表紙
2021年にアニメ化もされた大ヒット漫画『呪術廻戦』は、コンプレックス、憎悪、嫉妬、絶望、後悔といった人間が持つ“負の感情”から生まれる「呪霊」と戦う呪術師(じゅじゅつし)を描いた物語です。
その激闘のなかで登場人物たちが残してきた言葉は、さまざまな「呪い」(負の感情)に支配されてしまいがちな過酷な現代に自分らしく、強く生き抜く方法を教えてくれます。本書はそんな『呪術廻戦』のキャラクターの名言をまとめた1冊が12月9日にあさ出版より刊行されます。
今回は、収録されている言葉をいくつか先行公開します!
あなたの負の感情を晴らす言葉をぜひ探してみてください。
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■今の自分を受け入れられない君への言葉
枕元の抜け毛が増えていたり
お気に入りの惣菜パンが
コンビニから姿を消したり
そういう小さな絶望の積み重ねが
人を大人にするのです
(七海建人/第19話「幼魚と逆罰」)
「自分はもっとできるのに、なんで雑務みたいな仕事ばかりなんだ」
そんな愚痴をこぼしたことはありませんか?
一生懸命にやったことが認められないとき、結果を出しているのに認められないとき、あるいは自分のやり方を認めてもらえないときは、周りに不満を抱きがちになります。
七海建人は、スーツ姿に七三分けが特徴の、いつも冷静沈着な1級呪術師。そんな彼が主人公・虎杖悠仁と同行した際に、呪霊との戦いに意気込む虎杖に対して、「君はいくつか死線を越えてきた でもそれで大人になったわけじゃない」と子ども扱いします。その一連の流れで七海が「大人になるとはどういうことか」を語ったものがこの言葉です。
七海はユニークな言葉で表現していますが、彼自身はまさに「小さな絶望」を積み重ねてきた人物でした。彼はかつて呪術高専に通っていたものの、「他人のために命を投げ出す覚悟」を「時に仲間に強要しなければならない」呪術師は自分には不向きだと考えるようになり、一般の会社で働くことを選びました。
しかし、七海が就職した会社では世の中のために仕事をするのではなく、会社とごく一部の人々の利益、すなわちお金のために働くことを強要されて絶望します。その道が合っていると思っていたのに、働いてみたらそうではなかったと気づいたのです。
呪術師にも、会社にも向いていなかった……。度重なる小さな絶望に陥りましたが、七海は屈しませんでした。
金持ちがお金を増やすことに奉仕するのではなく、身近にいるパン屋の女性に取り憑いた呪霊を(相手に気づかれないように)祓って感謝されることに意義を感じた七海は、再び呪術師の道を選びます。
絶望を知っているけれど、何事も簡単にあきらめない。社会の仕組みに絶望しても、よりよい世界をつくるために呪術師の道に戻り、相手がどれだけ強くてもあきらめず、仲間を助けるために戦いぬいた七海健人がたどり着いた、大人のあるべき姿なのでしょう。
自分を取り巻く現状を受け入れられずに、いつまでも不満をこぼすだけでなく、まずは自分の現状を受け入れること。それでもあきらめず、信念を持って前に進むことが大切です。
■まわりを気にしすぎる君への言葉
“完璧”も“理不尽”も
応える義務がどこにある?
テメェの人生は仕事かよ
(釘崎野薔薇/第41話「京都姉妹校交流会-団体戦⑧-」)
世の中の空気や圧力を感じ、それに従わなければいけないと、追い込まれている人は少なくないでしょう。学校や会社で目立った意見を言ってはいけない。上の立場の人の意見には逆らってはいけない。まわりの人たちより目立った髪型や服装をしてはいけない。1人だけ
まわりと違う行動をして目立ってはいけない。
『呪術廻戦』でも同様に、「同調圧力」と呼べるものがありました。女性の呪術師は実力だけでなく容姿も問われてしまう。どんなに実力があっても容姿がともなわなければ認められず、容姿がよくても実力がともなわなければ認められない。そして中でも呪術師のエリート一門である禪院家の生まれの禪院真衣を友人にもつ西宮は、上記の理不尽で非情なしきたりをもつ禪院家も背負いながら生きている彼女のことを告げ、釘崎野薔薇に女の呪術師の立場を説教します。
しかし、それは釘崎にとってもっとも許せない説教でした。“完璧”を求められたら応え、“理不尽”を突きつけられたら耐える、そんな不幸を背負う生き方より、自分が嫌なら完璧に応えず、そして理不尽を突っぱね、自分の人生を歩むべきだ、と釘崎は考えていたのです。
「和」を大切にする日本の社会全体には、どうしても強い同調圧力がはたらいています。時に苦しいときは、釘崎のように周囲から嫌われてもいいと覚悟を決め、同調圧力をはねのけるのもひとつの手かもしれません。
■ピンチに強くなりたい君への言葉
大丈夫
僕
最強だから
(五条悟/第2話「秘匿死刑」)
この言葉、もしかすると『呪術廻戦』をよく知らない方でも聞いたことがあるかもしれません。SNSのハッシュタグで大バズった言葉、その元ネタです。
呪術高専で虎杖悠仁ら1年生のクラスを受け持ち、自他ともに認める現代最強の特級呪術師・五条悟。すべてにおいて突出した戦闘能力ゆえ、たった1人で呪術界のパワーバランスを保っているほど。五条が消えれば、呪術界も人間社会もひっくり返る、まさしく「最強」の存在がこの言葉を放ったのは、同じく「最強」両面宿儺を前にしたときでした。
特級と呼ばれる最強クラスの呪いの1人、その器となった虎杖悠仁が両面宿儺と意識を代われることを知ると、10秒だけ代わって戻ってくるように指示します。「最強」の両面宿儺だと、五条先生は殺されてしまうかもしれない。一瞬不安そうな表情を見せた虎杖に向かって五条が放ったのがこの言葉でした。
最強の人物から「大丈夫」なんて言われたら、それは確かに大丈夫と思えるでしょう。
ところが、現実には五条悟はいません。私たちは厳しくて、不平等で、人々の負の感情があふれた現実社会の中で、さまざまな苦しみに耐えながら、なんとか毎日を生きぬくので精一杯です。
そんな苦しい状況を乗り越える1つの方法として、ポジティブな言葉を口にするというものがあります。
たとえば、「私はできる」といったポジティブな言葉を口に出すと、実現可能性はグンと上がります。これを心理学用語で「宣言効果」といいます。脳科学や認知科学の世界では、言葉が思考と行動に影響を与える効果のことを「プライミング効果」と呼んでいます。自己啓発の世界には、自己肯定感の高まる言葉を自分自身に語りかけることで人生をよい方向に導く「アファメーション」と呼ぶメソッドがあります。日本には古代から、一度口に出した言葉は現実に何かしら影響を与えるという「言霊」という考え方を大事にしてきました。
これらのことからわかるのは、ピンチのときに口に出すのは、前向きな言葉がいいということです。
現実に五条悟はいませんが、私たちが最強と知っている彼は、いつでも前向きな言葉しかいいません。もうダメだ、とは絶対に言わないのです。
つらいことがあったら、五条のこの言葉を思い浮かべながらつぶやいてみてください。きっといつも以上の力がみなぎってくるはずです。
他にも本書では、あなたの力になる言葉を多数収録しています。発売をぜひ楽しみにしていてください!!
【著者プロフィール】大山 くまお(おおやま・くまお )
大山 くまお(おおやま・くまお )
1972 年、愛知県生まれ。ライター・編集者。映画、アニメ、 音楽、プロ野球などカルチャー全般についての取材、 執筆、企画立案、編集などを行うかたわら、「名言ハンター」としても活動している。著書に『名言力―人生 を変えるためのすごい言葉』『名言のクスリ箱―心が折れそうなときに力をくれる言葉200』(以上、SBクリエイティブ)、『平成の名言200―勇気がもらえるあの人の言葉』(宝島社)、『野原ひろしの名言―「クレヨンしんちゃん」に学ぶ幸せの作り方』(双葉社)、『「がんばれ!」でがんばれない人のための “意外” な名言集』(ワニブックス)などがある。
【書籍概要】『「呪術廻戦」の強さを手に入れる言葉』
タイトル:「呪術廻戦」の強さを手に入れる言葉
発刊日:2021/12/09
ISBN:9784866673127
価格:1,430円(10%税込)
http://www.asa21.com/book/b593473.html
Rakuten ブックス : https://books.rakuten.co.jp/rb/16884896/?l-id=search-c-item-text-01
画像 : https://newscast.jp/attachments/jdIvQfLsDUVHu3NO9PLN.jpg
表紙
【目次】
第1章 呪力 負の感情を「力」に変える
第2章 縛り 目標・生きがいを見つける
第3章 仲間 ともに成長する
第4章 反転 現実に負けない
第5章 展開 自分を大切に全身全霊で生きる