starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

第3回 企業における不動産テックの取り組み動向調査を実施 不動産テックの取り組みは、約3割が年間売上10億円以上、6割以上が黒字



調査結果のサマリーイメージ

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柳 圭一郎、以下 当社) は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江)が提供する「NTTコムリサーチ」登録モニターを対象に、第3回目となる「企業における不動産テックの取り組み動向調査」(以下、本調査)を実施しました。


昨今、破壊的イノベーションやディスラプターの名のもとで、様々な業界・企業がデジタルビジネスやデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。FinTech(金融)をはじめとするテック系ビジネスの動向に目を向けると、金融の隣接領域ともいえる不動産領域においても不動産テック(PropTechもしくはReal Estate Techとも呼ばれる)の存在感が増しています。特に2020年は、新型コロナウイルスの発生による影響から、業務のオンライン化など不動産業界においてもデジタル化が進んだ印象があります。

こうした不動産テックの盛り上がりを背景に、「不動産テックに関する取り組みをしているか?」「どういった不動産テックのサービスに取り組んでいるのか?」「不動産テックで取り入れている先進テクノロジーは何なのか?」「不動産テックのサービスの実態はどうなのか?」「取り組んでいる不動産テックの成果は出ているのか?」「取り組んでいる不動産テックの成功要因は何なのか?」などの観点で、各社の取り組み実態について調査しました。

調査結果としては、不動産テックの認知度自体は4.9%と、FinTechの24.3%に対してまだまだ及ばないものの、不動産テックを知っている人の所属企業のうち約4割の企業では、不動産テックに取り組んでいることがわかりました。

実際に取り組まれている不動産テックのサービスは、「不動産データビジネス:Web上で不動産の成約価格、物件情報などのデータを収集・分析・共有することで資産価値評価や売買予測等を行うサービス群」が取り組み全体の約3割を占め、おもに導入されているテクノロジーは「Web化・オンライン化」「AI(機械学習、ディープラーニング含む)」「ビッグデータ(DMP:Data Management Platform含む)」「IoT」と現在および今後の不動産テックのサービスの中心は“データの収集・分析・共有”に関するものであることが明らかになりました。

取り組まれているサービスの実態としては、サービスローンチからの経過期間について8割以上が3年未満、サービスローンチまでに費やした資金について7割以上が3億円未満、年間売上の最高額について8割以上が売上2億円以上、うち約3割近くは売上10億円以上でした。また、6割以上がこうした直近の業績を「計画どおり黒字」としていることが明らかになりました。

実際に取り組まれている不動産テックの成果については、成果が得られたとする回答が約6割であった一方で、十分な成果は得られていないとする回答は約4割にのぼりました。なお、成果が得られたとする企業の取り組みとしては以下大きく3つの特徴があげられます。
1つ目は、筋の良いビジネスモデルの設計です。成功企業の約5割近くが、有望なターゲットセグメントの見極めを成功要因の1位として挙げました。
2つ目は、ITの専門家やコンサルタントなど、ビジネスの専門家のような社外リソースの活用です。成功企業の約4割から5割近くは、これらの社外リソースを活用していました。
3つ目は、アライアンスです。成功企業の約8割が、有望企業への出資または買収を実施していました。

このように不動産テックで成果をあげるためには、自前主義ではなくIT専門家やコンサルタントなど社外人材を適材適所で活用し、有望なターゲットを見極めたビジネスモデルを策定し、筋の良い有望企業を見つけ出資や買収を実施することが重要であることが分かりました。当社では、今後もアンケートなどの分析結果や過去のコンサルティングの知見・ノウハウを生かし、各社の不動産テックの取り組みを支援します。


【本調査のサマリー】

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/244167/LL_img_244167_1.jpg
調査結果のサマリーイメージ

本調査により、企業における不動産テックへの取り組み実態を明らかにすることができた。不動産テック(PropTechもしくはReTech)の認知度自体は4.9%とまだまだ低いものの、不動産テックを知っている人の所属企業のうち約4割が不動産テックに取り組んでいることがわかった。

実際に取り組まれている不動産テックの概況として、過去・現在・未来に取り組む不動産テックのサービスとしては「不動産データビジネス:Web上で不動産の成約価格、物件情報などのデータを収集・分析・共有することで資産価値評価や売買予測等を行うサービス群」が約3割にのぼった。他のサービスが数%と一桁の割合である状況から見ても、不動産データビジネスの取り組み割合は抜きん出ていることが分かる。

取り組まれているサービスの実態としては、サービスローンチからの経過期間について8割以上が3年未満で、最も多いのが「2年~3年未満(36.4%)」であった。サービスローンチまでに費やした資金について7割以上が3億円未満で、最も多いのは「2億円~3億円未満(27.3%)」であった。年間売上の最高額について8割以上が売上2億円以上で、最も多いのは「10億円以上(27.3%)」であった。また、6割以上がこうした直近の業績を「計画どおり黒字」としていることが明らかになった。

つまり、登場している不動産テックのサービス像は、サービスローンチから2~3年が経過し、ローンチまでに2億円程度を投資した結果、年間売上2億円以上、大きいもので10億円以上の不動産データビジネスというイメージである。

実際に取り組まれている不動産テックの導入テクノロジーとしては、「Web化・オンライン化 (58.2%)」「AI(機械学習、ディープラーニング含む)(57.0%)」「ビッグデータ(DMP:Data Management Platform含む)(53.2%)」であった。これは過去・現在・未来に取り組む不動産テックのサービスおよび今後有望だと思われる不動産テックのサービスの第1位が「不動産データビジネス」という結果から鑑みても、不動産テックのサービスの中心は“データの収集・分析・共有”に関するものであるといえる。

導入テクノロジーについて2020年度と2018年度・2019年度の結果とを比較すると、AI、位置情報、3Dプリンタに注目したい。「AI(機械学習、ディープラーニング含む) (57.0%)」は、2019年度の48.8%と比べて8.2%増加。「位置情報(26.6%)」は2019年度の15.0%に比べ11.6%増加している。また「3Dプリンタ(22.8%)」は、2018年度の9.1%から13.7%増加している。

実際に取り組まれている不動産テックの成果については「期待通りの成果」「期待以上の成果」のいわゆる“成果が得られている”が約6割近くあった。一方「一定の成果は得られているが、期待していた程ではない」「期待していた成果は得られていない」のいわゆる“成果が得られていない”が約4割近くあった。

いわゆる“成果が得られている”とする取り組みの特徴として、大きく以下の3点が挙げられる。

1つ目は、ビジネスモデルの設計である。「有望なターゲットセグメントを特定したこと」を成功要因の1位とした企業が約5割近くにのぼった。

2つ目としては、社外の人的リソースの活用が挙げられる。最も多いのは「ITベンダーのようなITの専門家の活用(45.6%)」、続いて「コンサルタントのようなビジネスの専門家の活用(40.5%)」であった。一方「活用しなかった(社内人材で対応した)(7.6%)」という結果から見ても、自前主義ではなくIT専門家やコンサルタントなど社外リソースの活用が鍵を握っているといえる。

3つ目としては、提携・協業・交流が挙げられる。本調査では、不動産テックの成果と不動産テック実現に向けたアライアンスや買収などのアクションの相関についても調査を行った結果、有望企業への出資や買収と成果に相関を確認できた。具体的には、いわゆる“成果が得られている” とする企業は「有望企業へ出資または買収し、出資先の有望企業と積極的に協業・交流した(81.3%)」「有望企業へ出資または買収したが、カネだけ出して出資先の有望企業には介入しなかった(80.0%)」であった。「有望企業との提携」や「オープンイノベーションの実施」がそれぞれ約6割程度であったことから、提携などよりも出資・買収といった深いアクションが重要であるといえる。

このように、不動産テックで成果をあげるためには、自前主義ではなくIT専門家やコンサルタントな社外人材を適材適所で活用し、有望なターゲットを見極めたビジネスモデルを策定し、筋の良い有望企業を見つけ出資や買収を実施する。このような取り組みイメージであることが明らかとなった。


【主な調査結果】
1. X-Techの取り組み実態
●認知度の高いX-Techは「金融:FinTech (24.3%)」。不動産テックの認知度は4.9%。
…参照P.11

●X-Techの認知度調査の結果について、2016年度の結果と今回2020年度の結果の比較として、その差分が最も大きいのは「金融:FinTech (2016年度17.9%、2020年度24.3%、差分6.4%)」で、2019年度の結果と今回2020年度の結果の比較として、その差分が最も大きいのは「ヘルスケア:HealthTech (2019年度8.7%、2020年度10.6%より、差分1.9%)」。不動産テックの認知度は、2020年度は4.9%であり、2016年度の3.1%から1.8%増加、2019年度の3.9%から1%増加しており、2016年度から年々微増している。
…参照P.12

2. 不動産テックへの取り組み実態
※以下は、前述のX-Techの認知度調査で不動産テックを知っている回答者に対して行った質問に対する結果

●不動産テックの動向への危機感の有無で最も多いのは「不動産テックはコア事業とは関係ないため、危機感は感じない(41.9%)」。「不動産テックはコア事業とは関係ないため、危機感は感じない」を除いた不動産テックがコア事業と関係のある回答者だけに絞って集計すると「危機感を感じる(63.5%)」「危機感を感じない(36.5%)」。
…参照P.13

●不動産テックの動向への危機感の有無について、2018年度・2019年度の結果と今回2020年度の結果を比較する。「不動産テックはコア事業とは関係ないため、危機感は感じない」を除いた不動産テックがコア事業と関係のある回答者だけに絞って集計すると「危機感を感じる(63.5%)」が2018年度の61.1%と比べて2.4%増加、2019年度の69.7%と比べて6.2%減少した。「危機感を感じない(36.5%)」が2018年度の38.9%と比べて2.4%減少、2019年度の30.3%と比べて6.2%増加した。
…参照P.14

●不動産テックに関する取り組み有無で最も多いのは「取り組みをしたことは無い(51.0%)」。「過去に取り組みをしていた(3.5%)」「現在、取り組んでいる(21.2%)」「まだ取り組んでいないが、今後そういう取り組みをすることが決まっている(15.2%)」を足し合わせると39.9%と4割に近い企業で不動産テックの取り組みに前向きという結果になっている。
…参照P.15

●不動産テックに関する取り組み有無について、2018年度・2019年度の結果と今回2020年度の結果を比較する。2020年度に最も多かった「取り組みをしたことは無い(51.0%)」は、2018年度の45.1%と比べて5.9%増加、2019年度の44.6%と比べて6.4%増加した。また「過去に取り組みをしていた」「現在、取り組んでいる」「まだ取り組んでいないが、今後そういう取り組みをすることが決まっている」の合計(2020年度 39.9%)は、2018年度の35.7%から4.2%増加、2019年度の43.0%から3.1%減少した。
…参照P.16

●業種別の不動産テックに関する取り組み有無で「過去に取り組みをしていた」「現在、取り組んでいる」「まだ取り組んでいないが、今後そういう取り組みをすることが決まっている」を足し合わせると、建設業は同76.5%と不動産業の同57.9%を上回る結果になっている。
…参照P.17

●不動産テックの取り組みは、企業規模が大きくなるほど取り組みを実施している。具体的には「過去に取り組みをしていた」「現在、取り組んでいる」「まだ取り組んでいないが、今後そういう取り組みをすることが決まっている」の合計は、[従業員300人未満×資本金3億円未満]の企業が30.2%、[従業員300人未満×資本金3億円以上]の企業が22.2%、[従業員300人以上×資本金3億円未満]の企業が68.0%、[従業員300人以上×資本金3億円以上]の企業が43.6%であった。
…参照P.18

●不動産テックに取り組む企業の状況として最も多いのは「企画・立案の検討中(27.8%)」。
…参照P.19

●不動産テックに取り組む企業の状況について2018年度・2019年度の結果と今回2020年度の結果を比較する。2020年度に最も多かった「企画・立案の検討中(27.8%)」は、2018年度の26.3%と比べて1.5%増加、2019年度の31.3%と比較して3.5%減少した。
…参照P.20

●不動産テックのサービスローンチからの経過期間として最も多いのは「2年~3年未満(36.4%)」。
…参照P.21

●不動産テックのサービスローンチにあたって費やした資金として最も多いのは「わからない・不明」を除く回答のうち最も多いのは「2億円~3億円未満(27.3%)」。続いて「1000万円~5000万円未満(18.2%)」および「3億円~4億円未満(18.2%)」であった。
…参照P.22

●不動産テックのサービスにおいて最も大きかった年間売上として最も多いのは「10億円以上(27.3%)」であった。
…参照P.23

● 不動産テックのサービスの直近の業績として最も多いのは「計画どおり黒字(63.6%)」。
…参照P.24

3. 不動産テックの取り組み内容
※以下は、前述の所属している会社における不動産テックに関する取り組み有無の質問で、過去・現在・未来に取り組みを行うと回答した者に対して行った質問の結果

●不動産テックに取り組む目的で最も多いのは「収益拡大のための新規事業(直近よりも将来の中核事業育成)(43.0%)」。続いて「収益拡大のための新規事業(直近の売上高へ貢献)(40.5%)」であった。
…参照P.25

●不動産テックに取り組まない理由で最も多いのは「不動産がコア事業でないため(67.3%)」であった。ここで「不動産がコア事業とは関係ないため」を除く回答を見ると、不動産テックに取り組まない理由で最も多いのは「社内に不動産テックについて知っている人が少ないため(13.9%)」であった。
…参照P.27

●過去・現在・未来に取り組む可能性のある不動産テックのサービスで最も多いのは「不動産データビジネス:Web上で不動産の成約価格、物件情報などのデータを収集・分析・共有することで資産価値評価や売買予測等を行うサービス群(29.1%)」であった。続いて「3Dモデリング・3Dマッピング:実際の空間をスキャンしたり、設計図などからPC上に3Dで再現するサービス群(19.0%)」であった。
…参照P.29

●取り組む不動産テックにおける本質的な価値で最も多いのは「従来と比べ明らかに、“効率が良い”、“手間が減る”(46.8%)」。
…参照P.30

●取り組む不動産テックにおける導入テクノロジーで最も多いのは「Web化・オンライン化(58.2%)」であった。続いて「AI(機械学習、ディープラーニング含む)(57.0%)」ビッグデータ(DMP:Data Management Platform含む)(53.2%)」であった。
…参照P.32

●取り組む不動産テックの成果は「期待以上の成果が得られている(12.2%)」「期待通りの成果が得られている(46.9%)」が59.1%と、約6割が“成果が得られている”と位置付けている。一方で「一定の成果は得られているが、期待していた程ではない(32.7%)」「期待していた成果は得られていない(4.1%)」の合計として4割近くが期待を下回っている。
…参照P.34

●取り組む不動産テックの成功要因は「有望なターゲットセグメントを特定したこと(1位46.7%、2位6.7%、3位2.2%)」であった。続いて「顧客ニーズを明確化したこと(1位11.1%、2位17.8%、3位4.4%)」であった。
…参照P.36

●取り組む不動産テックにおける社外の人的リソースの活用で最も多いのは「ITベンダーのようなITの専門家の活用(45.6%)」。続いて「コンサルタントのようなビジネスの専門家の活用(40.5%)」であった。
…参照P.38

●取り組む不動産テック実現に向けた提携・出資・買収で最も多いのは「有望企業と提携し、提携先の有望企業と積極的に協業・交流した(27.8%)」であった。「有望企業へ出資または買収し、出資先の有望企業と積極的に協業・交流した(24.1%)」「有望企業へ出資または買収したが、カネだけ出して出資先の有望企業には介入しなかった(10.1%)」「有望企業と提携し、提携先の有望企業と積極的に協業・交流した(27.8%)」の合計62.0%が有望企業との提携・出資・買収のアクションを起こした。
…参照P.40

●取り組む不動産テックで「有望企業へ出資または買収し、出資先の有望企業と積極的に協業・交流した」とする企業のうち「期待以上の成果が得られている(12.5%)」「期待通りの成果が得られている(68.8%)」と合わせた“成果が得られている”とする割合は81.3%。
…参照P.41


4. 不動産テックのサービス別の認知度・今後の有望度
※以下は、前述のX-Techの認知度調査で不動産テックを知っている回答者に対して行った質問に対する結果

●知っている不動産テックのサービスで最も多いのは「不動産データビジネス:Web上で不動産の成約価格、物件情報などのデータを収集・分析・共有することで資産価値評価や売買予測等を行うサービス群(60.1%)」。
…参照P.42

●今後有望だと考える不動産テックのサービスで1位が最も多いのは「不動産データビジネス:Web上で不動産の成約価格、物件情報などのデータを収集・分析・共有することで資産価値評価や売買予測等を行うサービス群(1位30.3%、2位5.6%、3位3.0%)」。
…参照P.44


<本調査におけるアライアンスの定義>
戦略的な目標を共有する企業間で協力関係を結ぶこと。アライアンスの種類は、資本提携、業務提携、技術提携、オープンイノベーションとし、それぞれの定義は下記の通りとする。
・資本提携=一方の企業が他方の企業の株式を保有する、または双方で株式を保有しあうことを通じて、事業上の協力関係を構築すること。M&Aも資本提携に内包している。
・業務提携=複数の企業が業務上の協力関係を築くこと。販売提携、生産提携も業務提携に内包している。
・技術提携=事業上重要な技術を供与する、もしくは相互に供与する関係を構築すること。
・オープンイノベーション=自社の業務やノウハウ・技術の一部を外部に公開し、広く外部のアイディアや技術を活用して自社の課題を解決する取り組み。
    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.