
マーベル、DCブランドがあるので、VFXアクション作品の敷居は高い気がするが、韓国映画界はこの分野でも果敢に挑戦を続けている。記憶に残っているのは「The Witch」(18年)のシリーズ2作品だ。養子縁組の多い韓国社会を背景に、出生の秘密をテーマにすえたところにらしさがあった。
「ハイファイブ!」(10月16日公開)も、あの教団を連想させる巨大カルトが背景に描かれている。
中学生のワンソは、五輪メダリストで今はテコンドー教室を経営する父の元で過保護的に育てられている。母を心臓病で亡くし、同じ障害を抱えるワンソのことが父は心配でならない。ところが、移植手術を機にワンソは超人的な体力を発揮するようになる。
実は献体の男性が「超能力者」で、その臓器を提供された6人がそれぞれの特別な能力を発揮するようになっていたのだ。
驚異的な肺活量を手に入れた脚本家志望のフリーター、チソンと出会ったワンソは「ヒーロー集団」を作ろうと超能力者捜しを始める。電磁波を操る遊び人のギドン、治癒力のある神の手を持つ生真面目なヤクソン、能力不明ながら協調性の強いヤクルト売りのソンニョ…。
問題はもう1人が巨大カルトの教祖ヨンチュンだったことで、彼は「神の力」を手に入れるためにワンソたちの臓器を奪おうと暗躍し、ここに「超能力戦」が勃発する。
ワンソの超高速走やビルを飛び越えそうなジャンプ、そしてカルト大神殿を舞台にしたクライマックスの一大決戦…コマ落とし感は気にならない程度で、ハリウッド作品に伍(ご)したスピード感が十分に楽しめる。
「サニー 永遠の仲間たち」のカン・ヒョンチョル監督はそれぞれのキャラクター造形にも気を配っていて、ヒーロー同士のあつれきや人間くささでドラマ部分にも見応えがある。今風の機器を電磁波で操るギドンの存在が随所にポップな雰囲気を醸し出す。
「ハード・ヒット 発信制限」のイ・ジェイン、「シークレット・ジョブ」のアン・ジェホン、「バーニング 劇場版」のユ・アイン、「市民捜査官ドッキ」のラ・ミランとどこかで見た顔がしっかりとそれぞれのキャラにはまっている。随所で笑いを提供する父親役を名脇役のオ・ジョンセが演じていて、絶妙なアクセントになっている。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)
