
物価高対策や「政治とカネ」が争点となった東京都議選が22日投開票された。自民党は「政治とカネ」、国民民主党は参院選の候補者公認と見送りを巡る混乱などで、無党派層が多い首都の「風」は吹いたりやんだり。ただ「旋風」にはならず、突出した勝者が見えにくい決戦となった。
東京・永田町の自民党本部に設置された開票センターでは、都連の幹部やスタッフがテレビで開票状況を見守った。自民候補の当確情報が入るとまばらな拍手が起きたが、井上信治都連会長らに笑顔はなかった。
井上氏は「非常に厳しい結果だと受け止めている。我々の訴えがなかなか届かなかった」と選挙戦を振り返った。党の都議会会派による裏金事件の影響については「都民の厳しい評価を頂いたと思っている」と厳しい表情で語った。
昨年12月に、会派の政治資金パーティーを舞台とする裏金作りが発覚。その後、会計担当職員が立件され、都民から厳しい目が向けられた。
平成以降は長く40、50議席台を確保してきた自民党。今回選で復活を期したが、その頃の勢いからは程遠かった。
2017年の前々回選では、その前年に都知事に就任した小池百合子氏が率いる地域政党「都民ファーストの会」に敗れて過去最低の23議席に沈んだ。21年の前回選では第1会派を奪還したものの、33議席にとどまった。
今回、裏金事件で立候補者でも現職と元職計17人の収入不記載が判明し、うち会派幹事長経験者6人を都連は非公認に。表向きは全選挙区への擁立を断念して公認42人で臨んだ一方で、非公認6人にも都連幹部や自民区議らが応援に入った。
選挙戦では政治資金収支報告書をウェブサイトで公開するなどの「見える化」を進めるとアピール。物価高対策などとして手取りの増加や、住宅支援策を訴えたが、裏金事件による逆風をはねのけられなかった。
井上氏は物価高対策などの政策について「他党も訴えていたので、差別化できなかった」と悔しさをにじませた。非公認となった候補者に自身や他の議員が応援に入ったことについては「個人としての応援。人間関係もある」と語った。【大場弘行、柳澤一男】