
大都市では、街を覆うアスファルトやコンクリートが熱をため込む「ヒートアイランド現象」の影響で猛暑が加速している。
気象庁によると1929年から2025年の夏の平均気温の上昇は、都市部以外が1・6度だったのに対し、東京は2・5度、名古屋2・6度、大阪2・2度と幅が大きい。
こうした中、猛暑対策として「日陰」に着目する自治体が増えている。
神戸市はこの夏、猛暑対策の一環として、日差しを感知して自動で開閉する日よけ「スマートシェード」の設置を始めた。
強い日差しを感知すると幅3メートル、奥行き4メートルの屋根が自動で開いて日陰をつくる。薄暗くなってくると自動で閉じる仕組みだ。
価格は1基400万円で、市は26年度中に三宮駅周辺など市中心部に計9基を設置する予定だ。
東京都品川区は26年度から「シェードポリシー(日陰戦略)」の策定に着手した。
駅前につる植物を育てて緑のカーテンを作るほか、民間施設による日陰づくりを助成する制度の導入を検討している。
川崎市では、屋外の地面を木陰が覆う「樹冠被覆率」の割合に目標値を設ける検討を始めた。
海外に目を向けると、夏の気温が40度を超えるスペインのセビリア市が、街路への日よけの設置や植樹の推進など先進的な日陰戦略に取り組む。
米ニューヨークや豪シドニーでは、樹冠被覆率の拡大を数値目標に掲げている。
赤澤宏樹・兵庫県立大教授(緑地計画学)は「気候変動で猛暑が深刻化する中、世界の主要都市では日陰の存在が住みよさを左右する重要な条件になりつつある」と指摘する。
その上で、「街路樹による木陰が最適だが、交差点で見通しの確保が必要など植栽ができない場合は、人工のシェードを使うなど自治体の創意工夫が求められる」と話した。【稲田佳代】
