 工作機械
- 航空機エンジン
- 医療用ドリル、医療機器
- 電気自動車、ハイブリッド車などのモーター
- ターボ分子ポンプ
- ファンモーター
- ディーゼルエンジン用燃料噴射装置のチェックボール
- ディーゼルエンジン用サプライポンプの逆止弁
(注1) ベアリング:機械の中の軸をなめらかに回転させる部品で、内輪・ボール・外輪から形成される
(注2) 電食:ベアリングに電流が流れることにより、ベアリングが損傷する事象
(注3) 窒化ケイ素ボールの市場シェア(2022年7月時点)、当社調べ
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東芝デバイス&ストレージ株式会社
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