− スペインのバルセロナで開催中の2019年欧州消化器病週間で発表された第2a相試験の最新データは、セリアック病患者でグルテン誘発性免疫活性を防ぐ治験薬の可能性を明瞭に示す
− 武田薬品、セリアック病患者でグルテン寛容性を誘導するようにデザインされた免疫調節ナノ粒子である治験薬CNP-101/TAK-101の世界規模の独占的ライセンスを取得
大阪 & シカゴ--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) -- 武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)(以下、「武田薬品」)とCOUR Pharmaceutical Development Company, Inc.(以下、「COUR」)は本日、武田薬品が治験薬のCNP-101/TAK-101を開発・商業化するための世界規模の独占的ライセンスを取得したと発表しました。本治験薬は、グリアジンタンパク質を含む免疫調節ナノ粒子です。COURの抗原特異的免疫寛容プラットフォームに基づくTAK-101は、セリアック病における異常な免疫反応を標的とする画期的新薬(ファーストインクラス)となる可能性を備えています。セリアック病は重篤な自己免疫疾患で、グルテンの摂取が小腸の炎症と傷害を引き起こします。
セリアック病の成人患者34人を対象に本治験薬の潜在的な有効性と安全性のマーカーを評価するランダム化・二重盲検・プラセボ対照臨床試験の結果が本日、スペインのバルセロナで開催中の2019年欧州消化器病週間で最新演題抄録として発表されました。患者らは組み入れ時点で、コントロールが良好で生検によりセリアック病と診断されており、組み入れ後に経口グルテンチャレンジを受けました。武田薬品は本研究の結果に基づき、TAK-101に対する世界規模の独占的ライセンスを取得するオプション権を行使しました。
武田薬品消化器系疾患治療領域ユニットのヘッドであるAsit Parikh(M.D.、Ph.D.)は、次のように述べています。「セリアック病患者の多くはグルテンフリーの食事で症状を管理できますが、症状が続く患者に対する治療選択肢は現在ありません。当社とCOURの協業により、セリアック病のような自己免疫疾患で、外来抗原に対する特定の免疫寛容の誘導が可能であることが初めて示されました。炎症性疾患に関する専門性を持つ武田薬品は、セリアック病患者にとって初の承認済み治療選択肢の提供を追求すべく、TAK-101をさらに開発する上で好位置につけています。」
本試験では、治療薬を1日目と8日目に静脈内投与しました。グルテンチャレンジは2回目の治療薬投与から7日後に開始し、1日12グラムのグルテンを3日間、続いて1日6グラムのグルテンを11日間摂取としました。主要評価項目は、グルテンチャレンジから6日後におけるインターフェロンガンマ(IFN-γ)スポット形成単位(SFUs)のベースラインからの変化とし、グリアジン特異的酵素結合免疫スポット(ELISpot)アッセイ法を使用して測定しました。本検査はセリアック病におけるグルテン特異的な全身T細胞活性化を直接測定するもので、この反応がブロックされた場合、セリアック病の患者がグルテン曝露の影響から守られた可能性を示します。患者34人がランダム化されて治療を受け、6人がグルテン関連症状により治療を中止し、28人がプロトコルに基づく14日間のグルテンチャレンジを完了しました。
本試験の主要評価項目は達成され、IFN-γ ELISpotSFUsのベースラインからの平均変化量はTAK-101群およびプラセボ群でそれぞれ2.10および17.57でした(p=0.0056)。また小腸粘膜傷害に対する防護の傾向が見られ、悪化の程度はTAK-101の場合で0.18、プラセボの場合で0.63でした(p=0.079)。TAK-101群の患者で最も頻度が高くプラセボ群での頻度を上回った有害事象は悪心、頭痛、腹部痛、背部痛でした。バイタルサイン、通常の臨床検査値、血清サイトカイン/ケモカイン、グリアジン特異的T細胞増殖、サイトカイン分泌につき臨床的に意味のある変化を示した患者は1人もいませんでした。
武田薬品は、グルテンフリーの食事を摂取しているセリアック病患者の治療でTAK-101の可能性をさらに探るための用量範囲探索試験を開始するつもりであり、今後のさらなる承認申請試験をお知らせします。COURは、今後の支払いで最大4億2000万ドルを受領し、本ライセンスの結果として商品化されたあらゆる製品の販売に対するロイヤルティーを受領する権利を保有します。
COURのJohn J. Puisis最高経営責任者(CEO)は、次のように述べています。「免疫系を再プログラム化するようデザインした当社専有のナノ粒子プラットフォームのヒト初回概念実証試験から得られたデータは希望を与えるものです。武田薬品がセリアック病プログラムの責任を担うため、当社は多発性硬化症からピーナツアレルギーまで他の種々の免疫疾患に対する治療薬のパイプラインを前進させることに傾注します。」
COUR専有の免疫調節ナノ粒子は、炎症性細胞に結合して寛容原性免疫再プログラム化を開始します。ナノ粒子の内核は疾患特異的な抗原、この場合はグリアジンタンパク質を充填し、セリアック病のような自己免疫疾患で寛容性を誘導することができます。
セリアック病について
セリアック病は、遺伝的要因によって引き起こされる慢性の免疫介在性疾患で、グルテンペプチドに対する異常な免疫反応が小腸粘膜傷害をもたらします1,2,3。米国で最近実施された集団研究では、セリアック病の有病率は約1%4、世界全体で約0.5%5であることが示されています。成人と小児の両方で粘膜傷害を引き起こす1日当たりのグルテン摂取量の閾値は10~50mg、つまりパン1切れの約100分の1です6,7。セリアック病は腹部痛、下痢、悪心、嘔吐などの症状を引き起こす場合があります。セリアック病の長期合併症には栄養障害、骨粗しょう症の進行、神経系障害、生殖関連障害などがあり得ます。現在セリアック病患者が利用できる唯一の治療法は、グルテンフリーの食事を継続することですが、これは小麦、大麦、ライ麦に含まれるグルテンタンパク質への曝露を生涯にわたって厳格に避けるというもので、常に有効とは限りません8。
武田薬品の消化器疾患分野の取り組み
消化器疾患は複雑で衰弱性を示し、生活を一変させる場合があります。この未充足ニーズを認識している武田薬品と協業相手は、25年以上にわたり、革新的な医薬品と、専門の患者支援プログラムの提供を通じて、患者の生活改善に傾注してきました。武田薬品は、患者による疾患管理法の向上を切望しています。武田薬品はさらに、炎症性腸疾患、酸関連疾患、消化管運動障害など、未充足ニーズが高い消化器分野をリードしています。当社の消化器研究開発チームは、セリアック病と肝疾患におけるソリューション、さらには微生物叢療法を通じた科学の進歩を追求しています。
COURについて
COUR Pharmaceuticalsは、免疫系の再プログラム化によって免疫介在性疾患に対する抗原特異的寛容性を達成するようデザインされた画期的新薬を開発しています。COURの免疫調節ナノ粒子プラットフォームは、毒性のある免疫抑制を利用して症状を最小化するのみという従来のアプローチとは異なり、免疫疾患の根本原因を標的とします。セリアック病に対するCOURのリード製品は、武田薬品との提携研究により、あらゆる自己免疫疾患の中で初めて、抗原特異的免疫寛容性の誘導を示しました。臨床および前臨床段階のデータは、広範な免疫・炎症性疾患に対応できるCOURのナノ粒子プラットフォームの可能性を示しています。その基盤技術はノースウェスタン大学から取得したもので、ジュディ・E・グッゲンハイム研究教授(微生物学・免疫学)であるスティーブン・D・ミラー博士の研究室における30年以上の研究を基盤としています。詳細情報についてはwww.courpharma.comをご覧ください。
武田薬品工業株式会社について
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、消化器系疾患、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国および地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。詳細情報についてはhttps://www.takeda.comをご覧ください。
将来に関する見通し情報
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1 Jabri B, Sollid LM. T Cells in Celiac Disease. J Immunol 2017;198:3005-3014.
2 Molberg O, McAdam S, Lundin KE, et al. T cells from celiac disease lesions recognize gliadin epitopes deamidated in situ by endogenous tissue transglutaminase. Eur J Immunol 2001;31:1317-23.
3 Dieterich W, Ehnis T, Bauer M, et al. Identification of tissue transglutaminase as the autoantigen of celiac disease. Nat Med 1997;3:797-801.
4 Leonard MM, Sapone A, Catassi C, et al. Celiac Disease and Nonceliac Gluten Sensitivity: A Review. JAMA 2017;318:647-656.
5 Lionetti E, Gatti S, Pulvirenti A, et al. Celiac disease from a global perspective. Best Pract Res Clin Gastroenterol 2015;29:365-79.
6 Might gluten traces in wheat substitutes pose a risk in patients with celiac disease? A population-based probabilistic approach to risk estimation. Am J Clin Nutr 2013;97:109-16.
7 Catassi C, Fabiani E, Iacono G, et al. A prospective, double-blind, placebo-controlled trial to establish a safe gluten threshold for patients with celiac disease. Am J Clin Nutr 2007;85:160-6.
8https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/celiac-disease/symptoms-causes (accessed October 9, 2019)
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