「はたらく人のコンディショニング事典」(著:岩崎一郎、松村和夏、渡部卓)より
原因不明の不調、「食物不耐症」のせいかも。
「わざわざ口に出すほどじゃないけど、なんとなく調子が悪い…。」
こんな日ってありますよね。常に最高のコンディションで仕事に臨みたいビジネスパーソンにとって、歓迎できることではありません。
こんな症状に身に覚えはありませんか?
・なんとなく頭が重い…。
・特に何かしたわけではないのに、疲れている…。
・どうしてもイライラしてしまう…。
体調不良でイマイチ調子がでず、仕事に集中できない。だけど不調の原因はわからないし、耐えられないほど辛いわけじゃない。そんな理由で不調を隠して頑張っている人、多いのではないでしょうか。
でも、もし不調の原因がわかったらどうでしょう? 対策ができれば、よりベストな状態で仕事に取り組むことができますよね! そんなあなたはまず、
「食物不耐症」
を疑ってみましょう。
アレルギーと食物不耐症、何が違うの?
「食べ物が原因の不調って、アレルギーってことでしょ?」
「食物アレルギーじゃない自分には関係ない」
いえいえ。食べ物が原因になるのは、何もアレルギーに限った話ではないのです。確かに食物アレルギーと食物不耐症の症状には似たものが多いですが、この2つには明確な違いがあります。
まず、アレルギーについて見ていきましょう。
①食物アレルギー=過剰な免疫反応
アレルギーとは、過敏になった免疫反応によって引き起こされる病態を指します。
もともと体には、「抗原抗体反応」という働きが備わっています。これはある物質が体内に侵入したときに、なんらかの理由でそれを異物と認識し、処理する反応のことです。
この反応には体にとって有利な反応と不利な反応とがあり、有利な反応は「免疫」と呼ばれます。「体にとって望ましくない物質は受け入れない!」という体制が整っており、防御力を持っている状態です。
しかし時として、免疫反応が過剰に働き、体にとって不利な反応となることがあります。これがいわゆる「アレルギー」と呼ばれるものです。具体的な症状としては、
・皮膚症状(じんましん、皮膚のかゆみなど)
・消化器症状(腹痛、吐き気、嘔吐、下痢など)
・呼吸器症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳など)
などが挙げられます。特定の食べ物に対するアレルギー反応は多くの人に出る症状ですが、重篤になることも多く、簡単に考えてはいけない疾患です。
では、食物不耐症はアレルギーとは何が違うのでしょう?
②食物不耐症=酵素不足による消化不良症
食物不耐症とは、消化不良症の一種です。食物を消化吸収するためには酵素が必要不可欠なのですが、このとき特定の成分を消化吸収する酵素が不足してしまう人がいます。それによって消化不良に陥り、具合が悪くなるのです。
食物不耐症を自覚していない人は数多くいるでしょう。「隠れ肥満」ならぬ「隠れ食物不耐症」です。それは、食物不耐症の症状はアレルギーほど重篤になることが少ないという特性が関係しています。症状が出るまでには至らない「臨界域」にいる人もいるでしょう。
そんな中でも最もよく耳にするのが「乳糖不耐症」です。健常者は、「乳糖」(=牛乳の成分の一部)が体内に入ったとき、ラクラーゼという酵素が分泌されます。
しかし乳糖不耐症の人の場合、このラクラーゼが分泌されにくいのです。そのため乳糖が消化不良になってしまい、「牛乳を飲むと具合が悪くなる」という状態につながります。腹部膨脹や下痢、ときには嘔吐などの症状が出ることも。「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」という人は、「乳糖不耐症」の可能性がかなり高いと言えます。
その他にも、
・「クエン酸不耐症」(野菜、果物、食品添加物に広く含まれるクエン酸が消化できない)
・「卵白不耐症」(卵のうち、特に卵白に対する不耐症)
など、数多くの食物不耐症があります。
「もしかして…」そう思ったら専門医へ
食物不耐症の症状は、疲労感、頭痛、皮膚の乾燥、発汗など、多岐にわたります。どんな症状が出るかは人それぞれ。「なんだか具合が悪いな」「調子が出ないな」と思う人。少しでも「食物不耐症」を疑ったなら、専門医のところで診断を受けてみましょう。その判断が、慢性的不調の解決の糸口になるかもしれませんよ。
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