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世界のセメント・コンクリート業界が2050年までに画期的なCO2排出「ネット・ゼロ」を達成するロードマップを発表


- 2030年までにCO2排出量を4分の1削減するという中間目標を含む



  • 世界の主要メーカー(中国以外の総生産量の80%を担う)が2050年までにコンクリートをネット・ゼロにするコミットメントの確認で団結し、2030年までに50億トンのCO2排出を防ぐという野心的な中間目標に合意
  • このコミットメントにより、業界の製品の脱炭素化が大幅に加速
  • 世界で最も使用されている人工材料であるコンクリートのCO2排出量をなくすための大きな一歩となる
  • 業界は、政策立案者、政府、多国間組織に対し、公共調達改革、適切な炭素価格の仕組み、循環型経済を支える法律、新技術の開発を通じて、それぞれの役割を果たすよう呼び掛け

ロンドン--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 世界有数のセメントおよびコンクリート・メーカー40社は本日、2030年までにCO2排出量をさらに25%削減することを約束してグリーンなコンクリートへの移行を加速させるために協力し、2050年までにコンクリートを「ネット・ゼロ」にする競争で決定的な一歩を踏み出しました。

グローバルセメント・コンクリート協会(GCCA)の会員によるこの動きは、これまでで最大のネット・ゼロへの世界的な取り組みであり、米州、アフリカ、インドや中国を含むアジア、そして欧州の企業が団結します。これは、9月のニューヨーク気候週間中に発表されたように、GCCAが国連の世界的なゼロへの競争に向けた世界初の「重」工業アクセラレーターになったことを受けたものです。GCCAの会員は、中国を除く世界全体のセメント生産の80%を占めており、中国の大規模メーカーも数社含まれています。

GCCAは、地球温暖化を1.5℃に抑えるというパリ協定の目標に沿って、2050年までに完全な脱炭素化を実現するために業界がたどる道筋を示した詳細なロードマップを発表しました。現在から2030年までのロードマップの行動は、通常のシナリオと比較して50億トン近くの炭素1の大気への流入を防ぐことになります。これは、パリからニューヨークまでの旅客機約150億回分のCO2排出量に相当します2

コンクリートは地球上で最も使用されている人工材料で、道路や橋、トンネル、住宅、水力発電所、洪水対策といったさまざまな用途のために、毎年140億立方メートル3生産されています。コンクリートは建築に欠かせない材料であり、その耐久性、強度、入手のしやすさで匹敵する材料は他にありません。コンクリートの主成分であるセメントの生産は、世界のCO2排出の約7%を占めています。GCCAによる2030年の新たな取り組みは、産業界の脱炭素化のペースの大幅な加速を提示しています。

そこに至るまでのロードマップは、セメントに含まれるCO2を多く含むクリンカーの量を減らすとともに、製造工程での化石燃料の使用を大幅に削減し、製品の革新、プロセスの効率化、炭素回収を含む画期的技術を促す野心的でありながら達成可能な行動に依拠した7項目の計画を中心に構築されています。

GCCAは会員のために野心的なプログラムを提示していますが、政府、設計者、施工会社に対しても、業界の世界規模での移行を支援するための適切な公共政策や投資を組み立てることで、それぞれの役割を十分に果たすよう呼び掛けています。これには、炭素回収や貯留をはじめとする重要技術の開発や、低炭素のセメントやコンクリート製品の使用を促進するための公共事業調達政策の改革などが含まれます。公共のインフラストラクチャーが世界のセメントおよびコンクリート需要の約60%を占めていることから、公共政策の改革と低炭素製品の促進によって大きな違いがもたらされる可能性があります。

GCCA最高責任者のトマス・ギヨーは次のように述べています。「コンクリートは世界で最も使用されている建築材料であり、世界各地で再生可能エネルギー移行、耐久性のあるインフラストラクチャー、新たな住宅に基盤を提供しています。」

ギヨーはさらに次のように述べています。「インフラストラクチャーや住宅を整備している国が向こう数十年の間にコンクリートの最大の使用者となるため、コンクリートの脱炭素化に関する国際的な協力が必要です。会員の企業が本日、ネット・ゼロ・コンクリートという究極の目標に向けた重要な節目となる現在から2030年までの間に断固たる行動を起こし、業界の脱炭素化を進めると誓ったことを誇りに思います。それほど遠くない将来に、持続可能なゼロ・カーボンの世界経済の基盤が、文字通りグリーン・コンクリートで構築される世界を想像しています。」

「世界中の政府が私たちと協力し、その巨大な調達力を生かして、インフラストラクチャーや住宅の要求の中で低炭素コンクリートを提唱していく必要があります。再生材の使用を制限し、低炭素で循環型経済への移行を妨げている規制を変えるためには、各国政府の支援が必要です。」(ギヨー最高責任者)

GCCAの会員企業は世界のほぼすべての国で事業を展開し、世界のセメント・コンクリート市場は年間4400億ドル4に達し、世界のGDPの13%を占める建設部門5を支えています。同協会には、セメックス、CNBM、CRH、ハイデルベルクセメント、ホルシム、ボトランチンといった企業が加盟しています。業界は昨年、2050年までに完全に脱炭素化するという高い目標を発表し、本日、この目標を達成するためのロードマップの詳細について説明しました。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、次のように述べています。「すべてのセメント会社に、この重要な取り組みに参加してもらいたいと思います。移行の経費は、先発者だけが負担すべきものではありません。私はすべての政府や関係者に対し、ネット・ゼロに沿った工業生産のための強力な市場を創出し、排出量ネット・ゼロに向けた各国の業界別ロードマップを策定するために、官民の出資や調達を調整するよう求めます。2050年に存在するインフラストラクチャーの4分の3は、まだ建設されていません。現時点で確かな行動を起こさなければ、未来の世代は住みやすい地球を手に入れることができません。国連は、皆さまの産業の変革の加速を支援する準備ができています。」

中国建材(CNBM)のCao Jianglin最高経営責任者(CEO)は、次のように述べています。「これは脱炭素化に向けた業界の協力体制にとって画期的なことです。世界的な産業の一部として、それを達成するためには、私たちの業界全体での協力が必要です。中国の主要なセメントおよびコンクリート・メーカーとして、当社は業界の脱炭素化の一翼を担っていきます。」

GCCA会長で、CRHのグループ最高責任者のアルバート・マニフォールドは、次のように述べています。「このロードマップは、業界全体の好ましい変化への明確な誓いを示すもので、成長と繁栄に必要なコンクリートを社会に供給し続けながら、ネット・ゼロへの持続可能な移行を実現します。」

GCCAのグローバル・ネット・ゼロ・ロードマップは、こちらでご覧ください。この世界的な取り組みの開始は、ポルトランドセメント協会(PCA)が米国でカーボン・ニュートラルに向けたロードマップ6を発表したことと時を同じくしています。

(以上)

1 GCCAが提示するロードマップは、現在から2030年までに49億トンの炭素削減を達成します(GCCAロードマップの計算)。

2 ICAOの計算では、CDGとJFKの間の飛行のカーボン・フットプリントは333.6kg(リンク)で、50億トンの炭素削減は旅客機149億回分の飛行に相当します。

3 320億トンのコンクリートに相当します。

4 世界のセメント・コンクリート市場は4392億ドル(リンク)の規模を持ちます。

5 マッキンゼー・グローバル研究所、建設の再構成(リンク

6 GCCAは、世界の多くの国や地域のセメントおよびコンクリート協会と提携しており、その多くは、英国、欧州、中南米、米国など、国単位または世界的に地域ごとのネット・ゼロ・ロードマップをすでに発表しているか、策定を進めています。

GCCAのネット・ゼロへのロードマップは、向こう10年間でさらに25%の排出量を削減するための7項目の計画を掲げています。それは以下の項目で構成されています。

  1. クリンカー代替物の利用拡大:業界では、ポルトランドセメントの主成分であるクリンカーを、フライアッシュ(発電事業の副産物)や高炉スラグ(鉄鋼生産プロセスの副産物)の粉砕物、焼成粘土、未燃・粉砕の石灰石、再生コンクリート微粉末といった補助材料で代替し続けます。これらの材料の多くは、以前からこの業界で使用されており、すでにセメントとコンクリートの両方のCO2排出削減に貢献しています。例えば、英国市場ではクリンカーの代替率が26%(リンク)に達しています。ロードマップでは、クリンカーの代替をさらに増やすことを約束しており、GCCAはクリンカー代替物の使用を加速するために、世界中のベスト・プラクティスのモデルを共有します。
  2. 化石燃料の削減と代替燃料の使用拡大:1990年以降、代替燃料の使用量を10倍近く増やした実績(GNR)(リンク)を基に、この業界では、供給網や生産網のあらゆる段階で化石燃料の使用を削減するとともに、社会の廃棄物を化石燃料に代わるスマートでグリーンな資源として再利用していきます。従来型燃料への依存を減らすため、GCCAは2030年までに代替燃料が世界のセメント窯のエネルギー使用量の22%を占めることを期待しています。
  3. 技術と革新への投資:GCCAは主力の世界的研究ネットワークであるイノバンディを通じて、コンクリートの化学的性質や窯技術といった研究テーマでイノベーションの先頭に立ちます。これにはイノバンディの75のパートナーや、有望な技術の展開を加速させるために新興企業とGCCAの会員企業をマッチングする世界的な革新への挑戦が含まれます。
  4. セメントおよびコンクリート製造における新規化学物質(ポルトランドセメント・クリンカーの代替物)および成分:クリンカーの新たな代替物や新たなタイプのクリンカーを含む革新的なセメントや、新たなコンクリート混合物の設計は、ロードマップにおいて重要な役割を果たしており、多くの有望なアプローチがすでに研究または開発段階にあります。
  5. 炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)に向けたインフラストラクチャー整備:GCCAの会員は、北米、インド、中国、欧州での既存のCCUSの試行で得られた知見を発展させます。業界では、2030年までに業界規模の炭素回収工場を10箇所設置することを約束しています。
  6. 建設用のコンクリートの設計と使用における効率性の向上:GCCAは、建設業界、設計士、政策立案者との連携を強化し、資源や製品の効率的な使用、再処理材や再生材の使用、成分の再利用を促し、プロジェクト全体の寿命を延ばす設計および調達の枠組みを構築します。
  7. ネット・ゼロ・コンクリートを実現するための政策的枠組みの確立:2050年までにネット・ゼロ・コンクリートを実現するために、世界のコンクリートおよびセメント業界は、政策立案者に以下の支援を求めています。
  • 炭素経費の条件を平等にし、炭素リーケージを回避し、ネット・ゼロ経済への管理された移行を確保するための一貫性のある適切で国際的な炭素価格設定システムの構築
  • 公的資金調達メカニズムへの統合と全炭素回収技術の公正な評価を通じた炭素回収利用や貯留といった低炭素生産技術の支援
  • 建設規制や公共調達での低炭素製品に対する市場需要の創出
  • 循環型経済を促進するグリーンなエネルギーや廃棄物に関する指令の策定に必要なインフラストラクチャーや政策の整備

コンクリートやセメントに関する情報:

  • コンクリートとセメントは、炭素排出量を報告した最初の産業の1つであり、1990年以降、すでに5分の1の削減を成し遂げています。
  • セメントとコンクリートの違い:コンクリートは、建物や橋などのインフラストラクチャーを構成する完成品の材料です。セメントは、コンクリート中の骨材を結合する「接着剤」です。
  • 現在、インド、トルコのほか、米国のいくつかの州では、「クリンカー」の代わりに再生材を使用したコンクリートの使用を制限しています。

GCCAについて

2018年1月に発足したグローバルセメント・コンクリート協会(GCCA)は、持続可能な建設への業界の貢献を発展・強化することに取り組んでいます。GCCAは、業界団体のほか、建築家、技術者、革新者と協力し、建設のバリューチェーン全体で革新を促すことを目指しています。こうして当協会は、セメントとコンクリートの生産と使用における責任ある業界リーダーシップを示しながら、コンクリートのソリューションが世界の建設課題と持続可能な開発目標をいかに満たすことができるのかを実証しています。GCCAの本部は英国ロンドンにあります。当協会は、国や地域レベルの団体が行っている活動を補完し、支援しています。

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Contacts

Paul Adeleke
Communications and Policy Director, GCCA
Paul.adeleke@gccassociation.org

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