
米メディアは11日、米国務省が職員1350人以上に解雇を通知したと報じた。トランプ政権が進める連邦政府機関の縮小の一環とされる。ルビオ国務長官は「米国第一」の外交政策を実現するため、抜本的な組織再編を行うと表明していた。民主党議員からは、「外交力の低下を招く」との批判が上がっている。
連邦最高裁が8日、政府機関の大幅な人員削減を当面容認する判断を示したことを受け、国務省は解雇に着手したとみられる。CNNテレビによると、国務省は職員に対し「優先する外交に集中するため、国内業務を簡素化する」と説明した。自主退職者を含めて、約3000人が「組織再編の一環として去ることになる」としている。
ワシントン・ポストによると、解雇の対象には人権関連部局のほか、核不拡散関連業務の職員も含まれるという。国務省幹部はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、大使館や領事館の職員を削減する計画はないと述べた。
米メディアは、職員の士気低下に加え、優秀な人材の確保が困難になるとの懸念を伝えている。民主党のケーン上院議員は声明で、「中国が世界中で外交的な進出を拡大し、海外での軍事ネットワークの構築を進めている最中に下された、最も愚かな決定の一つだ」と批判した。
国務省は1日、米国の対外援助を担ってきた国際開発局(USAID)も公式に廃止すると発表した。【ワシントン金寿英】