図1 温度応答性リポソームの特性
図2 (A)TLip-LISAの原理、(B)10fg/mlのPSA抗原あるサンプルは30秒以内に検出できる
表1.本TLip-LISA法と一般的なELISA法との性能比較
当社は、各種研究機関、公的機関の協力を仰ぎながらTLip-LISA法の特長である迅速検出、超高感度、簡便な方法で新型コロナウイルス検出ができるようにします。検査キットは、2カ月以内を目処に発売を目指します。
■TLipとは?
リン脂質分子膜から構成されるナノ粒子(リポソーム)は、ある温度(ゲル-液晶相転移温度)を境に膜物性が大きく変化する。特殊な蛍光分子を膜中に導入したリポソームは、室温では全く光らないがある温度以上になると明るく赤色に光る性質(温度応答性)を持つ(図1)。シグナル/ノイズ比は60倍以上、温度感度は20%/℃と世界最高レベルを持ち、転移温度も調節できる。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/210858/LL_img_210858_1.jpg
図1 温度応答性リポソームの特性
■TLip-LISA
ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay:酵素結合免疫吸着)法は、サンプル中の抗原を検出・定量する方法として、現在広く用いられている。中でもサンドイッチ法は2種類の抗体を用いて抗原をサンドイッチするために特異性が極めて高いものの、酵素反応を利用した検出には一定の時間がかかるのが難点である。本TLip-Linked ImmunoSorbent Assay法(TLip-LISA法)では、検出にTLip試薬を用いている。前立腺がんのスクリーニング検査に用いられるPSAを抗原として用いた試験において、基板にPSA抗原の捕捉抗体を結合させてサンプル中の抗原を基板に捕捉し、検出抗体を結合させたTLipでサンドイッチ状態にして加温すると、基板に結合したTLipのみが速やかに光る(図2)。
他方、抗原がないサンプルでは水が温められてからTLipが光るので、その時間差を利用して抗原を1分以内に検出することができる。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/210858/LL_img_210858_2.jpg
図2 (A)TLip-LISAの原理、(B)10fg/mlのPSA抗原あるサンプルは30秒以内に検出できる
<本TLip-LISAと現行のELISA法との性能比較>
PSA抗原の検出について本TLip-LISAと現行のELISA法を比較した(表1)。感度は現行のELISA法の1千万倍の感度、現行と同等の抗原に対する高い特異性を保持した状態で1分以内に抗原を検出できることを確認した。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/210858/LL_img_210858_3.jpg
表1.本TLip-LISA法と一般的なELISA法との性能比較
*1. Rissin, D. M., et al., (2010). Single-molecule enzyme-linked immunosorbent assay detects serum proteins at subfemtomolar concentrations. Nature Biotechnology,28(6), 595-599.
*2. https://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/sigma/rab0331?lang=enRion=US
■会社概要
会社名 : 株式会社エフ・ピー・エス(英文社名:FPS Inc.)
所在地 : 〒503-2213 岐阜県大垣市赤坂町2093番地
代表者 : 代表取締役社長 堀 昌司
設立 : 1999年5月17日
資本金 : 4億1,567万5,000円
事業内容: ナノファイバー・シート事業、スピーカー事業
URL : https://fpsinc.co.jp/