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現在では都市ガスによる死亡事故はゼロベースとなり、安心してガスを使える環境になってきました。しかし、かつてはガス機器に関する事故が多発し、一酸化中毒による死亡事故や火災などが多く発生した時代もありました。
本書は、長年東京ガス株式会社に勤務し、ガスの安全化と事故予防(保安)の中心人物とした活動してきた著者が、ガスの歴史から紐解き、ガスの普及や事故の対応、事故防止策に奮闘し、今日の「ガスは安全」といえるレベルまでに対策を講じてきた「都市ガスの安全化」への記録です。
目次:
第1章 都市ガスの歴史と不安
第2章 都市ガス事業と保安の歴史
第3章 ガス機器の黎明期
第4章 ガス事故の多発時代
第5章 ガス機器事故再発防止対策
第6章 全国的な天然ガス転換
第7章 安全化を講じたガス機器の近代化の実現
第8章 マイコンメーターの開発と普及
◆内容
明治初期、横浜で照明用のガス灯のための都市ガス供給が我が国のガス事業の始まりです。明治81(1885)年に民間で初めての本格的な都市ガス事業として東京瓦斯株式会社が設立されました。創設者は明治、大正、昭和の実業家である渋沢 栄一で、氏が語った「公利・公益」の精神がまさしく都市ガス事業の思想を伝えています。都市ガス事業は公益事業であり、公共性を有しながらも民間企業として利益の追求も必要となります。事業者には、ガス利用者への公平な価格での安定供給と保安(安全)を前提とした役割が求められています。
戦後の復興期を経た高度経済成長に合わせて、ガスの普及が進み国民の生活は便利なものになりました。しかしその反面、ガス機器に関する事故が多発し、一酸化炭素中毒により、全国レベルで年間約100名の犠牲者が出るに至り、安全対策は急務となりました。
昭和30年代の家庭用ガス機器関連の事故対策は、事故が起きてからの事後対応型でした。しかし、人の生命・財産を守るためには、たとえ使用者のミスであっても大きな事故にしないことをめざす「予防保全型」の政策に転換しました。
また、昭和44年(1969年)の液化天然ガス(LNG)の導入により、都市ガス原料無公害化と中毒事故発生減となる一酸化炭素のゼロ化が実現しました。
ハード面では安全装置を組み込んだ機器の開発、ソフト面ではガス使用者への安全のために周知活動の両面から対策を進めてきました。さらに各戸に設置した「マイコンメーター」により、大地震発生時にはガスが自動遮断し、火災などの事故防止に効果が発揮されています。その後も、安全性・操作性・効率性などに優れた新機器の開発・販売・普及の追求が進み、今日の安全化・高度化につながっています。
◆編著者
編著者は、大手都市ガス事業者の保安担当者として、当時の都市ガス業界や諸官庁・関係の諸団体・業界の皆様方の努力を目の当たりにしていました。「都市ガスの安全化」に至るまでを記録として残し後世に伝えるべく、保安業務を担当された方々の賛同や協力を得て編集委員会を発足し、本書にまとめました。
編著者略歴:
竹中 富知男(たけなか・ふちお)
1936年、富山県生まれ。1962年、横浜国立大学工学部応用化学科卒、東京ガス株式会社に入社。生産、営業、導管関連業務および天然ガス転換業務などに携わり、ガス機器・導管関係の保安(安全)業務を約20年に亘って担当。この間、日本ガス協会の保安関連作業部会にも参加、東京ガスエネルギー株式会社(LPガス販売業)に約5年間勤務し、LPガス業界保安業務活動に参加。2000年6月、退職。年同9月株式会社エフ・ユー創業、社長就任2011年6月、会長に就任、現在に至る。
◆書籍情報
書名 : 都市ガスはどのようにして安全になったのか?
著者 : 「都市ガスはどのようにして安全になったのか?」編集委員会
編集委員代表 竹中 富知男
定価 : 本体1,200円+税
発売日 : 2019年12月20日
判型 : A5版
商品形態: 単行本
ページ数: 208
ISBN : 978-4-7782-0403-1
発行所 : 株式会社カナリアコミュニケーションズ
〒141-0031 東京都品川区西五反田6-2-7 ウエストサイド五反田ビル3F