開発した100%天然バイオマス系生分解性熱可塑性材料
100%天然バイオマス系生分解性熱可塑性材料の電子顕微鏡写真
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/319709/LL_img_319709_1.jpg
開発した100%天然バイオマス系生分解性熱可塑性材料
人口爆発に伴う地球温暖化、環境汚染や森林破壊などの環境問題は深刻な問題であり、プラスチック汚染も生態系を破壊する壊滅的なレベルになりつつあります。既に我々人体にマイクロプラスチック、大気中からナノプラスチックが入りつつあり、人体への影響が懸念されています。生分解性プラスチックは、使用後、生分解され、土などの自然環境中に戻る材料であり、このようなプラスチック汚染問題を解決できる可能性のある1つの手段です。
最近は、様々な生分解性プラスチックが国内外の企業、大学で生産、研究され、少しずつ実用化され始めていますが、まだまだ石油由来で生分解性しないプラスチックが大半で、世界でのプラスチック汚染はとどまることを知りません。これらの生分解性プラスチックは石油から作られるか、トウモロコシ、サトウキビ、穀物などの植物、天然バイオマス資源からも作られますが、人間の食糧と拮抗するという問題があります。人間の食糧と拮抗しない理想のバイオマスとしてセルロースがありますが、石油由来の添加剤などを一切使用せずに、セルロースを熱可塑性樹脂化することは難しいなどの課題もあります。
また、木や植物を硫酸やギ酸で溶解して、木や植物由来の熱可塑性材料を作る検討もありますが、これらの酸の取り扱いなどが困難です。
プラスチックは厳密には熱可塑性樹脂と呼ばれ、熱をかけることにより溶けて、溶解した状態で成形機にかけて、様々な形に成形されて製品となります。つまり熱をかけて、様々な形に成形できることがプラスチック(熱可塑性樹脂)の定義となります。成形機で成形する前は、樹脂ペレットと呼ばれる、1~数ミリメートルの粒状の状態です。この樹脂ペレットは、二軸押出機などの汎用の各種の押出機で製造、取り扱いされています。
GSアライアンスの森 良平博士(工学)は、以前から、自社で開発している天然深共晶溶媒を用いて、木そのものから熱可塑性材料を開発していました。しかしながら、含有している木の濃度が低いという課題がありました。今回は、加工プロセスを工夫して、含有する木、植物の濃度を大幅に上げることにより(木、石の合計の含有量:51%以上)、木(植物)、石(タルク、炭カルなど)、の含有量が非常に多い、大幅に安価になりえる、新しい概念の熱可塑性材料を作ることに成功しました。この材料単独では、耐水性、強度が少し弱いという課題がありますが、他の天然バイオマス生分解性樹脂と複合化させることにより、100%天然バイオマス生分解性樹脂が作れることも確認しています。
一方で、ポリエチレン(PE:polyethylene)やポリプロピレン(PP:polypropylene)などの石油由来の汎用プラスチックと、相溶性に問題なく混ざることも確認しています。よって、実際の商業化に関しては、これらの各種の生分解性プラスチックや、さらに石油由来の汎用プラスチックなどと混合して、それらのプラスチックのバイオマス含有量、生分解性を向上させる増量剤のような目的で使用するのが良いかもしれません。開発された新材料の主成分は木(植物)と石なので、大量生産時はかなり安価にすることが可能です。また、汎用の押出機で製造、取り扱いが可能なので、全てのプロセスが安価になりえる可能性があります。
同様の方法で、木を含めた、あらゆる地球上の植物、廃木材、廃植物、海藻、廃紙、パルプなどの天然有機資源を原料とすることができます。
これらの成果は、2022年8月下旬に、米国のシカゴで開催されるアメリカ化学会の年会で発表する予定です(タイトル:100 % nature biomass based biodegradable material made from wood, stone and natural deep eutectic solvent)。
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100%天然バイオマス系生分解性熱可塑性材料の電子顕微鏡写真
■会社概要
商号 : GSアライアンス株式会社
代表者 : 代表取締役 森 良平博士(工学)
本社所在地: 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容 : カーボンニュートラル、脱炭素、SDGs課題に取り組む環境、
エネルギー分野の最先端技術の研究開発
(国連のスタートアップ企業支援プログラムUNOPS GIC KOBEに
2020年に採択)
URL : https://www.gsalliance.co.jp/