パソコンを使ったデスクワークや日常的なスマホの閲覧がごくあたりまえになった現代。日頃から目の疲れを感じている人も多いのでは?
といっても、「ちょっと疲れているだけ」「寝れば治る」と放置してしまいがちですよね。
でも、それはとっても危険なこと。
目の疲れは、頭痛、首や肩のこり、イライラ感など、目だけでなく全身に症状を引き起こし、放っておくと全身的な血流障害にまで至る可能性があるからです。
眼精疲労が起きるしくみ
目には「水晶体」というレンズがあり、両端についた「毛様体筋」という筋肉がその厚みを調整して、ピント合わせを行っています。
毛様体筋は自律神経によって調節されています。
交感神経が優位になると毛様体筋が緩み、レンズが薄くなって遠くにピントが合います。逆に、副交感神経が優位になると毛様体筋が縮み、レンズが厚くなって近くにピントが合う、というしくみになっています。
眼精疲労は、このしくみが現代の暮らしに上手く適応していないために引き起こされるんです。
遥か昔、人がまだ野生生物と暮らしていた頃の暮らしに当てはめて考えてみましょう。
【日中の活動時間】
獲物や外敵をいち早く発見したい→交感神経を上げ、レンズを薄くし、遠くにピントを合わせる
【夜や休憩時間】
周囲だけに気を配っておけばいい→副交感神経を上げ、レンズを厚くし、近くにピントを合わせる
なるほど、実に合理的なしくみであることがわかりますね。
しかし、生きるための活動が「狩り」から「デスクワーク」に変化した現代。このしくみがかえって眼精疲労を引き起こしてしまうんです。
【日中の活動時間】
仕事中は適度な緊張感が欠かせない→どうしても交感神経が優位になり、レンズを薄くし、遠くにピントを合わせようとする→デスクワークでは近くにばかりピントを合わせるため、副交感神経が優位になり、レンズを厚くしようとする働きが起きる
自律神経に負担がかかっているのが伺えますね。
この状態が長く続くと自律神経が疲弊し、眼精疲労が引き起こされるのです。
さらに、眼精疲労がたまると異常に血圧が上がり、交感神経が強い緊張状態になることがあります。
この状態が続くと、疲れがどんどんたまっていって全身の血流が滞り、やがては組織破壊を引き起こすので、注意が必要です。
適度な休憩をとりましょう
忙しいと、つい休むのも忘れて何時間もパソコンとにらめっこしてしまいますが、このとき目には相当な負担がかかっています。
というのも、ある程度離れた位置から風景として眺めることが多いテレビに対し、パソコンの画面は文字を読むなどして何時間も集中して凝視するため、目にはテレビを見るときの2倍もの負担がかかると言われているからです。
長時間パソコン画面を凝視していると瞬きが多くなり、ドライアイの原因にもなります。
とにかくこまめに目を休める習慣をつけることが先決です。
パソコンの連続使用時間は1時間と決め、作業の合間に10~15分程度の休憩を挟むようにしましょう。
食事に気をつけることも大切
目に良いと言われる成分を中心に、バランスの良い食事を心がけるのも大切です。
例えばビタミンA。目の粘膜を守り、網膜を健康な状態に保ってくれる「ロドプシン」の再合成を活性化してくれます。
ビタミンAは緑黄色野菜、ウナギ、レバーに多く含まれています。
また、モロヘイヤ、トマト、かぼちゃなどに含まれるβカロチンは、体内でビタミンAに変わるので不足のないように摂取しましょう。
<※ビタミンA摂取の注意点>
ビタミンAは脂溶性ビタミンなので、油脂と一緒に調理すると吸収率が高まるという特徴がありますが、とり過ぎた場合に不要な分が排出されるのではなく、肝臓に蓄積されます。
とればとっただけ良い、というわけではなく過剰症の心配があるということを忘れてはいけません。
ウナギは1食分で1日に必要なビタミンAの5倍量を摂取することになります。毎日食べたら確実に過剰であり、頭痛、吐き気、発疹などさまざまな不調を引き起こしかねません。
サプリ等の過剰摂取にも気をつけなければならないビタミンのひとつなので、とり過ぎには気をつけましょう。
この他、記憶力を上げるとして有名になった「DHA」が視力向上にも役立つという研究データも。
まぐろの油を摂取することによって視力の向上や網膜反射能の向上、ドライアイが改善されたなどの報告も多数あるので、疲れ目には青魚もおすすめです。
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現代社会で酷使されているにもかかわらず、普段あまりケアしきれていない目。
少しでも気を配り、適度な休憩とバランスの良い栄養摂取を心がけてみてはいかがでしょうか。
はたらく人のコンディショニング事典(岩崎一郎/松村和夏/渡部卓 [監修] クロスメディア・パブリッシング 2015)より