セミナーチラシ
能楽研究所は2013年以来、「能楽の国際・学際的研究拠点」として文科省の認定を受け、活動を続けてきました。学際研究は、能楽研究のために異分野の研究を利用するだけではありません。能楽の諸要素を新しい研究素材とすることで、その研究自体も進化していきます。今年度の能楽セミナーは、その中間報告として、能楽をめぐる学際研究、特に理工系の技術や知見と組み合わせた新しい研究についてご紹介します。
理工系の技術による能楽研究といっても、「能の神髄、能の魅力を数字に置き換える」というようなことではありません。将来はロボットが素晴らしい感動的な能を舞うようになるなどとも、考えていません。「芸」と呼ばれるものが観客によびおこす感動は、技術的な正確さとはまったく別物であることを、我々は経験から知っています。
しかし、能の謡の不思議な印象や、単純な木彫りの能面が複雑な表情を見せる理由を、能を見慣れた人間の「実感」だけでなく数値でも説明できたら、その情報を受け取れる範囲が格段に広がるのではないでしょうか。また、江戸時代の舞台の図面や興行場所の絵から当時の劇場空間を再現してCGで見ることができたら、きっと新しい発見があるでしょう。
600年を超す伝統の中で育まれてきた知恵や美意識が、最先端の技術や研究と相互に影響し合い、大きな成果に繋がることを願って始まったプロジェクトの数々。その概要をご覧いただきます。
【開催概要】
<日時>
2016年10月8日(土)13:30~17:00 開場13:00
<会場>
法政大学市ケ谷キャンパス ボアソナード・タワー 26階スカイホール
<アクセス>
東京都千代田区富士見2-17-1 市ケ谷駅または飯田橋駅徒歩10分
<主催>
野上記念法政大学能楽研究所「能楽の国際・学際的研究拠点」
<プログラム>
・「コンピュータを使った謡の分析」
伊藤 克亘(法政大学情報科学部 教授)
・「伝統芸能(文楽+能)の匠の技を応用するロボティクスデザイン研究」
中川 志信(大阪芸術大学芸術学部 教授)
・「歴史工学から解読する能ー弘化勧進能絵巻の復元」
高村 雅彦(法政大学デザイン工学部 教授)
<討議 コメンテーター>
・御法川 学(法政大学理工学部 教授)
・横山 太郎(跡見学園女子大学文学部 准教授)
<参加>
参加費無料/申し込み不要
<URL>
http://kyoten-nohken.ws.hosei.ac.jp/info/2016/2381/